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第八章 最後の一日

65.パーティー、誰も来てくんない

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 ◆

 18時はもう目前!
 であるにもかかわらず、パーティー会場に集まったのは俺・アズリエル・ハイライター・イレイザー・ルーラー・ステイプラー・親父のみ。
 キツネの使用人ちゃんや食堂のおばちゃんたちはせっせと料理を作ってくれている。
 食卓にはオードブルを構え、結婚式なのかってくらい巨大なホールケーキまで特注で作ってもらった。

 ――なのに。

「来ないですね、ナンバーズの方々。本当に誘ったんですかハイライター?」

 アズリエルがハイライターに尋ねると、

「なんだアズリエル、不安そうな顔を浮かべるな! 俺様が誘ったも誘ったぞ! 爆発的にな!」

 ハイライターは腕を組んだ高笑いをする。

「こりゃ、もしかして僕は嫌われてるってことなんスかね? ちょっと寂しいっス……」

 イレイザーが小言を漏らすと、

「そんなことないわイレイザー! あなたは素敵で優しいもの! 嫌われる要素なんて1つだってないわ!」

 ルーラーはイレイザーの手を取って笑う。

「私が探してこようか? みんな私の顔を見て元ナンバーズって気づいてくれるか分からないけど……」

 ステイプラーがぽりぽり頬を掻く。

「いいや、行かなくていいさステイプラー。きっと来てくれる。だって、まだ18時までには1分あるんだぜ?」

 俺がステイプラーの肩を叩くと、

「そうだねタクヤ。マスター権限でパーティーを開くと言ったのだ。来なかったら、独房に入れちゃおうかな?」

 親父が俺の肩を叩いた。
 あのさ親父、最後の最後まで俺をタクヤって呼ぶんだな。
 タクヤって呼ぶのやめて欲しかったな。
 せめて、一度くらいはノベルって呼んで欲しかった。
 ね、薄らハゲ?

 ――なんて、みんなで話していると!


「俺っち、とうちゃーく! 遅くなって申し訳ないバイ! ちょっち準備をてこずったらしいんネ!」

 重くて大きな扉を開けて、大きな荷物をたくさん持った4人の男女がパーティー会場へ入ってきたのだ!

「きたぞ!」

 遅いぜ全くよ!
 ヒヤヒヤしたぜ~。

「遅れかけたけどどうにかお仕事を終わらせてきました! 本当、ハイライターさん酷いです! チーちゃんの仕事の定時は18時なんですよ! ギリギリ切り上げて来たのですから、チーちゃんを撫で撫でしてください! ぷー!」

 おっぱいが溢れそうな隊服を来た女の子は、乳で木箱を抱えている!
 なんとも下乳がエッチでなかなかいいぞ?!
 荷物が邪魔で顔が良く見えんが、きっと美女であること間違いなしだな!

「オイラの今日の仕事は、隣街まで派遣だったんだよ! 1人で魔物をたくさん倒してクタクタなんだよ~」

 小さな体なのに、自分の体よりも大きな斧を背負っている!
 嘘だろ、あの男の子は一体何歳なんだ?!
 どう見ても小学生くらいにしか見えないぞ!

「アタイはカナヤの洞窟探索だよ! 魔王の幹部クラスがあそこに巣食ってるって噂でね。だけど、今日はハイライターの電報で帰ってきたよ! 便利だねぇ、マスターが貸してくれた『ケータイデンワ』って魔法は!」

 うひょお、あの美女も生足が見えまくってそそるぜ!
 宮殿の中ではちょくちょく見かけることはあったけど、あんなに綺麗な足をしてただなんて気付かなかった!
 可愛いなぁあの人、エロい……。
 ダメだダメだ、俺はこのラノベの主人公だぞ、色欲に呑まれてはならん!

「すまん、俺っちはただの寝坊やんネ! 今日は仕事休みだから、ギリギリまで家でグータラしてたわけサ!」

 とか言いながら、1番重たそうな荷物を軽々と抱えている男は、どうみてもチャラチャラで軽薄そうだ!
 耳のピアスと言い、軽いノリと言い、隊服の裾をまくった姿と言い!
 チャラ男感が否めない……!

 ――だが、これでやっとパーティーの面子めんつが揃ったぞ!
 最初はどうなることかと思ったが、これでようやく2人の幸せを祝うパーティーが開始できそうだ!

「ようし、諸君! 荷物を置いてグラスを持つがいい! ワインを注げ、ビールを注げ、ウイスキーを注げ、ニホンシュを注げ! 今宵は皆で飲み明かそうぞ! イレイザーとルーラーの祝い酒だ!」

 ハイライターはワインの瓶を両手に掲げ、来て早々のナンバーズたちに急いでグラスを持たせる!

「わ、私はお酒苦手なのでオレンジジュースで! グルー君は何飲むの?」

「オイラはまだ6歳だからアップルジュースなんだよ。チゼルちゃん、注いで欲しいんだよ」


「俺っちはニホンシュにしよっかなっ! なぁコンパス。今日はグデングデンになった後、夜の街に遊びに行こうぜ~。この前みたいにー、アツい夜を一緒に、サ!」

「黙れシザーズ! アレは人生最大の汚点だよ! アタイを酔わせて何かしてるの、みーんな知ってんだよ死ねぇ! お前の策略には絶対に乗らん! だが、酒には嘘をつかん! ウイスキーロックだクソ野郎!」


「良い良い、良い酔い! 皆のもの、さかずきは持ったか!」

 みんなは一斉にグラスを掲げ、それぞれの好む飲み物を眺める!

「それじゃ、俺から号令を! 皆のもの、チアチアチアーズ!

「「「「チャーズ!」」」」

 何その乾杯!
 意味不明で反応ができなかったんだけど! 
 文系大学のサークルの飲み会を思い出すなぁ。
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