散々虐げてきた私が初恋の子だったからと今更手の平を返した所で、許せる訳がないではありませんか。

木山楽斗

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22.私の不幸など

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「みっともない所を見せてしまいましたね……」
「みっともないという訳ではありませんよ。あなたは立派に戦ってきた。恥じる必要はどこにもありません」

 家族と並んで座った私は、ラーバスさんに対して少し気まずい思いをしていた。
 家族の前で泣くのは、まだ良いのだが、流石の彼の前で泣きじゃくったという事実は心に来るものがある。なんというか、とても恥ずかしい。
 ただ、ラーバスさんは本当にまったく持って気にしていないようだ。涼しい顔をして、私の言葉に応えてくれている。

「そもそもの話、私がこの席に同席していたということがおかしな話です。再会というなら、席を外しておくべきでした」
「それについては、家の娘のせいですからお気になさらないでください。ラーバス……殿下、とお呼びした方がよろしいのでしょうか?」
「いいえ、私は一介の騎士にしか過ぎません。そもそも、王族として正式に数えられている訳ではありませんからね」

 ラーバスさんの言葉に応えたのは、お父様だった。
 私の家族にも、彼の素性は知らせている。本人から許可を取って、教えておいたのだ。

「その、申し訳ありませんでした」
「いいえ、メルリナ様が気にすることでもありませんよ。あなたは、ミルティア様のことを大切に思っているようですね?」
「それはもちろんです。私は、お姉様のことを尊敬していますから」

 妹のメルリナは、とても真っ直ぐな言葉をラーバスさんに放った。
 この妹は、とても純粋な子だ。そんな妹に対して、私に関する事実を知らせるということは、酷なことだったかもしれない。
 実際に彼女は、かなり心を痛めているようだった。今はなんとか、事実を受け止めて前に進めているようではあるが。

「メルリナ様も、将来はきっと素敵な淑女になられますよ」
「淑女、ですか……そうなりたいとは思っています。でも、もうローヴァン男爵家は……」
「そのことですが……」

 メルリナの言葉に、ラーバスさんはお父様の方を見た。
 弱小貴族であるローヴァン男爵家の現当主は、覚悟を決めた顔をしている。

「ラーバスさん、我々は運命を受け入れるつもりです。元々、ローヴァン男爵家はひどく弱っていましたからね。そもそも爵位をいただいたこと自体が、過ぎたることだったのかもしれません」
「……」
「もちろん、残せるものなら残したいと思っています。しかしそれは、例えば娘を犠牲にしてまでに成し遂げたいということではありません。今回の件で、それがよくわかりました」

 お父様の言葉に、私はゆっくりと目を瞑った。
 それはきっと、初めからわかっていたことではある。ただ、改めて思い知らされた。両親は私の不幸など、望んではいなかったのだと。
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