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しおりを挟むルカリオがリンダを諦めてユリアナに歩み寄ってきていた場合、お互いに好意を持つことが出来れば幸せな結婚に繋がったかもしれない。でもそれは、計画を練った時点ではもう1%ほどの可能性しかなかったけど。
卒業パーティーで婚約破棄だなんて言い出さずに、リンダを思っていても結婚に前向きだったとしたら、初夜はあったかもしれない。おそらく、子供を一人作ったら不貞させて離婚していただろうけど。
リロードはそれでも待ってくれているから。
王家に残るのがどっちかは別に構わなかった。私が残るなら王太女になっただけだ。
どっちにしろリロードと再婚するつもりだった。
ルカリオを見捨てられない国王兄弟のせいで、結婚することにはなったが初夜は避けられた。
歩み寄りは最後のチャンスだったのに、ルカリオは3か月も無視した。
2年も無駄な時間を過ごすより、もうリロードと再婚したかった。
それはおそらく、自分が王太女になる目標を達成することになるだろう。
王太女を目標には定めたが、別に兄が王太子になるのでもどっちでもよかった。
まぁ、兄の性格から言って、今さら面倒で嫌がるだろうけど。
2年を待つ気がなくなって、ダリアを仕掛けた。
ダリアはユリアナの手の者。というか、リロードの手の者。借りた。
男好きでハニートラップ要員だそうだ。
こっそりとリロードと連絡を取って、父親の公爵様も乗り気で。
ユリアナが王太女になれば、将来リロードは王配になる。更に孫が将来の王なのだ。
リンダからリロード、更には公爵様まで計画が伝わり、リロードがユリアナを望むからには最大限に公爵様は待って下さったのだろう。
孫が将来の国王か公爵家の跡継ぎか。
どちらにしてもリロードの子をユリアナが産めば王家と血と公爵家の血が混じるのだ。
公爵様はそれで満足なんだそうだ。
国王とユリアナの父である公爵は、ユリアナが仕組んだことだとは思ってもいないだろう。
ユリアナよりもルカリオを優先し、ユリアナを振り回してくれた国王兄弟への逆襲であった。
結婚後、覚えのいいリロードは、ルカリオのしていた仕事をどんどんこなしていく。
国王夫妻も気持ちがスッキリしたらしく、早く引退したいと言われた。
王家の血筋ではないことが、やっぱり申し訳ないらしい。
でもあと10年は頑張ってほしい。
なぜなら、リロードと長くイチャイチャしたいもの。
2歳上のリロードとは一年だけ学園が一緒だった。
直接会えたのは数えられるほど。人に見られてはいけないから。
ルカリオが休みでリンダがそばにいたときだけ、長く会話ができた。
リロードは卒業してからは遠目で見かけるだけ。手紙のやり取りと。
だから結婚したと言っても、二人きりになれる時間をもっと大切にしたいの。
執務に追われ続けるのはまだゴメンだわ。
結局、ユリアナが女王となるのは子供を3人産んでからだった。
一人は跡継ぎ、一人は公爵家の跡継ぎ、一人はフリー。
フリーはスペアでもあり、他国の王族との結婚も考えられるし、国内の有力貴族との縁組もありえる。
王家の血筋が途絶えないように、これからも親子判定はやっぱり必要かしら?
でも、私の血筋が正しい王家の血筋って言い切れる?……今更よね。
<終わり>
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