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〜オマケ後日談〜

転生ヒロインはあきらめない

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 私の名前はリーナ。
 
 平民だから姓は無い。

 実は異世界からの転生者で生前の名前は里奈。

 最初から前世の記憶があったわけじゃなくって、元々のリーナがやらかしたお陰で身体が死にかかったせいで記憶を取り戻したのよね。

 で、そのやらかしっていうのがこの国の王太子であるシルファ・グレーン王子を学園の卒業パーティーで怒らせたことで、その原因っていうのは彼の最愛の婚約者に向かって記憶を取り戻す前の私が暴言を吐いたせい。


 この世界は生前、って言っても高校生の頃にハマってプレイしてた『ドキ☆キュン魔法少女リーナ♡貴方のハート狙い撃ちしちゃうぞ☆』っていう・・・ 

 今考えたらめちゃくちゃ恥ずかしいネーミングよね~

 私、死んだの還暦すぎてからだったし・・・

 ゴホン。・・・ で、ゲームの世界にそっくりだったの。

 まあ、ゲームの方がこの世界をパクってたっていうのが後で分かったんだけどね。






 それは置いといて。


 ゲームの中のヒロインのリーナは火属性魔法の攻撃力が飛び抜けて高い美少女。
 平民だけど高い魔力を持っていたせいで貴族の通う学園に特待生として通うようになるのよ。

 で、その学園内で王宮騎士見習いのフリード、シルファ王太子、隣の皇国の皇帝の甥のアジェス、王宮魔術師見習いのノイン、っていう4人の攻略対象者毎のルートの恋愛をシュミレーションするっていうゲームだったの・・・ 
 逆ハーレム有りっていう設定付きのテンプレゲームだったけど、人気絵師さんのキャラが素敵でキャラボイスも豪華で・・・ 

 とにかく友人とキャーキャー言って2人で何度もやった。

 でも実は1番ハマってた推しは悪役令嬢のソフィア・レイド・グレーン嬢。

 シルファ王太子の婚約者で、アジェスの従妹。

 その絡みでこの2人のルートでヒロインに立ちはだかる悪役令嬢なんだけど、ベリーピンク色のサラサラヘアの超美少女なの! え、ピンク色ってヒロインの色じゃんて思ったわよ。

 って、ここまで言えばわかるよね?

 ソフィアたんシンパとなった生前の私は、チョロ過ぎるヒーローと、ツンデレ魔術師なんかパッパと終わらしといて、アホほど王太子ルートとアジェスルートばっかりやってたの。
 
 せっかく買ったから勿体無くてやったけど、他の2人には私の女神は絡んでこないから。

 チョロヒーローの婚約者は伯爵令嬢で、魔術師の幼馴染みが冒険者ギルドの受付嬢。
 この2人が悪役令嬢役なんだけど、ソフィアたんに比べたら出直して来いっ! ていうくらい役不足で足りないの。

 何がって、美少女度が足りないのよ~。

 ソフィアたんは2人分の悪役令嬢役を熟す分美少女度がッ! 半端なく高いのよ。


 その美少女が今まさに私の目の前で口の端に生クリームを付けて、夫である王太子殿下にそれを拭われ、照れて赤くなるという美味しいシュチエーションを頂いてますね。ああ死んで生まれ変わって良かった!

 神様ありがとうございます、あ。この世界作ったの魔人だったわ―― ポチありがとう! でも何でこの世界にスマホとかデジカメないの?!


 「ああ。スマホが欲しい・・・」






 私の呟きを耳にして、目の前の推し、ソフィアたんが首を傾げた。

 ベリーピンクのサラサラの髪の毛がその動きに合わせて、まるで光沢のあるシルク糸のように一緒に動く。


 ――ああ! ありがとうございますっ!! 尊いッ!!


 「え? まあ、便利よね。持ち歩く辞書代わりにもなるし動画も写真もあれ1台でこなすし。今度作ってみようか?」


 辞書が真っ先に来る辺りが流石才女のソフィアたんッ!


 「えっ! いいんですか?!」

 「うん。でも前世みたいにネットワークが発達してない世界だし不要な部分が多すぎだよね?」

 「確かに・・・」


 この世界のソフィアたんは私と同じ様な転生者で、しかも前世は家電の開発してたらしくってちょっと頭の中で設計図を書いて術式組んだらあっという間に生成魔法っていう複合系の魔術で色んなモノを作っちゃう天才なの。

 ゲームのソフィアたんは主に攻撃魔法が強かったけど、そこまで天才じゃなかったから、やっぱりゲームとは全く違う人。

 でもその美少女っぷりはゲーム以上だ。


 「でも、それ何に使うの?」

 「え? ソフィアたんのその可愛さを激写して、動画に納めて永久保存するんですけど?」

 「それはいいな。だが作ったとしてもお前にはやらん」

 「え、殿下、酷い~ ケチ。いっつもソフィアたんを独り占めしてるのに。写真くらいいいじゃないですかっ」

 「駄目だ。ソフィが減る」

 ツーンと偉そうな態度の王太子殿下は、妻であり王太子妃でもあるソフィアたんをでろでろに溺愛してる。

 でもちょっとヤンデレ気味だと思うのよね~。
 ゲームでもヤンデレ属性だったけどさ・・・。

 そして私がソフィアたんを崇めているのを知ってるから余計に私に対してツンだ。

 顔はいいんだよな、顔はさ。

 ちくしょう2人がお似合いすぎて気を許すとうっとりしちゃうのが悔しい・・・


 「まあまあ、私の肖像権の話しとスマホは置いといてさその後どうなってるの? スタンさんとは進展あったの?」

 「・・・ソニアさんに邪魔されてます」

 「あらまあ。ノインの幼馴染みだっけ? 凄く可愛いんでしょ?」

 「・・・ええ。まあ、可愛いですけど私にはメッチャ塩対応ですよあの人。何でノインさんを狙ってるわけでもないのに悪役令嬢みたいな事してくるのかが分かりませーんッ!」

 「あらら」

 「私が好きなのはスタンさんなのに!」


 ついテーブルの上にお行儀悪く突っ伏してしまった。


 そう、何だかんだいってもインテリメガネ系フツメンちょっといい顔寄りの彼のことがイイんだよね~・・・


 だって生前は自分の家庭教師で、就職後に先輩になって、死ぬ間際まで私の旦那さんだった広田恒樹さんにソックリなんだもんッ!!



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