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幸も不幸も折半で
モブで全校集会
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※少しR方面に注意ですが、そういったシーンは出ません。人によっては言い回しが直接的に感じるかもしれないので……
──────────────────────────────
とある生徒Asaid───
全校集会。
「──んだけどね、久しぶりに父様と食事をしたんだ」
「いいなぁ、僕はお見合い相手に合わされた……」
「それは最悪だね…女でしょ?めんどくさ」
チワワ1とチワワ2が煩わしそうな顔をして会話をしている。
この学園にはこういう女みたいな成りをした生徒が多い。小さく華奢で美容に敏感。そこらの女より女らしい。
「そー。僕男しか興味無いのになぁ……将来絶対愛人作ろー」
「僕も。早く生徒会の方たち見れないかなぁ」
「ほんとにね!たった2日なのに気分沈み過ぎちゃってさぁ……目の保養がなくて死にそうだったよー。生徒会の方々笑いかけてくれないかなー」
近くの席でキャンキャンと落ち着きが無い彼らは休み中実家に帰省していたようで、その時の話に花を咲かせているようだった。僕は四男だし頻繁に家に帰ってもすることなんてないからいつも寮にいる。外出届とか、なかなか使う機会は無い。
「ぁ……集会始まってる」
「ほんとだ……それよりこの間の谷枝様達の話聞いた?」
「聞いた聞いたっ食堂でさ──」
集会が始まり声を小さくしてキャッキャと話し続けるチワワ2人組はこの学園の生徒らしく生徒会の方々を慕っているらしい。生徒会の人達は基本初等中等含め今までの人気投票の順位や家柄から選ばれる。選ばれた生徒は基本断る事は出来ず、責任を持って高等卒業まで役職を全うする義務が発生する。基本役員の生徒が卒業したりトラブルでリコール、退学したりなどがあった場合は次の新入生から選出し補充することになっている。まぁ、トラブルが起きることは稀だし、基本的に3年間役職を背負うすることになる訳だ。
しかし、選ばれた生徒には一つだけ役職を断る言い訳がある。それが風紀委員に入ることだ。しかし風紀委員に入れば役員同様多忙を極める。つまりあまり大差がない為、渋々でも生徒会に入るのが常だ。
「君ってどこか親衛隊入ってたっけ」
「うん、役職持ちの方じゃないけど」
「僕も。他の方の親衛隊入ってるのに生徒会の方にうつつを抜かしてたら親衛隊に殺されそうだよね」
「ありえるありえるー。僕生徒会の親衛隊って嫌いなんだよね」
「ちょっと、親衛隊の子に聞こえるよ?まぁ、分かるけどさ」
「っ……危ない、ほんとやだよね…みんなに嫌われてるくせに。でも制裁とかされたらシャレになんないし」
声を潜めて話すチワワ達の会話を聞き取れているのは少ないだろう。隣に座っていても聞き取り辛いくらいだ、数席離れてしまえばボソボソと言ってるだけで何を話しているかなどわからなそうだ。
制裁……強姦や暴力は勿論、酷い時は数日監禁され多数の生徒に輪姦されたり。それも写真や動画をネタに数度に亘り繰り返され精神的にも物理的にも追い詰められ堕とされる、なんてことが実際に何度もあった。
現在の風紀委員長、副委員長になってからはそれ等も減り以前ほど最悪の制裁は発生せず、軽いものや未遂で済むようになったあたり治安は良くなったが……
自分の慕う親衛対象に近付きすぎた人間や、対象に気に入られた人間を妬み“警告”として虐め紛いの事をしたり“罰”と称して平気で制裁を加えたりする人間は後を絶たない。そしてチワワ達の言う通り、そんな常軌を逸した行動を起こす過激派の生徒が多いのが生徒会の親衛隊等だ。
生徒会は生徒の憧れ。
──家柄、容姿、能力。
なるべくしてそこに就き、周囲から羨望と嫉妬の眼差しを受けながら全うする役職。暫くチワワ達の会話に耳を傾けていると講堂内がザワついた。チワワの1ぴ──1人……が「桜井様っ」と喜びに満ちた歓声を上げたことで僕は舞台へ視線をずらした。
『────したので、ここからの進行は書記 桜井が引き継ぎます』
緩やかにウェーブのかかった黒髪、それに映える真っ白な肌。しっかりと開けられていた穏やかな瞳は友好的に細められ、程近くに添えられた泣きぼくろが手伝う色気といったら……
「「「きゃぁぁああっ!!」」」
「ッ──!!」
クソ、相変わらず凄い。……耳逝った(痛った)。
煩いくらい歓声が上がった。しかし彼はマイクを顔前から外すと、口元に長く華奢な人差し指を持っていく。そして小さく“しーっ”と白い歯を見せて眦を下げて微笑んだ。
一瞬噛み殺したような悲鳴がザワっと響いたあと面白いくらいに静かになった講堂内に満足したのか、一つ頷くと嬉しそうに眉を下げた桜井様はマイクを元の位置に戻し集会を再開した。
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とある生徒Asaid───
全校集会。
「──んだけどね、久しぶりに父様と食事をしたんだ」
「いいなぁ、僕はお見合い相手に合わされた……」
「それは最悪だね…女でしょ?めんどくさ」
チワワ1とチワワ2が煩わしそうな顔をして会話をしている。
この学園にはこういう女みたいな成りをした生徒が多い。小さく華奢で美容に敏感。そこらの女より女らしい。
「そー。僕男しか興味無いのになぁ……将来絶対愛人作ろー」
「僕も。早く生徒会の方たち見れないかなぁ」
「ほんとにね!たった2日なのに気分沈み過ぎちゃってさぁ……目の保養がなくて死にそうだったよー。生徒会の方々笑いかけてくれないかなー」
近くの席でキャンキャンと落ち着きが無い彼らは休み中実家に帰省していたようで、その時の話に花を咲かせているようだった。僕は四男だし頻繁に家に帰ってもすることなんてないからいつも寮にいる。外出届とか、なかなか使う機会は無い。
「ぁ……集会始まってる」
「ほんとだ……それよりこの間の谷枝様達の話聞いた?」
「聞いた聞いたっ食堂でさ──」
集会が始まり声を小さくしてキャッキャと話し続けるチワワ2人組はこの学園の生徒らしく生徒会の方々を慕っているらしい。生徒会の人達は基本初等中等含め今までの人気投票の順位や家柄から選ばれる。選ばれた生徒は基本断る事は出来ず、責任を持って高等卒業まで役職を全うする義務が発生する。基本役員の生徒が卒業したりトラブルでリコール、退学したりなどがあった場合は次の新入生から選出し補充することになっている。まぁ、トラブルが起きることは稀だし、基本的に3年間役職を背負うすることになる訳だ。
しかし、選ばれた生徒には一つだけ役職を断る言い訳がある。それが風紀委員に入ることだ。しかし風紀委員に入れば役員同様多忙を極める。つまりあまり大差がない為、渋々でも生徒会に入るのが常だ。
「君ってどこか親衛隊入ってたっけ」
「うん、役職持ちの方じゃないけど」
「僕も。他の方の親衛隊入ってるのに生徒会の方にうつつを抜かしてたら親衛隊に殺されそうだよね」
「ありえるありえるー。僕生徒会の親衛隊って嫌いなんだよね」
「ちょっと、親衛隊の子に聞こえるよ?まぁ、分かるけどさ」
「っ……危ない、ほんとやだよね…みんなに嫌われてるくせに。でも制裁とかされたらシャレになんないし」
声を潜めて話すチワワ達の会話を聞き取れているのは少ないだろう。隣に座っていても聞き取り辛いくらいだ、数席離れてしまえばボソボソと言ってるだけで何を話しているかなどわからなそうだ。
制裁……強姦や暴力は勿論、酷い時は数日監禁され多数の生徒に輪姦されたり。それも写真や動画をネタに数度に亘り繰り返され精神的にも物理的にも追い詰められ堕とされる、なんてことが実際に何度もあった。
現在の風紀委員長、副委員長になってからはそれ等も減り以前ほど最悪の制裁は発生せず、軽いものや未遂で済むようになったあたり治安は良くなったが……
自分の慕う親衛対象に近付きすぎた人間や、対象に気に入られた人間を妬み“警告”として虐め紛いの事をしたり“罰”と称して平気で制裁を加えたりする人間は後を絶たない。そしてチワワ達の言う通り、そんな常軌を逸した行動を起こす過激派の生徒が多いのが生徒会の親衛隊等だ。
生徒会は生徒の憧れ。
──家柄、容姿、能力。
なるべくしてそこに就き、周囲から羨望と嫉妬の眼差しを受けながら全うする役職。暫くチワワ達の会話に耳を傾けていると講堂内がザワついた。チワワの1ぴ──1人……が「桜井様っ」と喜びに満ちた歓声を上げたことで僕は舞台へ視線をずらした。
『────したので、ここからの進行は書記 桜井が引き継ぎます』
緩やかにウェーブのかかった黒髪、それに映える真っ白な肌。しっかりと開けられていた穏やかな瞳は友好的に細められ、程近くに添えられた泣きぼくろが手伝う色気といったら……
「「「きゃぁぁああっ!!」」」
「ッ──!!」
クソ、相変わらず凄い。……耳逝った(痛った)。
煩いくらい歓声が上がった。しかし彼はマイクを顔前から外すと、口元に長く華奢な人差し指を持っていく。そして小さく“しーっ”と白い歯を見せて眦を下げて微笑んだ。
一瞬噛み殺したような悲鳴がザワっと響いたあと面白いくらいに静かになった講堂内に満足したのか、一つ頷くと嬉しそうに眉を下げた桜井様はマイクを元の位置に戻し集会を再開した。
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