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11.兄姉の見解
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「なるほど、色々なことがあった舞踏会だったのね」
「ふん……」
私から話を聞いたお姉様とお兄様は、それぞれそのような反応を返してくれた。
お姉様は上機嫌であるが、お兄様は少し不機嫌である。なんというか、対照的な反応だ。
「あの、お兄様、どうかされましたか?」
「……エレティア、交友関係を広げるなとは言わない。だが、むやみやたらに広げる必要があるという訳ではない。もう少し弁えた行動をするべきであるだろう」
「弁えた行動、ですか?」
「ルベルス伯爵令息の誘いに乗ったことはともかく、ジオート侯爵令息を自ら誘ったことに関して、俺は思う所がある。いくら最愛の妹であっても、短絡的な行動は咎めざるを得ない」
お兄様は、私の質問に対してすらすらと答えてくれた。
どうやら問題となっているのは、ジオート様を誘ったことであるらしい。
何故それが問題となるのか、私はそれを少し考える。
確かによく考えてみれば、婚約前の貴族の令嬢が男性を自らダンスに誘うというのは、少々はしたなかったのかもしれない。
「エレティア、お兄様は単純にジオート様のことが気に入らないのよ」
「……ウルティア、お前も余計なことを言う必要はない」
「私もそうだけれど、お兄様は妹に男性の影があると敏感になるから」
そこでお姉様が、呆れたような言葉を発していた。
その言葉に、お兄様は少し怒っている。恐らくそれは、言われたくないことだったのだろう。
「私達のことを愛してくださっているのは嬉しいのだけれど、お兄様は時々融通が効かなすぎです。私もエレティアも貴族の令嬢なのですから、婚約のためにも男性と懇意にするのは仕方ないことではありませんか」
「お前達が婚約する必要などないと俺はいつも言っている。他家の力だなど借りずとも、俺はこのオーデン伯爵家を発展させる。俺にはそれだけの力があるからな」
「それは承知しています。ただ、私達の婚約がお兄様の野望の近道であることは、間違いないでしょう?」
「ふん……」
お姉様の言葉に、お兄様は言葉を返さなかった。
それはきっと、お姉様の言葉がその通りだったからなのだろう。
ただ少し不服そうにしているため、考えは変わっていないようだ。オーデン伯爵家のことは一人でも背負う。お兄様はそういう気概なのだろう。
しかし私もお姉様も、そのようなことを望んでいる訳ではない。
お兄様が私達のことを大切に思ってくれているように、私達もお兄様のことを大切に思っている。オーデン伯爵家の一員として、その発展に貢献していくつもりだ。
「ふん……」
私から話を聞いたお姉様とお兄様は、それぞれそのような反応を返してくれた。
お姉様は上機嫌であるが、お兄様は少し不機嫌である。なんというか、対照的な反応だ。
「あの、お兄様、どうかされましたか?」
「……エレティア、交友関係を広げるなとは言わない。だが、むやみやたらに広げる必要があるという訳ではない。もう少し弁えた行動をするべきであるだろう」
「弁えた行動、ですか?」
「ルベルス伯爵令息の誘いに乗ったことはともかく、ジオート侯爵令息を自ら誘ったことに関して、俺は思う所がある。いくら最愛の妹であっても、短絡的な行動は咎めざるを得ない」
お兄様は、私の質問に対してすらすらと答えてくれた。
どうやら問題となっているのは、ジオート様を誘ったことであるらしい。
何故それが問題となるのか、私はそれを少し考える。
確かによく考えてみれば、婚約前の貴族の令嬢が男性を自らダンスに誘うというのは、少々はしたなかったのかもしれない。
「エレティア、お兄様は単純にジオート様のことが気に入らないのよ」
「……ウルティア、お前も余計なことを言う必要はない」
「私もそうだけれど、お兄様は妹に男性の影があると敏感になるから」
そこでお姉様が、呆れたような言葉を発していた。
その言葉に、お兄様は少し怒っている。恐らくそれは、言われたくないことだったのだろう。
「私達のことを愛してくださっているのは嬉しいのだけれど、お兄様は時々融通が効かなすぎです。私もエレティアも貴族の令嬢なのですから、婚約のためにも男性と懇意にするのは仕方ないことではありませんか」
「お前達が婚約する必要などないと俺はいつも言っている。他家の力だなど借りずとも、俺はこのオーデン伯爵家を発展させる。俺にはそれだけの力があるからな」
「それは承知しています。ただ、私達の婚約がお兄様の野望の近道であることは、間違いないでしょう?」
「ふん……」
お姉様の言葉に、お兄様は言葉を返さなかった。
それはきっと、お姉様の言葉がその通りだったからなのだろう。
ただ少し不服そうにしているため、考えは変わっていないようだ。オーデン伯爵家のことは一人でも背負う。お兄様はそういう気概なのだろう。
しかし私もお姉様も、そのようなことを望んでいる訳ではない。
お兄様が私達のことを大切に思ってくれているように、私達もお兄様のことを大切に思っている。オーデン伯爵家の一員として、その発展に貢献していくつもりだ。
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