恋愛音痴による恋愛のすゝめ

ハリネズミ

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プロローグー意外なお願いー(1)

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 俺、黒根幸太くろね こうた二十歳は今絶賛動揺中である。
 一体何がどうしてこうなった?

 目の前にひとりの男。何がそんなに嬉しいのかワンコみたいにしっぽをぶんぶん振っている幻影が見える。
 俺は頭を抱えたくなった。

 事の起こりは十分程前の事。
 この男白井 由貴しらい ゆき十九歳は俺より背も高くすらっとしていてスタイルもいい。顔も整っていて少し垂れ気味の目もワンコみたいで好感が持てる。少しつり気味の俺とは正反対だ。
 その上大学の試験の成績もいいらしいし実家もお金持ちとか、いいところをあげるとキリがないというハイスペック人間、俺とは関わる事はないだろうと思ってた男が実は恋愛した事がなく興味はあるがどうしていいのか分からないと言うのだ。
 二十年生きてきた中で一番の驚きだった。

 まぁ、そこまではいい。
 それで何で俺に「恋愛を教えて下さい」って事になるんだ? 俺だぞ、俺!
 自分で言うのもなんだが俺はモテたことがない。見た目は地味だし特に頭がいいとかそういうのもない。俺自身も恋愛に興味はないし、恋愛? 何それ? 美味しいの? って感じ。
 絶対無理! と断ろうと口を開きかけ、幻のしっぽをせわしなく振りながら期待の眼差しを向けてくる白井の姿を見てしまった。

 無理ぃ――。

「大船に乗ったつもりで任せろっ」

 気持ちとは反対の言葉が口をついて出た。おまけにドンっと胸を叩いて見せたりもして。

 あぁ俺のバカ! 頼られると嫌とは言えないんだよね。それでいつも後悔するのに……。

 ――――はぁ……。
 俺は笑顔を引きつらせながら心の中で盛大にため息を吐いた。

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