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初夜は甘くて、ほろ苦く……?

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 アマリアが腰掛けてすぐ、ドアが再び叩かれた。

 フレイディが返答すると、すぐに執事が入ってくる。

「本日はお疲れ様でございました」

 執事はハリソンであった。

 夜も更けているというのに、普段、働くときの執事服姿だ。

 先ほどまでのパーティーでも執事として働いていたというのに、勤勉なことである。

 カートに乗せられたカップの中身はココアだった。

 湯気を上げているそれから、甘い香りが漂ってくる。

 それをことりとローテーブルに置かれるので、アマリアはお礼を言った。

「ありがとうございます。ハリソンさんもお疲れ様です」

「おや、ありがとうございます」

 アマリアの顔を見て、ハリソンは優し気な顔で微笑んで、あちらもお礼を言ってくる。

 隣に座っていたフレイディも二人のやりとりを見て、笑みになった。

「では、ごゆっくりおやすみなさいませ」

 ハリソンは飲み物の支度を整えただけで、礼をして出ていった。

 アマリアとフレイディは二人で残される。

 アマリアは改めてどきどきしてきてしまった。

 初夜である時間に、結婚した伴侶と二人きりで、一体どう過ごせばいいのかと思ってしまう。
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