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歯車が狂うとき
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「暑い……」
服を捨ててしまったために、服やバッグ、アクセサリーを智美と一緒に買い物しにきた。リクルートスーツしか手元になかったため、暑くて仕方がない。
「あ、これとこれもいいんじゃない?」
「ちょっと派手じゃない…?」
「そう?こういうのも本当は結衣は似合うと思うけどな。今まで三島さんの趣味なのか知らないけど明るめなのが多かった「うん…なんか目の前にいるの結衣なのに結衣じゃないみたい。」
「え…?変かな…?」
「ううん、想像以上に似合っている。ネイビーだからか、結衣が大人の綺麗な女性って感じがする。今までは服装のせいなのか、20歳で時が止まっているようだった。」
窓ガラスに映った自分を見てみると、そこには確かに大人の女性がいた。ネイビーの総レースのワンピースに巻いた髪、赤のルージュ。今まで20歳のまま時が止まっているほうがおかしいはずだ。だって私はもう30歳なのだから。
「智美…私……」
こんな風に急に買い物に行こうと私から智美を誘ったことは、友達になってからずっとなかった。だから、今日、こうやって買い物に付き合ってくれたのは不思議に智美は思っているはずだ。だけど、智美から私に何も聞いてこなかった…。
「智美……?」
智美は何も言わず、綺麗な横顔から涙がそっとこぼれ落ちている。肩肘ついて横を向いて、こぼれおちる涙は、女の私から見ても綺麗な涙だった。」
智美が薦めてきたのを手にとって鏡で見ていると確かに悪くはなかった。三島に気に入られたくて、無意識に今までシンプルな服を、できるだけ白の服を選んでいたのかもしれない。
「この服、買おうかな。」
「うん、似合ってしいいと思うよ。この服着て行ったら?その恰好じゃ暑いでしょ。」
そのあと智美が髪を巻いたほうがいいということで美容院にも行き、カフェでやっとランチを食べた。すでに時間は3時で、ランチというよりおやつの時間だった。
「終わったんでしょ……恭弥さんと。」
「……うん。もう……耐えられなかった。三島さんのこと、好きだったのっ……。」
「ちゃんと……自分の気持ち伝えられた?」
「うん……好きって言ったら契約終了だったから、好きって伝えたよ。」
「ならよかった。」
涙をぬぐいながらくしゃくしゃっと笑う智美を、目の前のテーブルがなかったら強く抱きしめていたと思う。泣くのを必死に我慢している私の代わりに泣いてくれて、本当はいつも心配をしてくれた智美には、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「今日、夜飲みに行こうか!」
「でも、明日仕事だから……」
「いいじゃん!行こう行こう!それに……」
「それに…?」
「引っ越すんでしょ?」
「智美……」
智美みたいな、いつも私を見守ってくれる優しい友達は、きっともうできないと思う。週に1回は会ってきた友達だからこそ、会えなくなるのは寂しすぎる。だけど、それ以上に……ここにいるのが今の私には辛い。
「結婚式には来てよね……あと、新婚旅行は、結衣が住んでいるところにする。」
「智美……うん、うん、連絡する。結婚式にも参加する。」
服を捨ててしまったために、服やバッグ、アクセサリーを智美と一緒に買い物しにきた。リクルートスーツしか手元になかったため、暑くて仕方がない。
「あ、これとこれもいいんじゃない?」
「ちょっと派手じゃない…?」
「そう?こういうのも本当は結衣は似合うと思うけどな。今まで三島さんの趣味なのか知らないけど明るめなのが多かった「うん…なんか目の前にいるの結衣なのに結衣じゃないみたい。」
「え…?変かな…?」
「ううん、想像以上に似合っている。ネイビーだからか、結衣が大人の綺麗な女性って感じがする。今までは服装のせいなのか、20歳で時が止まっているようだった。」
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「智美…私……」
こんな風に急に買い物に行こうと私から智美を誘ったことは、友達になってからずっとなかった。だから、今日、こうやって買い物に付き合ってくれたのは不思議に智美は思っているはずだ。だけど、智美から私に何も聞いてこなかった…。
「智美……?」
智美は何も言わず、綺麗な横顔から涙がそっとこぼれ落ちている。肩肘ついて横を向いて、こぼれおちる涙は、女の私から見ても綺麗な涙だった。」
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「この服、買おうかな。」
「うん、似合ってしいいと思うよ。この服着て行ったら?その恰好じゃ暑いでしょ。」
そのあと智美が髪を巻いたほうがいいということで美容院にも行き、カフェでやっとランチを食べた。すでに時間は3時で、ランチというよりおやつの時間だった。
「終わったんでしょ……恭弥さんと。」
「……うん。もう……耐えられなかった。三島さんのこと、好きだったのっ……。」
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