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夏の終わり☆

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 虫たちの涼やかな声に、はや秋の訪れを感じられる頃、離れの庭先ではカーン、カーンと乾いた打撃音が響く。

 エステルとレオは、木剣で剣術の稽古をしていた。

 レオの剣技は正統派、教科書のような太刀筋だ。
 実戦ではもっと汚い……絡め手を使った戦い方になるが、近衛騎士のエステルにはレオの剣筋が好ましく感じる。

 王族の護衛を任される近衛騎士団は、王国騎士団の中でも名家出身のものばかり。
 辺境の騎士団からはお上品と揶揄されるが、基礎はしっかりしている。
 その彼らと比べても、レオの剣術はまあまあじゃないかとエステルは思った。


「今日はもう、この辺にしておこう」

 エステルの息が上がったのを見て、レオが木剣を降ろした。

「明日はいよいよ、王城だな」

 乾いた布で額の汗を拭きとりながら、エステルはレオを見る。レオは汗をかいたりはしない。

「レオも私の従者として、一緒に城勤め出来ることになったのが良かった」

 井戸から汲んだ冷たい水をゴクゴクと飲み、一息つくエステル。

「この離れとも、今日で最後だ……」

 ここでレオと過ごした二か月間を、惜しむように周囲を眺める。

「浴室で汗を流そう。湯を用意してある」

「ああ……」


 もう入浴に介助は要らないが、当然のようにエステルと共に浴室に入るレオ。
 裸で風呂椅子バスチェアに座ったエステルに、手桶でお湯をかけて行く。

 ほどよく引き締まり、陽に焼けたエステルの身体は健康そのもので、レオが来たばかりの頃の痩せて弱々しい姿は影も形もない。

 レオが石鹸を泡立てた布を持って後ろから手を回し、やわやわと胸を揉むように洗うと、エステルはすぐに鼻にかかった声を漏らした。

「はぁっ、ぁっ」

 石鹸の泡ですべりのよくなった肌を、レオの長い指がすべるように触れていく。
 そして悪戯をするみたいに、双丘の先端のつんと立ち上がった尖りを摘まんだ。

「ふぁっ、レ、レオ」

 エステルが後ろを振り返ると、レオがその唇にキスを落とした。レオは椅子の後ろから、エステルの前に移動して跪くと、エステルの身体を隅々まで丁寧に洗い清めた。

 そのレオに心と体を預けて、なすがままにさせているエステル。
 さらに膝を曲げて大きく脚を開き、両の手で膝裏を抱えるようにして、自分から秘処を晒すことさえしてみせる。

 上目使いに見るレオのクリスタルの瞳がキラリと輝いた。
 とろりと蜜を垂らしている秘処に顔を寄せると、レオは秘裂を下から上になぞるように舐めあげた。
 包皮に隠れている秘粒も見逃したりはしない。
 ぬるついた包皮を器用に剥いてしまうと、充血して真っ赤な秘粒を、舌先を尖らせグルグルと舐め回した。
 さらに口の中に含んで、ちゅちゅ、と吸うとエルテルは「ぁっ」と一声上げて仰け反り、あっけなく達してしまった。

 再び手桶でエステルを洗い流すと、レオは彼女を抱いて湯船の中に入った。エステルはレオの胸にもたれかかり、甘えるような仕草で手を回した。それからその手をレオの脚の付け根の、お湯の中で揺れているものに伸ばし、指を絡めた。

「レオもアノ時――感じて絶頂ッていたり、する……?」

 ずっと気になっていたのに、怖くて聞けなかったことをエステルは口にした。

「その必要があると思う?」

 人形ドールだから。人形ドールなのに。

「でもレオは以前、食事をするのは好きだと言った」

「言ったな。これも言っていいのか分からないが。エステルの中に射精すのは……とても好きだ」

 浴室にエステルの朗らかな笑い声が響く。

「今夜は、ここで過ごす最後の夜だ。今日は私がレオを良くしてあげたい」



 場所を寝室のベッドに移して、エステルはレオを愛撫した。この二か月、自分に尽くしてくれたレオに、感謝の気持ちを込めて。
 医者や家族、許嫁にまで見放されたエステルを、レオが癒して身も心も救ってくれたのだから。

 たどたどしく不慣れな愛撫を、レオは黙って受け入れエステルの好きなようにさせていた。

女教師ガヴァネスから閨教育を受けた時に、男はこの部分に奉仕を求めることがある、その時は嫌な顔をせず言われた通りに従うようにと言われた」

 閨では常に夫に従い、言われた通りにすることで夫の愛情を得られる、と女教師ガヴァネスはエステルに教えていた。

 今ふたりはベッドの上で、裸で向き合って座っている。
 エステルは勃ち上がった彼の雄を手に、どうして良いのか分からず、途方に暮れてレオを見た。

「どうしたいの? エステルは」

「これに奉仕をして、レオを絶頂かせたい」

「……それは、エステルにとって必要なこと?」

 人が聞いたら、人形ドールに奉仕して絶頂かせたいなんて、気がふれていると思われるかもしれない。
 そもそも人形ドール絶頂く機能があるのかも、わからないのに。

 レオはエステルに乞われて、やり方を教えた。それは、人間の男を相手にした場合の性技。

 躊躇することなくレオの脚の間にうずくまると、この二か月間幾度となくエステルのなか膣内に挿入されてきたモノを口に含み、言われるままに舌と手を熱心に動かした。

「そう、上手だ。歯は立てないように気をつけて……そろそろ射精すよ」

 エステルが疲れてしまう前に、レオは望み通りに口腔内に浄化した魔力を放った。

 びゅうびゅうと喉奥に放たれる熱い魔力を、エステルはコクコクと飲み干して行く。
 レオの放つ精は無味無臭で、飲みにくくはなかった。
 白濁を飲み込むと、込められた魔力がエステルの身体中を巡り、内側から彼女の心と身体を暖めた。まるでレオの存在そのものみたいに。


 ――彼は、満足してくれたのだろうか。
 

「エステル、泣いている? 何故?」

 エステルの身体を横抱きにすると、レオは頬に手を当て、零れ落ちる涙を唇で吸い、舌で舐めとった。

「あのね……幸せで。……レオが、好きだ。レオが人形ドールだとか、関係ない。レオは、私を闇の中から救い上げてくれた――ありがとう」

「……エステル」

 言葉はもういらなかった。二人の唇が重なり合い、ゆっくりとベッドに倒れて行く。


 エステルはレオの腕の中で、ゆらゆらと優しく揺らされた。揺りかごに居る赤子みたいに。


 そうして最後の最後に、身体の奥深い処にレオの暖かい精を受け止めると、多幸感に酔い痴れた。




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