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25.行くべき理由
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「……エルムルナ様、私がドルマニア王国に行きます」
「フェルーナさん、ありがとうございます……」
私が声をかけると、エルムルナ様は笑みを浮かべた。
彼女は、期待していたのだろう。私がそう言うことを。
「……」
一方、アグナヴァン様は深刻そうな顔をしていた。
その表情には、私を心配しているような感情が読み取れる。
当然のことながら、彼も私がドルマニア王国に複雑な思いを抱いているということは理解している。だから、そんな表情なのだろう。
「……ご心配ありがとうございます、アグナヴァン様」
「いや、俺は……」
「私なら大丈夫です。たくさんの人の命がかかっているのですから、私も細かいことを気にするつもりはありません」
「……そうか」
私の言葉に、アグナヴァン様は辛そうな顔をしていた。
ドルマニア王国のことを私に背負わせるということに、彼は気が進んでいないのだろう。
しかし、私以外にそれができる人はいない。そう理解している彼は、そういう表情しかできないのだろう。
「すまない……あなたに、背負わせてしまって」
「大丈夫です……エルムルナ様、浄化の魔法というのは難しいものなのですか?」
「いえ、それ程ではありません。あなたなら、すぐに修得できるでしょう」
「やり方を教えていただけますか?」
「もちろんです」
私は、やる気を出すことにした。
少しでも、アグナヴァン様を元気づけたかったからだ。
それに、私自身の気分もある。こうやって自分を奮い立たせなければ、私も折れてしまいそうな気がしたのだ。
「アグナヴァン様、申し訳ありませんが、パストマン教授への連絡は頼めますか?」
「……ああ、もちろんだ。あなたがあちらの王国に戻る旨を伝えておこう」
「ええ……でも、王国にはどうやって入りましょうか? よく考えてみれば、私罪人だからあちらの王国に入れないのですけど」
「その辺りも、こちらでなんとかしよう。そもそも、聖女ホーネリアの悪事が暴かれた今、あなたの罪はそれ程重要視されないとは思うが」
「そうですか……」
私は、アグナヴァン様の言葉を聞きながら少し考えていた。
ホーネリアは牢に入れられたようだが、どうしているのだろうか。
彼女が、簡単に諦めるようには思えない。何か策略でも企てているのではないだろうか。
「……彼女の様子も、確かめなければなりませんね。私が、あちらの王国に行くべき理由は、案外あるのかもしれません」
「……そうか」
私は、ホーネリアにこれ以上好きなようにさせたくはなかった。
彼女との決着をつけるためにも、私はドルマニア王国に向かわなければならないのだ。
「フェルーナさん、ありがとうございます……」
私が声をかけると、エルムルナ様は笑みを浮かべた。
彼女は、期待していたのだろう。私がそう言うことを。
「……」
一方、アグナヴァン様は深刻そうな顔をしていた。
その表情には、私を心配しているような感情が読み取れる。
当然のことながら、彼も私がドルマニア王国に複雑な思いを抱いているということは理解している。だから、そんな表情なのだろう。
「……ご心配ありがとうございます、アグナヴァン様」
「いや、俺は……」
「私なら大丈夫です。たくさんの人の命がかかっているのですから、私も細かいことを気にするつもりはありません」
「……そうか」
私の言葉に、アグナヴァン様は辛そうな顔をしていた。
ドルマニア王国のことを私に背負わせるということに、彼は気が進んでいないのだろう。
しかし、私以外にそれができる人はいない。そう理解している彼は、そういう表情しかできないのだろう。
「すまない……あなたに、背負わせてしまって」
「大丈夫です……エルムルナ様、浄化の魔法というのは難しいものなのですか?」
「いえ、それ程ではありません。あなたなら、すぐに修得できるでしょう」
「やり方を教えていただけますか?」
「もちろんです」
私は、やる気を出すことにした。
少しでも、アグナヴァン様を元気づけたかったからだ。
それに、私自身の気分もある。こうやって自分を奮い立たせなければ、私も折れてしまいそうな気がしたのだ。
「アグナヴァン様、申し訳ありませんが、パストマン教授への連絡は頼めますか?」
「……ああ、もちろんだ。あなたがあちらの王国に戻る旨を伝えておこう」
「ええ……でも、王国にはどうやって入りましょうか? よく考えてみれば、私罪人だからあちらの王国に入れないのですけど」
「その辺りも、こちらでなんとかしよう。そもそも、聖女ホーネリアの悪事が暴かれた今、あなたの罪はそれ程重要視されないとは思うが」
「そうですか……」
私は、アグナヴァン様の言葉を聞きながら少し考えていた。
ホーネリアは牢に入れられたようだが、どうしているのだろうか。
彼女が、簡単に諦めるようには思えない。何か策略でも企てているのではないだろうか。
「……彼女の様子も、確かめなければなりませんね。私が、あちらの王国に行くべき理由は、案外あるのかもしれません」
「……そうか」
私は、ホーネリアにこれ以上好きなようにさせたくはなかった。
彼女との決着をつけるためにも、私はドルマニア王国に向かわなければならないのだ。
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