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誓いの六夜目

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「けれど、すべて受け入れます。それに、あやまちが全て悪いものではありませんよ」
 失礼いたします、と述べた後で、私はウィリエール様の手を取らせていただく。

 指先に口づけをすれば、ウィリエール様の指先に血の気が戻って来る。
「どうやら私の中にはいくつもの力が注ぎ込まれているようです。その力をウィリエール様へ注ぎます」

 ウィリエール様が目を見開いた。先ほどの狂気的な表情は薄らいできている。

「ミリア」
 と呟くウィリエール様にもう一度尋ねる。

 良いですか?と。ウィリエール様の了承を得て、私は王子の両頬に手の平をやり、唇を重ねた。自分の力がウィリエール様へと移動する感覚があった。

 ウィリエール様の頬が少しだけ温かくなったのを感じ、唇を離す。ウィリエール様のお顔に血の気が戻ってきたのを確認し、私はホッと一息をついた。

「ミリア、ありがとう」

 かすれた声でウィリエール様はおっしゃる。表情は少し恥ずかし気だ。

「今から僕は、罪深いことを言おうと思うんだ、婚約者がいて思い人がいるミリアに対して言うべきことじゃないけれど」

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