聖なる王女はベッドの上で帝国を救う

梵天丸

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第三十一話 聖なる主導

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クリストフが下から支えるように腰を突き上げ始めた瞬間、レティシアの体は奔流に飲み込まれるような感覚に襲われた。自分一人で動いていた時とは比べ物にならないほどの強い刺激が、体の奥深くを貫いていく。

「あっ、んっ、ぁ、クリストフさまっ…!そ、そんなに強く…っ…!」
「レティシアが頑張っているのですから、私も助けなければ」
「で、でも、私が…主導しないと…っ、んぁっ!」

言葉とは裏腹に、クリストフの動きはレティシアの快感を的確に捉え、増幅させていく。レティシア自身も、もはやクリストフの助けを拒むことはできなかった。

むしろ、その力強い導きに身を任せる心地よさを感じ始めていた。

狭く熱い場所で二つの体が結合し、互いの熱を感じ合う。ギシギシと鳴るベッドの音と、二人の荒い息遣いだけが部屋に響く。レティシアは、自分が今、クリストフを救うために神聖な儀式を行っているのだということを忘れそうになるほど、目の前の快楽に溺れていた。

(ダメ…しっかりしないと…私が、クリストフ様を…)

しかし、思考とは裏腹に、体は正直に反応してしまう。クリストフが最も感じやすい場所を突き上げるたびに、レティシアの体はビクンと大きく跳ねた。

「あ、ぁっ、もう…だめ…っ、きちゃ、ぅ…!」
「レティシア…っ…!」

クリストフも限界が近いのか、苦しげな呻き声を漏らす。レティシアはクリストフの首に必死にしがみつき、訪れる波に備えた。そして、全身を貫くような強い痺れと共に、レティシアは意識が白く染まるのを感じた。ほぼ同時に、クリストフもまた、レティシアの体の奥深くに熱いものを注ぎ込んだ。

「はぁ、はぁ……っ……」

重なり合ったまま、二人はしばらく動けずにいた。レティシアはクリストフの胸に顔をうずめ、彼の心臓の鼓動を聞いていた。それは力強く、安定しているように感じられた。

(今回は…大丈夫だった…?)

恐る恐る顔を上げると、クリストフは穏やかな表情でレティシアを見つめていた。
あの虚ろな目は、どこにもない。

「クリストフ様…?」
「…大丈夫です、レティシア。私は、ここにいます」

その言葉に、レティシアは心の底から安堵した。クリストフの体に覆いかぶさったまま、安堵のためか、少し目が熱くなった。

「良かったです…」
「レティシア…無理をしたのでは…?」
「いえ…大丈夫です…心配いりません…」

クリストフは優しくレティシアの髪を撫でた。彼の体からは、以前のような重苦しい気配が薄れているように感じられる。神の啓示は、やはり正しかったのだ。

「レティシア…啓示について、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」

落ち着きを取り戻したクリストフが尋ねる。
レティシアは、神殿で聞いた言葉をそのまま伝えた。

「『聖が闇を制すーー順を違えてはならない』…と」
「聖が闇を…順を違えてはならない…」

クリストフはしばらくその言葉を反芻していたが、やがて合点がいったように頷いた。

「なるほど…あなたの聖なる力が、私の内なる闇…ハルディンを抑える鍵であり、その力の行使において、あなたが主導権を握る必要がある、ということですね」

「はい、私はそう解釈しました。だから、私が先に動くことが必要で…クリストフ様が先に衝動に駆られてはいけないのだと…」
「あなたの解釈は正しいと思います。私が闇に飲まれかけたのは、いつも私自身の衝動がきっかけになっていた気がします。それをあなたが聖なる力で制御してくれる…」

クリストフはレティシアの瞳を真っ直ぐに見つめた。

「あなたは、私の光です、レティシア…」
「クリストフ様…」
「ただ、啓示の通りなら、あなたに無理をさせてしまう。それが心配です…」
「私は…クリストフ様をお守りしたい…あなたのことを…愛しているから…」
「レティシア…」

優しく微笑んだクリストフの顔が近づいてきて、そっと唇が重なった。
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