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〜オマケ後日談〜
転生ヒロインその2、考える
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洞窟には色々な種類があり、大まかには洞窟を形成する岩石などによる分類のものと洞窟のでき方による分類で名前が変わるのだ。
石の組成がそもそも違う異世界なので前世の知識では当てはまらないが、でき方に関してはほぼ同じである。
「この洞窟には日光が少しだけ入ってきてるから村の中に草も生えてるのね」
遥か上、洞窟の天井部分を念入りに見回すソフィア。
「ふうん。明るい所を嫌うゴブリンも、生きていくのには水が必要だものね」
村の中心付近に溝を掘り、溜め池を作っている映像を見ながら呟く。
「この洞窟の奥はどうやら1枚岩が褶曲してできた割れ目洞だけど、岩盤が硬すぎて曲がりきれずに割れちゃって天井に隙間ができてるんだわ。そこから雨水が流れ込んできてるのを貯めてあるからこの村のゴブリンは川や湖に近付く必要が無いのね」
「成る程、周辺で動物を狩るだけで食料に困らないから中々見つからなかったんですなぁ」
ソフィアの説明を聞いて、団長が眉を顰める。
「度々ゴブリンは北の森でのみ発見されてその都度駆除しておりましたが、こんな場所に巣があったんでは見つからん訳です。しかも魔術で見つからないようにジャミングまでされている」
小隊長や騎士達も苦々しい顔になった。
「恐らくだけど、天井の隙間がこの場所の弱点になるんじゃないかしら?」
「長年の地殻変動で出来た洞窟がそう簡単に崩れるか? しかもゴブリンメイジ共が魔術で補強していそうだが・・・」
「あ。そうだ里奈のロックフォールならイケるかも」
ソフィアの言葉にその場の全員の視線が彼女に注がれる。
「え? 私の?」
急に注目されて慌てるリナである。
×××
「お、騎士団長! 久しぶり」
「おお、アジェス殿。此度は急でしたな」
騎士隊服に胸当てだけをつけた王宮騎士隊の団長が小隊長達の報告を受けている所にやって来たアジェス。
「王宮から来るの早くねーか? 辺境伯兵団もまだ全員は集まってないぞ?」
「あ~、緊急事態だったので転移門じゃなくて、殿下方お2人の転移魔法でここまで一斉に来たんですよ」
トホホという感じで眉が下がる団長。
「近衛隊と城内外の守備隊、街の警邏の3番隊以外はほぼ全員来ちゃってます」
「・・・多すぎないか?」
「いや、どうなんですかねかなりの数って聞いたんですけど其後の連絡が・・・あ」
空高くから飛んでくる魔鳥――軍の連絡用で魔術師の魔法で作り出された鷹である。
『ゴブリンの推定数1000以上、ゴブリンメイジ6体確認。内1体は処理。メイジキング1体確認。ナイト、ウォーリア未確認。調査隊40名の撤退は現場を見失う恐れがあるため断念し、洞窟の天井部分の崩落を試見る予定。現在作戦行動中。決行時刻イチサンマルマル時。場所はE-8R-12地点』
それを告げると魔鳥は消えてしまう、口述を記録していた書記官2名がメモを団長に渡す。
「地図上で場所の確認を」
団長が両方のメモを見比べ並んだ文字に齟齬がないかを確認した後でメモの片方をアジェスに渡した。
「辺境伯兵団長にお願いします」
「ああ。分かった。で、ソフィア達は?」
「現場にいます・・・」
「あ。アイツら抜けがけ」
チッと舌打ちをする色黒の美丈夫を呆れた目で見る隊長は悪くない。
――と思う・・・
石の組成がそもそも違う異世界なので前世の知識では当てはまらないが、でき方に関してはほぼ同じである。
「この洞窟には日光が少しだけ入ってきてるから村の中に草も生えてるのね」
遥か上、洞窟の天井部分を念入りに見回すソフィア。
「ふうん。明るい所を嫌うゴブリンも、生きていくのには水が必要だものね」
村の中心付近に溝を掘り、溜め池を作っている映像を見ながら呟く。
「この洞窟の奥はどうやら1枚岩が褶曲してできた割れ目洞だけど、岩盤が硬すぎて曲がりきれずに割れちゃって天井に隙間ができてるんだわ。そこから雨水が流れ込んできてるのを貯めてあるからこの村のゴブリンは川や湖に近付く必要が無いのね」
「成る程、周辺で動物を狩るだけで食料に困らないから中々見つからなかったんですなぁ」
ソフィアの説明を聞いて、団長が眉を顰める。
「度々ゴブリンは北の森でのみ発見されてその都度駆除しておりましたが、こんな場所に巣があったんでは見つからん訳です。しかも魔術で見つからないようにジャミングまでされている」
小隊長や騎士達も苦々しい顔になった。
「恐らくだけど、天井の隙間がこの場所の弱点になるんじゃないかしら?」
「長年の地殻変動で出来た洞窟がそう簡単に崩れるか? しかもゴブリンメイジ共が魔術で補強していそうだが・・・」
「あ。そうだ里奈のロックフォールならイケるかも」
ソフィアの言葉にその場の全員の視線が彼女に注がれる。
「え? 私の?」
急に注目されて慌てるリナである。
×××
「お、騎士団長! 久しぶり」
「おお、アジェス殿。此度は急でしたな」
騎士隊服に胸当てだけをつけた王宮騎士隊の団長が小隊長達の報告を受けている所にやって来たアジェス。
「王宮から来るの早くねーか? 辺境伯兵団もまだ全員は集まってないぞ?」
「あ~、緊急事態だったので転移門じゃなくて、殿下方お2人の転移魔法でここまで一斉に来たんですよ」
トホホという感じで眉が下がる団長。
「近衛隊と城内外の守備隊、街の警邏の3番隊以外はほぼ全員来ちゃってます」
「・・・多すぎないか?」
「いや、どうなんですかねかなりの数って聞いたんですけど其後の連絡が・・・あ」
空高くから飛んでくる魔鳥――軍の連絡用で魔術師の魔法で作り出された鷹である。
『ゴブリンの推定数1000以上、ゴブリンメイジ6体確認。内1体は処理。メイジキング1体確認。ナイト、ウォーリア未確認。調査隊40名の撤退は現場を見失う恐れがあるため断念し、洞窟の天井部分の崩落を試見る予定。現在作戦行動中。決行時刻イチサンマルマル時。場所はE-8R-12地点』
それを告げると魔鳥は消えてしまう、口述を記録していた書記官2名がメモを団長に渡す。
「地図上で場所の確認を」
団長が両方のメモを見比べ並んだ文字に齟齬がないかを確認した後でメモの片方をアジェスに渡した。
「辺境伯兵団長にお願いします」
「ああ。分かった。で、ソフィア達は?」
「現場にいます・・・」
「あ。アイツら抜けがけ」
チッと舌打ちをする色黒の美丈夫を呆れた目で見る隊長は悪くない。
――と思う・・・
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