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23 危険物ソフィア 〜王子視点⑥過去〜
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「魔力が似てるのなら、さっき俺のやった風魔法くらいなら出来るんじゃないか?」
「ウ~ン・・・」
右手の人差し指を立てて、そこに魔力を集め始める従姉妹・・・
そして徐ろに手を掲げて俺の机の引き出しとピンと立てた自分の指先を青紫の瞳をキラキラさせながら見比べる。
「いや、ヤメロ」
思わず彼女の指先を慌てて両手で覆った。
「え。何で」
急に魔法の発動を霧散させられ驚いた顔になるソフィア。
「俺でも分かるぞッ! それじゃ引き出しどころか机がぶっ飛ぶわッ 部屋を破壊する気か?!」
彼女の指先に集まる魔力量が尋常じゃないのは見えなくても肌で感じてゾッとした。
「繊細っていう意味わかってる?」
「うん、魔力を小さくして優しく魔法を出せば良いのよね?」
『冷や汗』という言葉を齢8歳で思い知った瞬間だった。
「小さくしてねえよ! お前のは凝縮してるんだよ・・・」
「え?」
危ないコイツ・・・ 無意識かよー。
コテンと首を傾げると俺の結った彼女の三つ編みがゆらっと動いた。
「早めに魔法の家庭教師をつけて貰ったほうがいいかもな」
「え、もういるよ」
「それでか?」
使えんな・・・
「怪我してしばらくお休みなの」
何故か目を逸らすソフィアに嫌な予感がした。
「初日にね、全力で魔力を先生にぶつけていいよって言うからさぁ・・・」
「ひょっとして全力でやったの?」
「うん。窓から飛んでっちゃった」
「・・・・」
どうやら子供向けの魔法の授業で魔術師がよくやる、一番最初の ――マウント行為みたいな――
『先生はこんくらい強いんだぞ~ ハッハッハ!』
みたいなことをやったらしい・・・
ソイツ馬鹿だわ。
「城壁にぶつかって止まって、全治3ヶ月だって」
「・・・ そうか」
ああ。やっぱり・・・ たぶん治癒魔法使ってそれでも3ヶ月なんだろうな~
遠い目になる俺。
「父様が代わりの先生探してみるって言ってたけど辺境にはあんまりいないらしくってさあ~」
「まあ、どっちにしろ同じ程度の家庭教師じゃ無理だろうな。お前の魔力量じゃ魔術師が押し負けるな」
「・・・うん。多分」
「「・・・」」
早くギブスが取れるといいな、と他人事だがそう思った。
「俺も実は繊細な魔力操作が苦手だったんだ。王族は魔力量が多いからな。ソフィアは叔父上の子供だし帝国の皇族の血も流れてるから魔力量は俺と同じかもっと多い筈なんだよ。それを頭に入れてなかった家庭教師が迂闊だったんだな」
「あ。成る程」
俺の説明で腑に落ちたのだろう、声が明るくなった。
「王族専門の家庭教師じゃないと無理だろうな」
「えぇ~・・・」
「それか、自力で学ぶかだろうね」
「・・・そっちがいいかも。それかシルファが教えてよ。私より上手じゃん。父様は忙しいし、母様は下手っぴだしさぁ」
「・・・」
唇を尖らせて不満気な顔をするソフィア。
こうして俺は家庭教師が復帰する3ヶ月の間だけ毎晩彼女に魔法を教える事になったのである。
「ウ~ン・・・」
右手の人差し指を立てて、そこに魔力を集め始める従姉妹・・・
そして徐ろに手を掲げて俺の机の引き出しとピンと立てた自分の指先を青紫の瞳をキラキラさせながら見比べる。
「いや、ヤメロ」
思わず彼女の指先を慌てて両手で覆った。
「え。何で」
急に魔法の発動を霧散させられ驚いた顔になるソフィア。
「俺でも分かるぞッ! それじゃ引き出しどころか机がぶっ飛ぶわッ 部屋を破壊する気か?!」
彼女の指先に集まる魔力量が尋常じゃないのは見えなくても肌で感じてゾッとした。
「繊細っていう意味わかってる?」
「うん、魔力を小さくして優しく魔法を出せば良いのよね?」
『冷や汗』という言葉を齢8歳で思い知った瞬間だった。
「小さくしてねえよ! お前のは凝縮してるんだよ・・・」
「え?」
危ないコイツ・・・ 無意識かよー。
コテンと首を傾げると俺の結った彼女の三つ編みがゆらっと動いた。
「早めに魔法の家庭教師をつけて貰ったほうがいいかもな」
「え、もういるよ」
「それでか?」
使えんな・・・
「怪我してしばらくお休みなの」
何故か目を逸らすソフィアに嫌な予感がした。
「初日にね、全力で魔力を先生にぶつけていいよって言うからさぁ・・・」
「ひょっとして全力でやったの?」
「うん。窓から飛んでっちゃった」
「・・・・」
どうやら子供向けの魔法の授業で魔術師がよくやる、一番最初の ――マウント行為みたいな――
『先生はこんくらい強いんだぞ~ ハッハッハ!』
みたいなことをやったらしい・・・
ソイツ馬鹿だわ。
「城壁にぶつかって止まって、全治3ヶ月だって」
「・・・ そうか」
ああ。やっぱり・・・ たぶん治癒魔法使ってそれでも3ヶ月なんだろうな~
遠い目になる俺。
「父様が代わりの先生探してみるって言ってたけど辺境にはあんまりいないらしくってさあ~」
「まあ、どっちにしろ同じ程度の家庭教師じゃ無理だろうな。お前の魔力量じゃ魔術師が押し負けるな」
「・・・うん。多分」
「「・・・」」
早くギブスが取れるといいな、と他人事だがそう思った。
「俺も実は繊細な魔力操作が苦手だったんだ。王族は魔力量が多いからな。ソフィアは叔父上の子供だし帝国の皇族の血も流れてるから魔力量は俺と同じかもっと多い筈なんだよ。それを頭に入れてなかった家庭教師が迂闊だったんだな」
「あ。成る程」
俺の説明で腑に落ちたのだろう、声が明るくなった。
「王族専門の家庭教師じゃないと無理だろうな」
「えぇ~・・・」
「それか、自力で学ぶかだろうね」
「・・・そっちがいいかも。それかシルファが教えてよ。私より上手じゃん。父様は忙しいし、母様は下手っぴだしさぁ」
「・・・」
唇を尖らせて不満気な顔をするソフィア。
こうして俺は家庭教師が復帰する3ヶ月の間だけ毎晩彼女に魔法を教える事になったのである。
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