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人の恋路を応援している場合ではない
第28話 一番いいところを見逃すわけにはいかない
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エドガー、助けに入るならヒロインのほうでしょとは、今回ばかりは思わなかった。
ありがとう、もう少し遅かったら確実に捕まっていた。
私の膝は助かったという安堵からがくがくとしていた。動けなくなるとまずいと、膝をさすり落ち着こうとする。
後ろにかばってもらって戦ってもらうのは申し訳ない、ここから少し離れようと思い何とか足をごまかしながら後ずさりした。
目の前で起ころうとする戦闘と先ほど逃げ出していた緊張感から自分の脈打つ音がうるさいくらい聞こえる。
トンっと背中が何かにぶつかって、ヤバい後ろにも追手がいた? と振り返ると立っていたのはジークだった。
「ここならもう大丈夫だ。男の拘束は私が引き受けよう」
ジークがそういうのを聞くとエドガーは動いた。
いつもならエドガーの動きは私の瞳では追えるはずもない。
しかし、極限の緊張状態の続いたままだった私の瞳は、いつもだったら倒される男同様何が起こったかわからずことが終わるはずだったのに、エドガーの動きを目で追うことを可能にしていた。
たった3歩で男との距離を詰めると、跳躍して男の後ろに回り地面に足をつくことなく、そのまま剣は男の首へと振り下ろされ……って首を切りつけられ血が噴き出すようなシーンは絶対に見たくない。
両目を手で覆って顔をそらそうとするけれど、私の動きがやけにゆっくりだ。
これから起こるだろうことへの恐怖でハッハッと息が私の口からこぼれた。
そのまま首をはねるのではと思ったけれど、剣の柄で首に衝撃を与えるだけで終わった。
ドスっという音がして、何が起こったかわかっていない男が白眼をむきゆっくりと地面に崩れ落ちる。
エドガーは男を倒すと、そのまま一目散に先ほど私が逃げてきた方向に向かって走っていく。向こうにはマリアが残っているマリアを助けに行ったのだ。
エドガーは風魔法を使うことで私には聞こえない音を拾っているのかもしれない。
ハッハッと息が荒く様子がおかしいことに気がついたジークが私の目を覆うように右手をあてた。
じんわりと温かいものが流れ込む。
私はこれを知ってる、イケメンの魔力が私に流れてくるというやつだ。
「瞳に魔力を集める必要はない。落ち着いて魔力の流れを意識して強化を解くんだ」
ジークの魔力が流れてきてわかる、瞳に私の魔力が無意識に集約していたことに。
私の魔力が集まろうとするのを、半ば強引にジークの魔力が押し返して散らす。
手が離れる頃には、ゆっくりに見えた世界が終息していた。
魔力を使っていたようで、先ほどまでトマトを作っていたこともあり魔力を使った疲労と緊張状態からの解放から地面にへたり込んだ。
「何今の!?」
「一挙手一投足を見逃さないため本能的に瞳に魔力を集め身体強化したんだろう」
そうか、ついに私も身体強化を……。
皆当たり前に使っていて私だけができなかったやつだ。どうやって動きを追ってるのだろうと思えば瞳も強化してあのゆっくりとした世界で相手の動きを目で追って動いていたのか。
私の身体が動きかついてこなかったのは、皆と違って私が強化したのは瞳だけで身体はしていない、だから思うような速度で動かすことができなかったというところだろうか。
私がブツブツと考察をしている間に、ジークはエドガーが倒した男を氷で地面と結合させるかのように凍らせていた。
しかし、こんなことをしている場合ではない。
「ジーク様、拘束はそれでよろしいですか?」
「あぁ、私が氷を溶かすか、壊すにしてもこの気温では随分時間がかかるだろう」
ひと仕事終わって、地面にへたり込む私にジークは手を差し出してくれる。
「エドガー様を追いましょう」
差し出された手をとりながら私は次にしたいことをジークにハッキリと告げた。
「逃げてきているわけだから、この先で何が起こったか君は知っていて行きたいという気持ちはわかるが、君は足でまと「このままでは一番いいところを見逃してしまいます!」
ずっと見守ってきた、あれこれアシストしてきた。なのに二人の恋はちっとも進展しなかった。
絶体絶命だと思った私の前に、ワイン色の髪をなびかせたエドガーが現れた時の安堵の気持ち。
これは絶対に二人の仲が進展する大きなチャンスに違いないのだ。
「は?」
ジークはやれやれといった表情から一転ポカーンとした顔になる。
「私が駆けつけても助けにならないのはわかっております。でも、どのようにしてマリアをエドガー様が助けるのか、その後の二人の流れを私は見届けねばならないのです。安全なところから。出来れば二人の会話が聞ける位置で」
「……助けに行きたいわけではない?」
ジークはいつもの考察ポーズをしながら、私が先ほど話したことを聞いているにも関わらず確認するかのようにそう声にだした。
「はい、二人の恋の行方を見守るために。ほら早く。急がないと小説で言うクライマックスの一番盛り上がるところを最初から見てきたにも関わらず見れないと言うことになってしまいます!!」
状況に対し理解がついていかないジークを押し切り。私が走ったのでは遅いから抱えてもらって移動する。
先ほどの私の読み通り、吹っ飛んだであろう水場の残骸があり、そこに二人で身を隠して様子をうかがう。
一番おいしいであろう、エドガーが助けに入るシーンを見逃してしまったけれど、まだおいしい展開は残っているはずだ。
ここからだと声がほとんど聞こえない。
「私も助けに」
そういって、助けに入ろうとするジークを引き止める。
「危なくなってからです、できればこっそり此処から遠距離でフォローしてください」
一番いいところなのに、もう一人イケメンが助けに現れてとか、またもフラグが折れてしまう。
相手は一般人のようだしここで見守りエドガーに花を持たせるのだ。
ありがとう、もう少し遅かったら確実に捕まっていた。
私の膝は助かったという安堵からがくがくとしていた。動けなくなるとまずいと、膝をさすり落ち着こうとする。
後ろにかばってもらって戦ってもらうのは申し訳ない、ここから少し離れようと思い何とか足をごまかしながら後ずさりした。
目の前で起ころうとする戦闘と先ほど逃げ出していた緊張感から自分の脈打つ音がうるさいくらい聞こえる。
トンっと背中が何かにぶつかって、ヤバい後ろにも追手がいた? と振り返ると立っていたのはジークだった。
「ここならもう大丈夫だ。男の拘束は私が引き受けよう」
ジークがそういうのを聞くとエドガーは動いた。
いつもならエドガーの動きは私の瞳では追えるはずもない。
しかし、極限の緊張状態の続いたままだった私の瞳は、いつもだったら倒される男同様何が起こったかわからずことが終わるはずだったのに、エドガーの動きを目で追うことを可能にしていた。
たった3歩で男との距離を詰めると、跳躍して男の後ろに回り地面に足をつくことなく、そのまま剣は男の首へと振り下ろされ……って首を切りつけられ血が噴き出すようなシーンは絶対に見たくない。
両目を手で覆って顔をそらそうとするけれど、私の動きがやけにゆっくりだ。
これから起こるだろうことへの恐怖でハッハッと息が私の口からこぼれた。
そのまま首をはねるのではと思ったけれど、剣の柄で首に衝撃を与えるだけで終わった。
ドスっという音がして、何が起こったかわかっていない男が白眼をむきゆっくりと地面に崩れ落ちる。
エドガーは男を倒すと、そのまま一目散に先ほど私が逃げてきた方向に向かって走っていく。向こうにはマリアが残っているマリアを助けに行ったのだ。
エドガーは風魔法を使うことで私には聞こえない音を拾っているのかもしれない。
ハッハッと息が荒く様子がおかしいことに気がついたジークが私の目を覆うように右手をあてた。
じんわりと温かいものが流れ込む。
私はこれを知ってる、イケメンの魔力が私に流れてくるというやつだ。
「瞳に魔力を集める必要はない。落ち着いて魔力の流れを意識して強化を解くんだ」
ジークの魔力が流れてきてわかる、瞳に私の魔力が無意識に集約していたことに。
私の魔力が集まろうとするのを、半ば強引にジークの魔力が押し返して散らす。
手が離れる頃には、ゆっくりに見えた世界が終息していた。
魔力を使っていたようで、先ほどまでトマトを作っていたこともあり魔力を使った疲労と緊張状態からの解放から地面にへたり込んだ。
「何今の!?」
「一挙手一投足を見逃さないため本能的に瞳に魔力を集め身体強化したんだろう」
そうか、ついに私も身体強化を……。
皆当たり前に使っていて私だけができなかったやつだ。どうやって動きを追ってるのだろうと思えば瞳も強化してあのゆっくりとした世界で相手の動きを目で追って動いていたのか。
私の身体が動きかついてこなかったのは、皆と違って私が強化したのは瞳だけで身体はしていない、だから思うような速度で動かすことができなかったというところだろうか。
私がブツブツと考察をしている間に、ジークはエドガーが倒した男を氷で地面と結合させるかのように凍らせていた。
しかし、こんなことをしている場合ではない。
「ジーク様、拘束はそれでよろしいですか?」
「あぁ、私が氷を溶かすか、壊すにしてもこの気温では随分時間がかかるだろう」
ひと仕事終わって、地面にへたり込む私にジークは手を差し出してくれる。
「エドガー様を追いましょう」
差し出された手をとりながら私は次にしたいことをジークにハッキリと告げた。
「逃げてきているわけだから、この先で何が起こったか君は知っていて行きたいという気持ちはわかるが、君は足でまと「このままでは一番いいところを見逃してしまいます!」
ずっと見守ってきた、あれこれアシストしてきた。なのに二人の恋はちっとも進展しなかった。
絶体絶命だと思った私の前に、ワイン色の髪をなびかせたエドガーが現れた時の安堵の気持ち。
これは絶対に二人の仲が進展する大きなチャンスに違いないのだ。
「は?」
ジークはやれやれといった表情から一転ポカーンとした顔になる。
「私が駆けつけても助けにならないのはわかっております。でも、どのようにしてマリアをエドガー様が助けるのか、その後の二人の流れを私は見届けねばならないのです。安全なところから。出来れば二人の会話が聞ける位置で」
「……助けに行きたいわけではない?」
ジークはいつもの考察ポーズをしながら、私が先ほど話したことを聞いているにも関わらず確認するかのようにそう声にだした。
「はい、二人の恋の行方を見守るために。ほら早く。急がないと小説で言うクライマックスの一番盛り上がるところを最初から見てきたにも関わらず見れないと言うことになってしまいます!!」
状況に対し理解がついていかないジークを押し切り。私が走ったのでは遅いから抱えてもらって移動する。
先ほどの私の読み通り、吹っ飛んだであろう水場の残骸があり、そこに二人で身を隠して様子をうかがう。
一番おいしいであろう、エドガーが助けに入るシーンを見逃してしまったけれど、まだおいしい展開は残っているはずだ。
ここからだと声がほとんど聞こえない。
「私も助けに」
そういって、助けに入ろうとするジークを引き止める。
「危なくなってからです、できればこっそり此処から遠距離でフォローしてください」
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相手は一般人のようだしここで見守りエドガーに花を持たせるのだ。
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