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切ない想い②
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「私は何もしていません。失礼します。」
甲斐が出て行って、すぐに携帯が鳴った。
福田からの着信だった。
「福田さん、どうしたの?」
「……あ……」
「福田さん……?」
「ごめん、電話して……迷ったんだけどどうすればいいのか分からなくて。」
「どうしたの?」
「三島さんが……」
「三島さんが、どうしたの?」
「テレビつけてみて」
「テレビ……?」
福田さんの態度からして
いい話じゃない。
それが伝わってきて、リモコンを握る手が震えていた。
「嘘……」
テレビのニュースには、三島が交通事故に遭ったというニュースが流れていた。現場からのレポートとニュースには粉々に散った車の破片に、血も道路に流れていた。
「嘘……嘘っ……」
「大丈夫?宮園さん!俺、今からそっちに行くよ!」
欲しいものが、もう手に入らないと分かった瞬間にならないと
人間は屁理屈ばかり並べて
自分の気持ちに素直になれないのかもしれない。
もう、本当に、どんなに願っても会えないの……?
ねぇ、三島さん。
私の名前じゃなくてもいいから
結衣って呼んで。
冷たい瞳の向こうにある
優しい微笑みをするあなたのことが大好きで
愛おしそうに大事に結衣って名前を呼ぶあなたの声を何度も聞きたくて
馬鹿げている関係なのはわかっていたけど
あなたに会っていたの。
不安に押しつぶされそうになりながらテレビを観ていると携帯が鳴り響いた。着信は甲斐さんだった。
「もしもし!あの!三島さんは!?三島さんはどうなんですか!?今テレビで観てっ……」
「やはり心配されていましたか…三島は大丈夫です。頭を打って出血がありましたが、意識はあります。検査などがあるので入院はしますが……」
「よかったっ……よかった……」
「……病院に来ますか?」
「え…?」
「こんなことがあればあなたも三島に会いたいはずです。表はマスコミもいるので、裏口から入れるように手配しておきます。」
一目会いたい。
寝ている姿でいいから、生きている姿がみたい。
それだけでよかった。
「じゃあ……お願いします。」
電話を切ると同時にインターホンが鳴った。
出ると福田が息を切らしている姿が見える。
「福田さん、私、今から三島さんのところへ行こうと思う。」
「やっぱり……心配だから?好きだから?」
「ニュース見て、死んだかもしれないって思った時、私、世界が止まったって思った。真っ暗で何も見えなくて……私の思いは叶うことができなくても、思いを伝えたい。奥様のことを考えると……申し訳ないんだけどっ……」
例え、どんな夫婦関係であったにせよ
世の中からすれば不倫だ。
2人は婚姻関係にあるのだから。
私が愛した人は結婚している人で
恋をしてはいけない人。
両想いになってはいけない人。
「宮園さん、本当にあの人のことが好きなんだね……」
「うん……」
「後悔しているんだ、この間のこと。」
「え?」
「宮園さんを引き止めちゃったから。」
「そんな……」
「俺、宮園さんの思いを無視して、結衣姉のことしか考えてなかったから……宮園さんは、三島さんのこと本気で好きじゃないって心のどこかで思いたかったのかも。」
「福田さん……」
「結衣姉、結婚前に俺に言ってたんだ。こんな私でも愛してくれる人がいるって、嬉しそうに……きっと結衣姉は三島さんのこと愛していると思う。だけど、どうしてお金のためだなんて言ったのか、10年も姿を消していたかわからないけど。」
「今から私三島さんがいる病院に行ってくる。それから奥様にも話をしてくる。」
「……一緒に行こうか?」
「ありがとう、だけど、私一人で行く。」
本当は怖い。
もう三島には会わないでと奥様には言われているのに
三島に会うことが……
でも、ここを乗り越えないと何も乗り越えられない気がしたから。
甲斐が出て行って、すぐに携帯が鳴った。
福田からの着信だった。
「福田さん、どうしたの?」
「……あ……」
「福田さん……?」
「ごめん、電話して……迷ったんだけどどうすればいいのか分からなくて。」
「どうしたの?」
「三島さんが……」
「三島さんが、どうしたの?」
「テレビつけてみて」
「テレビ……?」
福田さんの態度からして
いい話じゃない。
それが伝わってきて、リモコンを握る手が震えていた。
「嘘……」
テレビのニュースには、三島が交通事故に遭ったというニュースが流れていた。現場からのレポートとニュースには粉々に散った車の破片に、血も道路に流れていた。
「嘘……嘘っ……」
「大丈夫?宮園さん!俺、今からそっちに行くよ!」
欲しいものが、もう手に入らないと分かった瞬間にならないと
人間は屁理屈ばかり並べて
自分の気持ちに素直になれないのかもしれない。
もう、本当に、どんなに願っても会えないの……?
ねぇ、三島さん。
私の名前じゃなくてもいいから
結衣って呼んで。
冷たい瞳の向こうにある
優しい微笑みをするあなたのことが大好きで
愛おしそうに大事に結衣って名前を呼ぶあなたの声を何度も聞きたくて
馬鹿げている関係なのはわかっていたけど
あなたに会っていたの。
不安に押しつぶされそうになりながらテレビを観ていると携帯が鳴り響いた。着信は甲斐さんだった。
「もしもし!あの!三島さんは!?三島さんはどうなんですか!?今テレビで観てっ……」
「やはり心配されていましたか…三島は大丈夫です。頭を打って出血がありましたが、意識はあります。検査などがあるので入院はしますが……」
「よかったっ……よかった……」
「……病院に来ますか?」
「え…?」
「こんなことがあればあなたも三島に会いたいはずです。表はマスコミもいるので、裏口から入れるように手配しておきます。」
一目会いたい。
寝ている姿でいいから、生きている姿がみたい。
それだけでよかった。
「じゃあ……お願いします。」
電話を切ると同時にインターホンが鳴った。
出ると福田が息を切らしている姿が見える。
「福田さん、私、今から三島さんのところへ行こうと思う。」
「やっぱり……心配だから?好きだから?」
「ニュース見て、死んだかもしれないって思った時、私、世界が止まったって思った。真っ暗で何も見えなくて……私の思いは叶うことができなくても、思いを伝えたい。奥様のことを考えると……申し訳ないんだけどっ……」
例え、どんな夫婦関係であったにせよ
世の中からすれば不倫だ。
2人は婚姻関係にあるのだから。
私が愛した人は結婚している人で
恋をしてはいけない人。
両想いになってはいけない人。
「宮園さん、本当にあの人のことが好きなんだね……」
「うん……」
「後悔しているんだ、この間のこと。」
「え?」
「宮園さんを引き止めちゃったから。」
「そんな……」
「俺、宮園さんの思いを無視して、結衣姉のことしか考えてなかったから……宮園さんは、三島さんのこと本気で好きじゃないって心のどこかで思いたかったのかも。」
「福田さん……」
「結衣姉、結婚前に俺に言ってたんだ。こんな私でも愛してくれる人がいるって、嬉しそうに……きっと結衣姉は三島さんのこと愛していると思う。だけど、どうしてお金のためだなんて言ったのか、10年も姿を消していたかわからないけど。」
「今から私三島さんがいる病院に行ってくる。それから奥様にも話をしてくる。」
「……一緒に行こうか?」
「ありがとう、だけど、私一人で行く。」
本当は怖い。
もう三島には会わないでと奥様には言われているのに
三島に会うことが……
でも、ここを乗り越えないと何も乗り越えられない気がしたから。
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