寵愛していた侍女と駆け落ちした王太子殿下が今更戻ってきた所で、受け入れられるとお思いですか?

木山楽斗

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13.村への訪問

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 私はリオレス殿下とともに、ラスタード王国内にあるネルチャムという村に来ていた。
 そこはそれなりの規模の村であり、リオレス殿下にとっては馴染み深い所であるらしい。なんでもかつてここは悪徳貴族の領地であり、それを彼が是正したそうなのだ。

「リオレス殿下、ようこそおいでくださいました」
「村長さん、お久し振りですね。元気そうで何よりです。村の方に異常などはありませんか?」
「お陰様で、皆平和に暮らしていますよ……といっても、今はそんなことを言える状況ではありませんか。ラウヴァン殿下のことは聞いています」

 私達の周りには、村長を始めとした村の人達がいる。その人達の私を見る視線は、そこまで悪いものではない。ある程度警戒はしているようだが、それはこれが初対面の身分が上の人間の訪問であることを考えれば、普通の範疇だ。

 ヤウダン公爵家に対して、ラスタード王国の国民がどのように思っているのか、私はそこまで詳しく知っている訳ではない。
 大抵の場合、相手するのは貴族であり、それ以外の身分の者達からの評価を聞くことはあまりにも少ないのだ。

「兄上のことは、残念でした。しかし起こってしまったことですから、僕達としてはそれを受け止めて前に進むしかありません」
「私達は、リオレス殿下を支持いたします。王家を批判する者もいますが、私達はそうは思いません。ラウヴァン殿下の問題は、ラウヴァン殿下の問題です」
「ありがとうございます。しかし王家に責任がないということにはなりません。兄上に問題があるなら、それを是正するのが僕達の使命でした。それができずに、おめおめと兄上に行動を許してしまったことは、申し訳なく思っています」

 リオレス殿下に対して、村の人達はなんとも温かい目を向けている。
 彼が慕われているということは明白だ。王家の一員として、各地を精力的に回っていたリオレス殿下は、やはり民からの人気も高いということだろう。

 彼はあくまで、父や兄を支えるためにその役目を担っていたはずだ。
 飴と鞭という訳でもないかもしれないが、民から遠い者と近い者が王家にいるというのが良い状況だと、ラスタード王家は思っていたことだろう。
 その体制は、最早無理なものとなった。それ自体は、残念なことだといえる。

「それで、こちらの方は……」
「ええ、皆さんに紹介します。こちらは僕の婚約者――ユーリア嬢です」
「ユーリア・ヤウダンと申します。よろしくお願いします」

 王家のことを考えていた私は、リオレス殿下の言葉に挨拶をする。
 すると周囲からは、拍手の音が聞こえてきた。内心どう思っているかはわからないが、とりあえず私の来訪は受け入れられているらしい。
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