夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸

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第百九十二話 たぶん男の子だと思います(※挿絵あり)

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ラウル様との再会を果たした後、二人でカイルの元へ向かった。
ラウル様と再会したカイルは泣きじゃくった。
私と一緒にいるときは、ほとんど涙を見せなかったのに。
きっと妊娠している私を気遣い、ずっと気丈に振る舞っていたのだろう。
ラウル様は何度もカイルに謝り、泣き止むまでその体をずっと抱きしめていた。


夜に寝室で二人きりになったときに、ラウル様は言った。

「カイルが、兄の子どもの頃そっくりだったので、驚きました。兄が生き返ったのかと…」

ラウル様は赤ん坊の頃のカイルを見て以来、魔女に視力を奪われ、ずっとカイルの姿を見ていなかった。
だから、6年ぶりに、カイルの姿を見たのだ。
ラウル様にとってはカイルと久しぶりに再会するとともに、初めてその成長を知る機会にもなったのだろう。

「カイルは、ラウル様にもとてもよく似ていますよ」
「そうですね…私たち兄弟はよく似ていると、子どもの頃から言われ続けていましたから」

ラウル様は、私のお腹に、そっと手を触れてくる。



まだお腹はそれほど目立っていないけど、ラウル様は壊れ物に触れるように触れてきた。

「この子…たぶん男の子だと思います」
「分かるのですか?」
「ラウル様が戻ってくる直前に、夢を見ていたんです。カイルが片方の手を男の子、もう片方の手を女の子とつないでいる夢…」
「それが私たちの子だと?」

ラウル様に問われて、私はうなずいた。

「ラウル様が言ったんです、夢の中で。あの子たちは、みんな私たちの子だと」

私が言うと、ラウル様は微笑んだ。

「素敵な夢ですね」
「はい…男の子のほうが、少し年上に見えたんです。だからきっと、あれがこの子だったんだと思います」

私は、お腹に触れているラウル様の手に自分の手を重ねる。

「皇女様たちは、明日か明後日に戻ってくるんですよね?」
「はい。私は伝令代わりに先に出発しましたが、皇女も長く皇宮を離れていられないと思うので。たぶん、明日か明後日には到着すると思います」

主治医とも相談して、私は安定期に入ってからカイルと一緒に首都に戻ることになっている。
ラウル様や皇女様は先に首都に戻って今回の件の処理を行う必要があるので、また、ラウル様とは離ればなれになるのだけれど。
お腹の赤ちゃんの安全を最優先に考えたら、それが最善の方法だろう。
もう魔女はいないし、ラウル様を脅かすものもいない。
ただ…。

「フロレンティーナさんは…」
「彼女の罪は大きいですが、彼女自身が手を下したことが少ないので、裁判次第ですが…極刑ではなく幽閉という形の懲役刑になるのではないかと。伯爵令嬢ですし、過去の判例を見ても、その程度の判決が出ると思います」
「そうですか…もう、歩けるようになったんですよね」
「はい。イザークが『代償』をすべて破壊し、皇女が魔女を封じたので、『代償』はそれぞれの持ち主の元へ戻りましたから」

あの新月の夜に何があったのかについても、ラウル様に詳しく教えてもらった。
皇女様は自身が犠牲になる可能性もあったのに魔女を封印することを決断し、イザークさんがそれをサポートしたのだという。
魔女の封印後、皇女様に怪我はなかったものの、神聖力はなくなり、『聖女ではなくなった』と本人が言っていたらしい。
イザークさんは『代償』のある部屋を爆破した際に大けがをしたのだけれど、これも命に関わるほどではなかったという。
ただ、皇女様の神聖力がなくなったことで、イザークさんの怪我は、医療による手当と自分の治癒力によって治す必要があった。

「イザークのことは、たぶん皇女がつきっきりで看病していると思います」

ラウル様は、少し意味深な感じで言った。

「封印された魔女が、再び動き出す心配はないのですか?」
「魔女を封印した部屋は、皇女の最後の神聖力で封じられています。それに、あの城も物理的に出入りができないようにしています。ですから、心配はないかと」
「そうですね…」

魔女が封印され、フロレンティーナさんの懲役刑が確定しているとはいえ、不安要素がゼロになったわけではない。
でも、魔女がいようがいまいが、これからだって大変なことは起きるだろうし、私たち夫婦もいろんな壁にぶつかりながら、少しずつ成長し、前に進んでいくのだろう。
ラウル様は私の体を、抱きしめてくれる。



「もう二度と、あなたに会えないと覚悟をして離れたはずなのに、毎日あなたのことばかり考えていました」
「私もずっと、ラウル様のことを考えていました…」
「すみません…何度もあなたを裏切ってしまいました」
「それは、ラウル様のせいじゃありません。もう自分を責めないでください」

ラウル様は何も言わず、抱きしめる腕に力を込めた。
そこに、すべての感情が詰まっている気がした。
この腕のぬくもりは、幻でも何でもない。
それだけでもう良かった。
ずっと運命に翻弄されてきたこの人を、これからも支え、どんな時も味方になって守っていきたいと思った。
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