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3.甘やかしてみると
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「あら? ウルティナお姉様ではありませんか? シルファルド様とのお話は、もう終わったのですか?」
「ええ……ああ、シルファルド様は、今日こちらに泊っていくことになったわ」
「ああ、そうなんですか」
シルファルド様との話が一段落ついたため、言われたことを早速試してみようと、エルリナのことを探していた。
幸いなことに、彼女はすぐに見つかった。これは幸運と捉えるべきだろうか。
しかし、いざ対面するとどうしていいのかがわからない。甘やかすとは、どうすればいいのだろうか。昔はできていたはずのことが、今となっては思い出せない。
「あ、そうだわ。この間のことだけれど」
「……マリンソワさんのことですか? 一応、後でちゃんと勉強はしましたよ? もうそれでいいではありませんか」
「いえ、そこではないの」
「え?」
私の言葉に、エルリナは不可思議そうな顔をした。
てっきり、また説教されると思って身構えていたのだろう。意表を突かれたといった感じだ。
ただ、私は本当に説教しようと思っていた訳ではない。私が話したかったのは、その後のことなのだ。
「なんというか、最近の私はあなたに厳し過ぎたと思うの」
「え? えっと……」
「あなたもまだ八歳だものね。遊びたい盛りというか、気分が乗らない時もあると思うの」
「そ、そうでしょうか?」
エルリナは、目に見えて困惑していた。
突然私の態度が変わったのだから、それは当然の反応だ。
だが作戦的に、それは良くないかもしれない。ここは私の意思を、はっきりと表明しておくべきだろう。
「私もね、昔みたいに戻ろうと思っているの」
「それは、どういうことですか?」
「その、この間言っていたでしょう? 仲が良い姉妹に戻りたいって」
「い、言いましたが……」
「その望みを叶えたいって、私も思っていたのよ。せっかくの機会な訳だし……」
エルリナの頭の上に、疑問符が浮かんでいる。そう錯覚するくらい、彼女は首を傾げている。
まだ私の主張を受け入れて切れていないということだろうか。言葉にしても伝わらない。それくらい、私は豹変しているということだろうか。
「あなたは私の可愛い妹だもの。これでも、大切に思っているのよ?」
「え? あ、あの……ありがとう、ございます?」
私はとりあえず、エルリナのことをそっと抱きしめた。
こうやって妹と触れ合うのは、随分と久し振りのことである。
しかし、体温というものは強力であるはずだ。これで私が甘やかそうとしていると、エルリナもわかってくれたのではないだろうか。
「ええ……ああ、シルファルド様は、今日こちらに泊っていくことになったわ」
「ああ、そうなんですか」
シルファルド様との話が一段落ついたため、言われたことを早速試してみようと、エルリナのことを探していた。
幸いなことに、彼女はすぐに見つかった。これは幸運と捉えるべきだろうか。
しかし、いざ対面するとどうしていいのかがわからない。甘やかすとは、どうすればいいのだろうか。昔はできていたはずのことが、今となっては思い出せない。
「あ、そうだわ。この間のことだけれど」
「……マリンソワさんのことですか? 一応、後でちゃんと勉強はしましたよ? もうそれでいいではありませんか」
「いえ、そこではないの」
「え?」
私の言葉に、エルリナは不可思議そうな顔をした。
てっきり、また説教されると思って身構えていたのだろう。意表を突かれたといった感じだ。
ただ、私は本当に説教しようと思っていた訳ではない。私が話したかったのは、その後のことなのだ。
「なんというか、最近の私はあなたに厳し過ぎたと思うの」
「え? えっと……」
「あなたもまだ八歳だものね。遊びたい盛りというか、気分が乗らない時もあると思うの」
「そ、そうでしょうか?」
エルリナは、目に見えて困惑していた。
突然私の態度が変わったのだから、それは当然の反応だ。
だが作戦的に、それは良くないかもしれない。ここは私の意思を、はっきりと表明しておくべきだろう。
「私もね、昔みたいに戻ろうと思っているの」
「それは、どういうことですか?」
「その、この間言っていたでしょう? 仲が良い姉妹に戻りたいって」
「い、言いましたが……」
「その望みを叶えたいって、私も思っていたのよ。せっかくの機会な訳だし……」
エルリナの頭の上に、疑問符が浮かんでいる。そう錯覚するくらい、彼女は首を傾げている。
まだ私の主張を受け入れて切れていないということだろうか。言葉にしても伝わらない。それくらい、私は豹変しているということだろうか。
「あなたは私の可愛い妹だもの。これでも、大切に思っているのよ?」
「え? あ、あの……ありがとう、ございます?」
私はとりあえず、エルリナのことをそっと抱きしめた。
こうやって妹と触れ合うのは、随分と久し振りのことである。
しかし、体温というものは強力であるはずだ。これで私が甘やかそうとしていると、エルリナもわかってくれたのではないだろうか。
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