浅井長政伝

(そんな事はありえるか?)
正純はこの話を信じられないと思った。だが他に言い出すタイミングがなかっただけともいえなくはないような気がしてくる。他にも仕事の関係で時間がないという理由もあるはずだ。そうなるとあまり追求するのは悪い気もしてきてこれ以上何も言えないのであった。
ともかくこの話は瞬く間に広まったようで、翌日以降から祝いの準備が始まっていく事になる。光秀らも準備がある為堺に行く日を先延ばししてもらいたいと申し出たほどだ。彼らは多忙を極めていたので、すぐに許可された事が救いだっただろう。もっとも翌日には全て終わってしまい改めてお礼を言われる事になったけどね。正澄もその光景を見れて嬉しかったに違いないだろう。ちなみに彼らの息子は、妻となった女性の元に嫁ぐために今は堺に滞在しているとかいう話だ。
彼らの息子である林秀貞とその弟の村井吉兵衛もそれぞれ嫁を得て、すでに子が生まれたという報告も受けているそうである。皆順調に家庭を築いていける事になり良かったと思ってくれたらいいなぁと思う正純達であったが果たして……。その後堺に行った彼らが祝われたかどうかはわからないがきっと幸せになったのではないかと思っている。
◆天文15年春(西暦1546年夏)
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