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72 テイマー?

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 「ポチ?」

 『ハイッ?』

 「貴方、身体は元々無いのよね」

 『無いです』


 答えを聞いて眉根を寄せるソフィア。


 「じゃあ、今テイムしたのはスタンさんの身体がセット済み状態のポチなの? 流石に成人男性をテイムするのは憚られるわ・・・」


 それを聞いて、顎に手を当て考えるように首を傾げるスタン。


 『多分大丈夫だと思う。俺はスタンっていう名前があるって自分で自覚しているからな。さっきので『ポチ』が俺の真名まなになった訳じゃないから』


 肩を竦めるスタン。


 「スタンさん詳しいですね」

 『コレでも元冒険者だからな』

 「成る程。では、リーナさんもでしょうか?」

 『ウ~ンそれは分からんな』

 「え? 何で」


 スタンは腕組をして考え込む。


 『人は身体と心が揃っていて、人格形成がされてるだろ? 俺は元々その状態だ。そこに余計な奴らが入ってる』

 「ええ。確かに」

 『『ポチ』と『小娘』は俺の身体に間借りしてるが精神体の『個』として成り立ってる。だから俺の口を使って喋れる位の自我があるんじゃないかな? まあ、俺から出て行きゃキチンと分かるかもな。ただ『小娘』の方は俺と違ってひょっとするとテイムされてるかもしれん』

 『『・・・・』』

 『さっきのリナって子が『小娘』の元の身体なんだろう?』

 「ええ。ただ、前世の記憶に塗り替えられた魂が今は中に居て動いてます。本来なら精神体が引っ張り出された時に身体は死んでる筈だったんでしょ? ということは、今のリーナさんの身体の持ち主は里奈さんじゃないでしょうか?」

 『え・・・』

 『うん。多分そうだと思うよ~』

 「ポチ。あなた兎に角スタンさんから出てらっしゃい。ややこしいから」

 『は~い』『・・・』


 テイムされた魔人、素直である・・・。



×××

 

 黒い靄がスタンの体から出てくる様子はさながら怪奇現象のようでグロかったが、何とか終わり、黒いかすみとスタンは別々に立ち上がる。


 「痛え・・・」


 か、に見えたがスタンだけその場に蹲ったうずくまった


 「ああ。殴る蹴るの暴行を加えましたからね。私が・・・『recover』」


 温かな光が彼の身体を包みこんだ。


 「おお。スゴイなアンタ。回復魔法も使えるんだ」

 「まあ、そこそこですが」


 腕を回したり足を上げたりして確認するスタンを他所に靄の方は、やがて人型になった。


 「やっぱり、リーナさんの姿ですね」


 フードを被った姿はリーナのものだったが、実体は無い様で時折ユラユラ揺れたりボヤけたりを繰り返しているように見える。


 「困ったわ。シルファに相談しようかしら・・・」

 『何か依代よりしろがあったらそこに入れるとは思うんだけどサ・・・』

 「他人様の身体はだめですよ」

 『はぁ~い』『・・・』


 依代って、お人形とか? と、ソフィアは思わず首を傾げる。


 「おかしいわ。テイマーを目指してたわけじゃないんだけど・・・」





 ソフィアは最強の魔法少女を目指している乙女である。


 ・・・・。

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