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45.悪霊の最後

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「あなたは、闇の魔力を使って何をしようとしていたのかしら? 私やホーネリアを苦しめるだけなら、大樹を汚染する意味はないはずよ?」
『……この国も私の復讐対象だからよ』
「それは、どういうこと?」
『私の姉の血筋は、この国の王族にも流れている。そんな者達が治める国なんて、壊れてしまえばいいのよ』

 私のさらなる質問に、エルネリスは堂々とそう答えた。
 よく考えてみれば、それは当然のことだった。私達の家と王族達はルーツを辿れば同じであるということは、私も把握していたのである。
 そのため、少し考えれば、彼女の姉と王族が繋がっているということも予測できたことだろう。

「それじゃあ、あなたは王族達も操っていたの?」
『別に操ってはいないわ。その質問は、どういう意図なのかしら?』
「さて、それはどうかしらね?」

 私は、念のために王族が操られていたかどうかを確かめておいた。
 状況的に、彼らが闇の魔力によって汚染されたという可能性はあったからだ。
 だが、そういう訳ではないらしい。彼に関しては、素で私に対してあのような態度を取っていたということである。

「ありがとう、あなたのおかげで色々とわかったわ」
『……はっ! 私は何を?』

 聞きたいことは聞けたので、私はエルネリスを元に戻した。
 いつまでも操っていてもいいのだが、それは魔力を大きく消費する。それは、できれば避けたかったのだ。

『フェルーナ! 私に何をした?』
「それに答える義理はないわね。そもそも、あなたにそんな風に呼ばれたくはないわ」
『忌々しい……今まで、私にいいように扱われていた分際で』

 エルネリスは、本当に忌々しそうに顔を歪めていた。
 彼女にとって、私はホーネリアを使って弄んだ存在だ。そんな私に優位に立たれているという現状は、ひどく気に入らないものだろう。

「さて、これからあなたをどうしようかと私は考えていた訳だけれど、そろそろ結論を出しが方がいいかもしれないわね?」
『……何をしようというの?』
「あなたは、悪霊でしかない。それなら、それに見合った結末が必要でしょう?」
『ま、待って……』

 私の言葉に、エルネリスは一気に表情を変えた。
 今から私が何をしようとしているのか、それを理解したのだろう。
 しかし、待てと言われて待とうとは思わない。私も、今まで彼女に散々苦しめられてきたからだ。

「あなたは元々、この世界に留まってはいけない存在だった。それだけのことじゃない」
『私は、まだ死にたくない!』
「もうあなたは死んでいるんですよ?」
『うっ……』

 私は、エルネリスに対して魔法をかけた。
 それは、悪霊を成仏させる魔法だ。これは本来、霊的存在の魔物に使うものである。
 彼女がいい幽霊であったならば、もしかしたらこれも効かなかったかもしれない。だが、そういう訳ではないようだ。

『ぎゃああああああああ!』

 エルネリスは叫び声を上げながら消えていった。
 長く現世に留まり、多くの人々を苦しめる悪霊となった彼女は消滅したのである。
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