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9.国を知るために
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隣国であるものの、私はアドラーク王国のことをそれ程知っている訳ではない。
何せ私は、元々ただの平民である。隣の国のことなんて、気にするような身分ではなかったのだ。
「俺がこのようなことを言っても、あまり響かないかもしれませんが、アドラーク王国は良い国なんですよ」
「それは……」
「まあ、第二王子の意見ですから、すんなりと受け入れられはしませんよね……」
「ああいえ、そんなことはありませんが……」
私は、第二王子であるウォルファン殿下とともに王城の廊下を歩いていた。
イルファナ姫からの提案を受け入れた私は、まずアドラーク王国のことを教えてもらうということになった。
それをウォルファン殿下が、直々にしてくれるそうなのだ。それはなんとも、贅沢な話である。
「フェルリアさんは、アドラーク王国のことをあまり知らないと言っていましたね? 逆に知っていることはあるのでしょうか?」
「えっと、そうですね……アドラーク王国は、温かいということは知っています。サルウィス王国は寒い国ですから、その印象が強いですね」
「なるほど、確かにアドラーク王国は温暖な国です。サルウィス王国よりも土地は広くありませんが、豊かさという面では恵まれていると言えますね。作物がよく育つのです」
「ああ、それも聞いたことがあります」
サルウィス王国は隣接する三国の中でも、最も広大な土地を持つ。ただ気候や土地は農業などにおいては良いものとは言い難い。
それは国にとっては、とても大きな問題であった。そういった事情があるため、サルウィス王国は三国の中では最も貧しい国とも言われている。
「おいしいものがたくさんありますよ。まあ、もう料理に関しては召し上がっていただいていますが……」
「あ、はい。とてもおいしかったですよ」
「……それはお世辞ではありませんか?」
「え?」
ウォルファン殿下の言葉に、私は少し驚いた。
彼は恐る恐るといった感じで、私に視線を向けてきている。食事に関して、私がお世辞を言ったと本当に思っているようだ。
私としては、別にそういう訳ではない。この王城でいただいた料理は、どれもおいしかったと思っているのだが。
「お世辞だなんて、そんなことはありません。まあ、少し気が引けた面はあります。何せ、豪華な料理でしたからね……」
「そうですか。それなら良かった」
「何故、お世辞だと思ったのですか? いえ、王族や貴族の方はやはりああいった場でお世辞を言うということですか……」
「それもあります。それから、実は俺自身があまり王城での味というものが……」
「そうなんですか?」
ウォルファン殿下は、苦笑いを浮かべていた。
声も心なしか小声になっている。当然、大声で言えることではないのだろう。
しかし意外なものである。王家の一員である彼が、王城で振る舞われる料理が嫌いだなんて。
「いやもちろん、嫌いという訳ではありません。しかし好きな味はもっと、濃い味と言いますか……繊細な味わいというものが俺には理解できないのです」
「なるほど……」
「まあ、ともあれ、まずは王都を案内するとしましょうか……」
そこでウォルファン殿下は、足を止めた。
王城の門の前で、彼は周囲の人間に目配せする。すると静かだが人々が動き出した。
これからウォルファン殿下は、城下に赴くことになる。それはお忍びである訳だが、もちろん細心の注意が払われた上で行われるものだ。
それが私のためであるというのは、やはり少し気が引ける。とはいえウォルファン殿下の厚意も無下にはできないし、私は彼とともに城下町に繰り出していくのだった。
何せ私は、元々ただの平民である。隣の国のことなんて、気にするような身分ではなかったのだ。
「俺がこのようなことを言っても、あまり響かないかもしれませんが、アドラーク王国は良い国なんですよ」
「それは……」
「まあ、第二王子の意見ですから、すんなりと受け入れられはしませんよね……」
「ああいえ、そんなことはありませんが……」
私は、第二王子であるウォルファン殿下とともに王城の廊下を歩いていた。
イルファナ姫からの提案を受け入れた私は、まずアドラーク王国のことを教えてもらうということになった。
それをウォルファン殿下が、直々にしてくれるそうなのだ。それはなんとも、贅沢な話である。
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「えっと、そうですね……アドラーク王国は、温かいということは知っています。サルウィス王国は寒い国ですから、その印象が強いですね」
「なるほど、確かにアドラーク王国は温暖な国です。サルウィス王国よりも土地は広くありませんが、豊かさという面では恵まれていると言えますね。作物がよく育つのです」
「ああ、それも聞いたことがあります」
サルウィス王国は隣接する三国の中でも、最も広大な土地を持つ。ただ気候や土地は農業などにおいては良いものとは言い難い。
それは国にとっては、とても大きな問題であった。そういった事情があるため、サルウィス王国は三国の中では最も貧しい国とも言われている。
「おいしいものがたくさんありますよ。まあ、もう料理に関しては召し上がっていただいていますが……」
「あ、はい。とてもおいしかったですよ」
「……それはお世辞ではありませんか?」
「え?」
ウォルファン殿下の言葉に、私は少し驚いた。
彼は恐る恐るといった感じで、私に視線を向けてきている。食事に関して、私がお世辞を言ったと本当に思っているようだ。
私としては、別にそういう訳ではない。この王城でいただいた料理は、どれもおいしかったと思っているのだが。
「お世辞だなんて、そんなことはありません。まあ、少し気が引けた面はあります。何せ、豪華な料理でしたからね……」
「そうですか。それなら良かった」
「何故、お世辞だと思ったのですか? いえ、王族や貴族の方はやはりああいった場でお世辞を言うということですか……」
「それもあります。それから、実は俺自身があまり王城での味というものが……」
「そうなんですか?」
ウォルファン殿下は、苦笑いを浮かべていた。
声も心なしか小声になっている。当然、大声で言えることではないのだろう。
しかし意外なものである。王家の一員である彼が、王城で振る舞われる料理が嫌いだなんて。
「いやもちろん、嫌いという訳ではありません。しかし好きな味はもっと、濃い味と言いますか……繊細な味わいというものが俺には理解できないのです」
「なるほど……」
「まあ、ともあれ、まずは王都を案内するとしましょうか……」
そこでウォルファン殿下は、足を止めた。
王城の門の前で、彼は周囲の人間に目配せする。すると静かだが人々が動き出した。
これからウォルファン殿下は、城下に赴くことになる。それはお忍びである訳だが、もちろん細心の注意が払われた上で行われるものだ。
それが私のためであるというのは、やはり少し気が引ける。とはいえウォルファン殿下の厚意も無下にはできないし、私は彼とともに城下町に繰り出していくのだった。
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