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 私は、第四王子であるエルクル様と対面していた。
 驚くべきことに、彼は私の感情を理解していた。私の表情の些細な変化を見て、私の感情を判断していたのだ。

「僕から見ると、あなたはとてもわかりやすいですよ。感情が、そのまま表情に出ているようですからね」
「確かに、自発的に隠そうとはしていませんね……」
「ええ、だから、何を考えているかは普通にわかります。額面通りに受け取ればいいだけですから」

 エルクル様の説明に、私はまたも驚いた。
 確かに、私は自分の気持ちを表情に出そうと意識している。どんな時も、感情通りの表情になって欲しいと思っているのだ。
 だから、エルクル様は私の感情を見抜けた。変化がわかるなら、額面通り受け取ればいいだけ。それなら、私の心など手に取るようにわかるだろう。

「どうして、わかるのですか? 私の顔に変化があると……」
「ええ、その説明をしなければなりませんね」

 そこで、私はエルクル様に聞いていた。
 どうして、私の表情の変化がわかるのか。それは、聞いておかなければならないことだった。
 先程、彼はずっと見ていなければ、私の変化がわからないと言っていた。それなら、ずっと見ていたということだろう。
 しかし、何故ずっと見ていたのだろうか。それがわからないのだ。

「単刀直入に、事実だけをお伝えしましょう。僕は、あなたのことが好きです」
「え?」
「驚くのも当然だと思います。ですが、これが事実なのです。僕はあなたのことが好きだったから、ずっと見ていた。だから、あなたの表情の変化に気づけるようになった。ただ、それだけのことなのです」

 エルクル様の突然の告白に、私は真っ白になっていた。
 理屈としては、理解できる。私が好きで、ずっと顔を見ていたから、変化に気づけるようになった。それは、単純明快な理由だろう。
 しかし、その前提条件によって、私は大いに混乱している。エルクル様が、私のことが好き。その事実がとても衝撃的なのである。

「あなたとは、何度か晩餐会などで会っていたでしょう? そこで話している内に、あなたのことを好きになってしまいました。あなたの表情が固くなってしまってからも、その気持ちは変わりませんでした。それで、ずっと見ていると微妙に変化があると気づくようになっていたのです」
「そ、そうですか……」

 エルクル様は、少し頬を赤らめながら色々と言ってきた。
 その内容は、今の私に噛み砕けるようなことではない。突然の告白が衝撃的過ぎて、思考がまったく追いつかないのだ。
 こうして、私はエルクル様に告白されたのだった。
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