灰色の軌道
西暦2189年。
人類は月、火星、そして小惑星帯へ進出していた。
地球統合連邦と外縁自治同盟。
資源を巡って緊張を続ける二つの勢力は、まだ正式な戦争状態にはなかった。
少なくとも、黒瀬レンはそう思っていた。
ある日、レンは軍用輸送艦への攻撃命令を受ける。
だが、その敵艦の撃沈結果は――
ミサイルを発射する前から記録されていた。
さらに軍が発表した死者数「8,142人」も、戦闘が始まる前から存在していた。
誰かが未来を予測している。
いや。未来を予測しているのではない。
未来を、そうなるように作っている。
これは、人類が初めて「自分の意思で戦争をする」ということを疑った物語である。
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