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私の知らない貴方

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 まだ描きかけも描きかけ……着色すらまともにはじまっていないところなのに、こうして見られてしまうのは気恥ずかしい。

 でも宮廷画家として、進捗は共有しておかなければいけないのだ。

 親しい身内の間で見られることにはもう慣れた。

「精一杯やらせていただきます」

 なのでアマリアの返事ははにかんだ。

 はっきりそう答えたけれど、ちょっと声に照れは混じっただろう。

「頑張ってね。絵が特技なんてすごいわ」

「いえ……本当に趣味であるだけです」

 フィオナに褒められて、ますますくすぐったくなった。

 本当に、自分が継承式典用の絵を描くなど身に余る栄誉。

 でも趣味であることに変わりはないので、その通りのことを言う。

「いいえ、そんなことはないわ。私も昔、お勉強の時間に絵を習ったことはあったけれど、あれほど正確には到底描けなかったもの。そもそも苦手だったし」

 しかしフィオナはそう言った。

 その発言は、ジェシカがくすくすとはっきり笑う。

「フィオナはどちらかというと、運動のほうが優秀だったものね」

 からかうような言葉だったが、その中には確かに孫を愛おしく思う気持ちがたっぷり入っていた。

 アマリアは今度、あたたかい気持ちの笑みが浮かんでくる。
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