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三章
十六話 公共の場で
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日曜日の朝。八時に瑞希はラブピーチやって来た。まだ眠っていた伊吹は、瑞希に身体を揺さぶられて目覚めた。
「いーぶーきー、おーきーてー」
ユサユサと身体を揺さぶられると、起きざるを得ない。休日の朝早くに起こされるのは祖父と生活していた時以来だ。
祖父は朝四時には起きており、六時に伊吹を起こしにやってきた。あれが怠かったと思うのはその当時だけだ。
今となっては毎日ウザくても怠くてもいいから、もっと長生きして欲しかったと思ってしまう。
「なんだよ? つか、何勝手に人の部屋入ってきてんだ?」
「えへへ。受付の人には伊吹に連絡しないでね~って言って上がってきたの。ほら、ここのバイトの子、僕の言う事聞いてくれるしね」
「雇用主は俺だぞ? なんでそんな事になったんだよ……」
「さぁ? やっぱ僕の身体が良かったんだねぇ」
瑞希はクスクスと笑っている。そんな彼を見ると安心感を覚えた。
「これから朝食だけど、瑞希も食うか?」
ホテルのルームサービスを頼む予定だ。毎日、朝と夜の食事はホテルでだ。伊吹はその都度代金を支払っている。
「要らないよ、朝食べない派なんだ。僕みたいに仕事で受けやってると大変なんだよ。食べ物も消化に良いものにしたり、運動も欠かせないしね。
伊吹みたいに好き勝手食べてみたいもんだよ」
「俺だってそんなに好きな物ばっか食べてるわけじゃねぇよ」
「ふぅん?」
伊吹は受付に電話をして朝食を頼んだ。サービススタッフが食事を持ってきた時に料金を支払う。
朝食の内容を見た瑞希が開口一番文句を言った。
「伊吹の好きなものばっかじゃん!」
皿の上に載っているのは、ピザトースト、スクランブルエッグ、ゆで卵、ソーセージ、ヨーグルトとぶどうのジャムだ。
飲み物は桃のジュースである。
「そんな事……ないだろ?」
「ゆで卵を料理と言っていいかは別として、卵料理が二つもあるし」
「朝食のサービスは日替わりだし。今日はたまたまコレなの!」
「でもさぁ、スクランブルエッグとゆで卵って一緒に出すかなぁ? 絶対伊吹の特別メニューだよ。ぶどうジャムとか桃のジュースってなかなかラブホテルの朝食に出ないよね? 普通のホテルでも見ないよ。絶対伊吹の好物だよねコレ?」
「あーもーうるさいな! だったらなんだよ!? 俺はオーナーなの! これくらいのワガママは許されてもいいだろ!」
言い合いをしながらも伊吹が朝食を済ませると、瑞希はニヤニヤしながら右手にアナルバイブを持って見せた。
バイブは直径五センチの太さで、長さはそこまで長くはない。リモートで振動を与えられるタイプで、左手にリモコンを持っている。
「ゲッ……瑞希、それ……」
「見れば分かるでしょ? はい、これ付けて」
伊吹は渋々という顔をしつつ、内心期待大でズボンとパンツを脱いだ。
「ほらぁ、ちゃんと僕がよく見えるように入れるんだよ」
言われるがまま、ソファーに座っている瑞希に向けて尻を突き出した。
期待にヒクヒク動く尻穴も、睾丸も、勃ち初めてしまっている男性器も全て見えている。
伊吹は、ローションを使って尻穴を広げて見せながら受け取ったアナルバイブを自分の中に埋めた。
「……んぅっ」
切なげな声が漏れる。バイブを全て中に埋め込むと瑞希が立ち上がって伊吹の横まで歩み寄った。
そして……。
「これ穿いてね」
瑞希が差し出してきたのは革製の貞操帯だ。Tバックのような形をしており、前だけではなく尻に埋めたバイブが外に出ないよう押さえられるようになっている。
男性器を包む袋は、勃っても上を向かないよう下向きに固定されている。
腰の部分にはベルトが付いており、骨盤の上で締めた上で鍵をかけられているので、勝手に脱ぐ事は不可能だ。
「伊吹、あんまり勃たせないようにね? 性器をガッチリ押さえ込んでるから、伊吹でもかなり痛いと思うよ?」
伊吹はその言葉だけで勃起しそうになった。だが、そうならないように意識を向けないようにする。
同時に瑞希を見ないようにした。Sになっている瑞希の目を見るだけで危ないのだ。
「本当は尿道プラグ付いた貞操帯にしようかとも思ったんだけどさ。デート中にいちいちトイレの時にプラグ外して付け直すのも面倒だしさ」
「これだってトイレ行けないんですけど!?」
プラスチックや金属製で尿道口の先に、尿を出せるような穴が空いているわけではないのだ。
「だからぁ、トイレ行く時は僕の命令を遂行してね? 出来たらご褒美にトイレ行かせてあげる」
「漏らしたりでもしたらどうすんだよ?」
「それはそれで唆るよねぇ」
瑞希は完全に楽しんでいる。子供のような無邪気な笑顔だ。
こうなった瑞希は止められない。伊吹自身嫌でもない為、そのまま服を着替えて瑞希と外へと出掛けた。
二人で外を歩くのは退院後に瑞希の実家に行った時以来だ。といっても、一週間も経っていないが。
見慣れた街並みの中に瑞希がいる事に違和感を感じた。まるで夢でも見ているのではないかと思うような、そんな違和感。
だが、そんな違和感は瑞希がふざけてスイッチを押した事によって、感じなくなった。
中で振動するバイブの違和感の方が強い。
「……んぁぁ! い、いきなりはやめろよ」
外で変な声を出してしまった。伊吹は恥ずかしさに顔を押さえた。
「あははっ。面白いねっ! ほら、伊吹こっちだよ~」
「どこ行くんだよ?」
バイブを入れたまま外を歩いた事は一度もない。それだけで歩きにくいのに、瑞希に引っ張られるとグラリとよろめいた。
「うわっ」
倒れ込む伊吹を瑞希が支えた。
「大丈夫?」
「ゆっくり歩いてくれよ」
「うんいいよ。僕のお姫様はワガママだから」
「お姫様って……どっちかっていうと瑞希の方が女っぽい見た目してるだろ」
「見た目はねー。でも今の伊吹内股だし、ちょっと早歩きしただけでよろけて、もっとゆっくりつ歩いてよ~って言ってくるんだよ?
僕より伊吹の方が女の子でしょ~」
「お前のせいだろうが!」
「へへっ。今日のデートプランは僕に任せてね! お姫様扱いしてあげる。それが昨日の罰だよ~」
「ったく。じゃあ男らしくエスコートしろよな!」
伊吹が左手を差し出すと、瑞希は右手でその手を取ってゆっくりと歩き始めた。
それから駅に向かい、電車に乗った。瑞希は電車の中でずっとリモコンをオンにした。振動は最弱だが、女性扱いをして伊吹を座らせていたので、奥まで振動が伝わった。
一番左端に座れたので、横にも後ろにも寄りかかれる事だけが救いだ。
前立腺もジワジワと振動の快楽を受けており、伊吹は声を抑えて顔を真っ赤にしていた。
「……──ぅ……ん……ひぅ……」
目の前に立っている瑞希を涙目で睨むが、そういう反応を見せれば見せる程、瑞希は笑いが込み上げるようだ。
口を抑えて笑い声を押さえている。
周りの目が痛い。だが、それも興奮材料でしかない。
「いぃっ!!」
男性器の痛みで伊吹は呻いて身を屈ませた。勃起している性器は大きくなっているのに、貞操帯によってそれを無理矢理押さえ込まれている為、痛みしかないのだ。
痛みすら快楽になってしまう伊吹には地獄でしかない。ベッドの上であれば、はしたなく涎を垂らしながら喘ぐ事も出来るが、ここは公共の場だ。周りに知られるわけにはいかない。
「ほら皆見てるよ? ケツのバイブで興奮してチンポ勃たせてる変態って目で皆が見てるの。恥ずかしいね?」
瑞希は身体を曲げて、周囲に聞こえないよう伊吹の耳を手で覆って囁くように言った。有り得ない事であるが、伊吹の想像力を掻き立て、余計に興奮を深める事に成功している。
「……バカ。俺の下半身事情が見ただけで分かってたまるかよ」
伊吹は悲壮感を出しながら瑞希に訴えた。
「なぁ頼む。一度電車降りてトイレ寄らせてくれよ。チンコが痛てぇ」
「んー。じゃあ……今からここで痴漢されてこい。命令だ」
「……はい。ご主人様……」
命令されるとドMのスイッチが完全にオンになってしまった。
伊吹は完全に目がハートになってドMの本性が露わになっていた。伊吹は立ち上がり、混雑している中心部へと向かった。
「いーぶーきー、おーきーてー」
ユサユサと身体を揺さぶられると、起きざるを得ない。休日の朝早くに起こされるのは祖父と生活していた時以来だ。
祖父は朝四時には起きており、六時に伊吹を起こしにやってきた。あれが怠かったと思うのはその当時だけだ。
今となっては毎日ウザくても怠くてもいいから、もっと長生きして欲しかったと思ってしまう。
「なんだよ? つか、何勝手に人の部屋入ってきてんだ?」
「えへへ。受付の人には伊吹に連絡しないでね~って言って上がってきたの。ほら、ここのバイトの子、僕の言う事聞いてくれるしね」
「雇用主は俺だぞ? なんでそんな事になったんだよ……」
「さぁ? やっぱ僕の身体が良かったんだねぇ」
瑞希はクスクスと笑っている。そんな彼を見ると安心感を覚えた。
「これから朝食だけど、瑞希も食うか?」
ホテルのルームサービスを頼む予定だ。毎日、朝と夜の食事はホテルでだ。伊吹はその都度代金を支払っている。
「要らないよ、朝食べない派なんだ。僕みたいに仕事で受けやってると大変なんだよ。食べ物も消化に良いものにしたり、運動も欠かせないしね。
伊吹みたいに好き勝手食べてみたいもんだよ」
「俺だってそんなに好きな物ばっか食べてるわけじゃねぇよ」
「ふぅん?」
伊吹は受付に電話をして朝食を頼んだ。サービススタッフが食事を持ってきた時に料金を支払う。
朝食の内容を見た瑞希が開口一番文句を言った。
「伊吹の好きなものばっかじゃん!」
皿の上に載っているのは、ピザトースト、スクランブルエッグ、ゆで卵、ソーセージ、ヨーグルトとぶどうのジャムだ。
飲み物は桃のジュースである。
「そんな事……ないだろ?」
「ゆで卵を料理と言っていいかは別として、卵料理が二つもあるし」
「朝食のサービスは日替わりだし。今日はたまたまコレなの!」
「でもさぁ、スクランブルエッグとゆで卵って一緒に出すかなぁ? 絶対伊吹の特別メニューだよ。ぶどうジャムとか桃のジュースってなかなかラブホテルの朝食に出ないよね? 普通のホテルでも見ないよ。絶対伊吹の好物だよねコレ?」
「あーもーうるさいな! だったらなんだよ!? 俺はオーナーなの! これくらいのワガママは許されてもいいだろ!」
言い合いをしながらも伊吹が朝食を済ませると、瑞希はニヤニヤしながら右手にアナルバイブを持って見せた。
バイブは直径五センチの太さで、長さはそこまで長くはない。リモートで振動を与えられるタイプで、左手にリモコンを持っている。
「ゲッ……瑞希、それ……」
「見れば分かるでしょ? はい、これ付けて」
伊吹は渋々という顔をしつつ、内心期待大でズボンとパンツを脱いだ。
「ほらぁ、ちゃんと僕がよく見えるように入れるんだよ」
言われるがまま、ソファーに座っている瑞希に向けて尻を突き出した。
期待にヒクヒク動く尻穴も、睾丸も、勃ち初めてしまっている男性器も全て見えている。
伊吹は、ローションを使って尻穴を広げて見せながら受け取ったアナルバイブを自分の中に埋めた。
「……んぅっ」
切なげな声が漏れる。バイブを全て中に埋め込むと瑞希が立ち上がって伊吹の横まで歩み寄った。
そして……。
「これ穿いてね」
瑞希が差し出してきたのは革製の貞操帯だ。Tバックのような形をしており、前だけではなく尻に埋めたバイブが外に出ないよう押さえられるようになっている。
男性器を包む袋は、勃っても上を向かないよう下向きに固定されている。
腰の部分にはベルトが付いており、骨盤の上で締めた上で鍵をかけられているので、勝手に脱ぐ事は不可能だ。
「伊吹、あんまり勃たせないようにね? 性器をガッチリ押さえ込んでるから、伊吹でもかなり痛いと思うよ?」
伊吹はその言葉だけで勃起しそうになった。だが、そうならないように意識を向けないようにする。
同時に瑞希を見ないようにした。Sになっている瑞希の目を見るだけで危ないのだ。
「本当は尿道プラグ付いた貞操帯にしようかとも思ったんだけどさ。デート中にいちいちトイレの時にプラグ外して付け直すのも面倒だしさ」
「これだってトイレ行けないんですけど!?」
プラスチックや金属製で尿道口の先に、尿を出せるような穴が空いているわけではないのだ。
「だからぁ、トイレ行く時は僕の命令を遂行してね? 出来たらご褒美にトイレ行かせてあげる」
「漏らしたりでもしたらどうすんだよ?」
「それはそれで唆るよねぇ」
瑞希は完全に楽しんでいる。子供のような無邪気な笑顔だ。
こうなった瑞希は止められない。伊吹自身嫌でもない為、そのまま服を着替えて瑞希と外へと出掛けた。
二人で外を歩くのは退院後に瑞希の実家に行った時以来だ。といっても、一週間も経っていないが。
見慣れた街並みの中に瑞希がいる事に違和感を感じた。まるで夢でも見ているのではないかと思うような、そんな違和感。
だが、そんな違和感は瑞希がふざけてスイッチを押した事によって、感じなくなった。
中で振動するバイブの違和感の方が強い。
「……んぁぁ! い、いきなりはやめろよ」
外で変な声を出してしまった。伊吹は恥ずかしさに顔を押さえた。
「あははっ。面白いねっ! ほら、伊吹こっちだよ~」
「どこ行くんだよ?」
バイブを入れたまま外を歩いた事は一度もない。それだけで歩きにくいのに、瑞希に引っ張られるとグラリとよろめいた。
「うわっ」
倒れ込む伊吹を瑞希が支えた。
「大丈夫?」
「ゆっくり歩いてくれよ」
「うんいいよ。僕のお姫様はワガママだから」
「お姫様って……どっちかっていうと瑞希の方が女っぽい見た目してるだろ」
「見た目はねー。でも今の伊吹内股だし、ちょっと早歩きしただけでよろけて、もっとゆっくりつ歩いてよ~って言ってくるんだよ?
僕より伊吹の方が女の子でしょ~」
「お前のせいだろうが!」
「へへっ。今日のデートプランは僕に任せてね! お姫様扱いしてあげる。それが昨日の罰だよ~」
「ったく。じゃあ男らしくエスコートしろよな!」
伊吹が左手を差し出すと、瑞希は右手でその手を取ってゆっくりと歩き始めた。
それから駅に向かい、電車に乗った。瑞希は電車の中でずっとリモコンをオンにした。振動は最弱だが、女性扱いをして伊吹を座らせていたので、奥まで振動が伝わった。
一番左端に座れたので、横にも後ろにも寄りかかれる事だけが救いだ。
前立腺もジワジワと振動の快楽を受けており、伊吹は声を抑えて顔を真っ赤にしていた。
「……──ぅ……ん……ひぅ……」
目の前に立っている瑞希を涙目で睨むが、そういう反応を見せれば見せる程、瑞希は笑いが込み上げるようだ。
口を抑えて笑い声を押さえている。
周りの目が痛い。だが、それも興奮材料でしかない。
「いぃっ!!」
男性器の痛みで伊吹は呻いて身を屈ませた。勃起している性器は大きくなっているのに、貞操帯によってそれを無理矢理押さえ込まれている為、痛みしかないのだ。
痛みすら快楽になってしまう伊吹には地獄でしかない。ベッドの上であれば、はしたなく涎を垂らしながら喘ぐ事も出来るが、ここは公共の場だ。周りに知られるわけにはいかない。
「ほら皆見てるよ? ケツのバイブで興奮してチンポ勃たせてる変態って目で皆が見てるの。恥ずかしいね?」
瑞希は身体を曲げて、周囲に聞こえないよう伊吹の耳を手で覆って囁くように言った。有り得ない事であるが、伊吹の想像力を掻き立て、余計に興奮を深める事に成功している。
「……バカ。俺の下半身事情が見ただけで分かってたまるかよ」
伊吹は悲壮感を出しながら瑞希に訴えた。
「なぁ頼む。一度電車降りてトイレ寄らせてくれよ。チンコが痛てぇ」
「んー。じゃあ……今からここで痴漢されてこい。命令だ」
「……はい。ご主人様……」
命令されるとドMのスイッチが完全にオンになってしまった。
伊吹は完全に目がハートになってドMの本性が露わになっていた。伊吹は立ち上がり、混雑している中心部へと向かった。
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