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私は、再びシュタルド王国の国王様の前に立っていた。
前に彼の前に立った時とは、随分と状況が違う。周りに国民はいないし、オルケン様はしおらしい態度をしている。
「元聖女フラウメよ、この度の件、お主には多大な迷惑をかけてしまった。この国を代表して、謝罪させてもらいたい」
「……はい」
国王様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
色々と事情はあったが、結局私は無実の罪で裁かれて国外追放されることになった。それはやはり、許せることではない。
だが、謝罪してもらって心は少しだけすっきりした。この国のトップに頭を下げてもらったのだから、これ以上の謝罪はないだろう。
「フラウメ……すまなかった!」
「……」
そう思った次の瞬間、オルケン様からの謝罪があった。
まあ、彼にも色々なことを言われたため、謝罪はしてもらいたいとは思っていた。しかしながら、彼には色々なことを言われすぎたため、あまり心は晴れない。
「フラウメ、君に頼みたいことがある」
「え?」
「む?」
そこで、オルケン様がそのように切り出してきた。国王様が驚いている所を見ると、それは事前に打ち合わせていたことではないらしい。
「君に、このシュタルド王国の聖女に返り咲いてもらいたいのだ」
「な、なんですって?」
「このような苦境を乗り切った君こそ、真の聖女に相応しい。どうか、このシュタルド王国のためにその才能を振るってくれ!」
オルケン様は、私に対して堂々とそう宣言した。
前々から、彼は暑苦しい人であるとは思っていた。しかし、ここまでだったとは驚きだ。それが、どれだけ無礼な頼みであるかわかっているのだろうか。
「オルケン、やめよ。フラウメの気持ちを考えるのだ」
「フラウメの気持ち?」
国王様にそれを指摘されても、オルケン様は首を傾けるだけだった。
これは、一度はっきりと言った方がいいかもしれない。いや、はっきりと言いたいと思う。なぜなら私は、結構イライラしている。一度言わないと気が済まない。
「オルケン様、あなたはあれだけ私を糾弾しておいて、よくそのような頼みができるものですね?」
「む? それに関してはすまないと思っている……だが」
「あなたの謝罪からは誠意というものが伝わってきません。残念ながら、私がこのシュタルド王国に戻ることはありません。あなたは、その頭をゆっくりと冷やすべき……いえ、冷やしなさい!」
私は思わず、大きな声を出していた。
頭を冷やすべきなのは、私の方かもしれない。少々ヒートアップし過ぎた。
「な、何を……」
「オルケンよ。フラウメの言う通りだ。お主のその気質は好ましい部分もあるが、一度叩き直さなければならない」
「ち、父上まで……」
「フラウメよ、重ねて申し訳なかった……」
「……ええ」
私は、国王様の言葉にゆっくりと頷いた。
こうして、私は二人の前から去るのだった。
前に彼の前に立った時とは、随分と状況が違う。周りに国民はいないし、オルケン様はしおらしい態度をしている。
「元聖女フラウメよ、この度の件、お主には多大な迷惑をかけてしまった。この国を代表して、謝罪させてもらいたい」
「……はい」
国王様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
色々と事情はあったが、結局私は無実の罪で裁かれて国外追放されることになった。それはやはり、許せることではない。
だが、謝罪してもらって心は少しだけすっきりした。この国のトップに頭を下げてもらったのだから、これ以上の謝罪はないだろう。
「フラウメ……すまなかった!」
「……」
そう思った次の瞬間、オルケン様からの謝罪があった。
まあ、彼にも色々なことを言われたため、謝罪はしてもらいたいとは思っていた。しかしながら、彼には色々なことを言われすぎたため、あまり心は晴れない。
「フラウメ、君に頼みたいことがある」
「え?」
「む?」
そこで、オルケン様がそのように切り出してきた。国王様が驚いている所を見ると、それは事前に打ち合わせていたことではないらしい。
「君に、このシュタルド王国の聖女に返り咲いてもらいたいのだ」
「な、なんですって?」
「このような苦境を乗り切った君こそ、真の聖女に相応しい。どうか、このシュタルド王国のためにその才能を振るってくれ!」
オルケン様は、私に対して堂々とそう宣言した。
前々から、彼は暑苦しい人であるとは思っていた。しかし、ここまでだったとは驚きだ。それが、どれだけ無礼な頼みであるかわかっているのだろうか。
「オルケン、やめよ。フラウメの気持ちを考えるのだ」
「フラウメの気持ち?」
国王様にそれを指摘されても、オルケン様は首を傾けるだけだった。
これは、一度はっきりと言った方がいいかもしれない。いや、はっきりと言いたいと思う。なぜなら私は、結構イライラしている。一度言わないと気が済まない。
「オルケン様、あなたはあれだけ私を糾弾しておいて、よくそのような頼みができるものですね?」
「む? それに関してはすまないと思っている……だが」
「あなたの謝罪からは誠意というものが伝わってきません。残念ながら、私がこのシュタルド王国に戻ることはありません。あなたは、その頭をゆっくりと冷やすべき……いえ、冷やしなさい!」
私は思わず、大きな声を出していた。
頭を冷やすべきなのは、私の方かもしれない。少々ヒートアップし過ぎた。
「な、何を……」
「オルケンよ。フラウメの言う通りだ。お主のその気質は好ましい部分もあるが、一度叩き直さなければならない」
「ち、父上まで……」
「フラウメよ、重ねて申し訳なかった……」
「……ええ」
私は、国王様の言葉にゆっくりと頷いた。
こうして、私は二人の前から去るのだった。
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