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2.婚約者への相談

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「妹がわがまま、ですか……」
「ええ……」

 私は、シルファルド・オルガー伯爵令息と会っていた。
 彼は私の婚約者であり、何れはこのアヴォイル伯爵家を継ぐ予定にある。
 そのため、妹の問題は彼にも関係ないものではない。思い切って相談してみることにしたのだ。

「両親が甘やかしてしまうので、どんどんとつけあがってしまって、私でも止められないくらいになっちゃったんです」
「それは困りますね……しかし、納得できなくもありませんね。聞けば、待望の第二子だったそうですし」

 シルファルド様は、整った顔立ちをしている。
 顔の好みというものは人それぞれではあるが、少なくとも私は彼のことをかっこいいと思っている。
 そんな彼は、性格も素晴らしい。清く正しく優しい彼は、私にとっていつも頼れる存在だ。

 シルファルド様のような方と婚約できたのは、本当に幸せなことだといえるだろう。
 彼とは幼い頃からの付き合いではあるのだが、そういう意味で両親はとても見る目があった。
 その両親の目が、今は曇りに曇っている。それは私にとって、とても悲しい事実だ。

「私は一体どうしたらいいのでしょうか? シルファルド様なら、何か名案を下さるのではないかと、実の所期待しているのですが……」
「それは光栄ですね。しかし残念ながら、僕はその期待に添えそうにありません。難しい問題ですからね。これという答えを導き出すことはできません」
「そうですか……」

 私の言葉に対して、シルファルド様は苦い顔をしていた。
 流石の彼でも、妹の問題を解決することはできないようである。
 しかし彼のことだ。何も思いついていないなんてことはないだろう。きっと何かしらの手段の案くらいは、持っているはずだ。

「シルファルド様のことですから、きっと何かしらの策は思いつきましたよね? 参考までに、それを教えていただけませんか?」
「……一つ思いついたのは、押して駄目なら引いてみろ、という作戦でしょうか?」
「えっと、それは……」
「いくら言っても聞かないというなら、いっそのことあなたも彼女のことを甘やかしてみるというのはいかがでしょうか? 案外、堪えるかもしれませんよ?」

 シルファルド様の案は、私にとって驚くべきものだった。
 私も彼女を甘やかす。そんなことをしたら、それこそ終わりなのではないだろうか。エルリナがいよいよ、止められなくなってしまいそうだ。
 しかし、シルファルド様が何の勝算もなく、こんなことを言う訳がない。他に名案もないのだから、ここは彼の案に乗ってみるのもいいかもしれない。
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