七虹精神隔離病院～闇は誰もが持っている！！～

穏やか(？)な日常

お疲れさま

立花との朝食を終え、今日の診察を始めた。
今日は季瀬兄弟のリハビリの日。
十分間別室で過ごしてもらうと言うものだ。
十分たったら二十分一緒にいて、これを昼まで繰り返す。

「二人ともおはよぉ！今日も頑張ろっ！」

そう言って中を覗きこんだ。
すると黒明が白暗の服を脱がせている所だった。

「あ……ごめん……」

そう言ってすぐに扉を閉じる。
デジャヴを感じる……。
そもそも二人は今日がリハビリの日だということは知っているはずなのになぜ今あんなことをしていたのか。
答えは簡単だった。
からかわれた。

「先生、冗談だよ」

「ごめんね！」

二人とも扉を開けて笑った。
からかわれたのは恥ずかしいけれど笑顔ならいいか、と微笑む。

「全く！ビックリしたんだよ！」

「はは、ごめんって！もう時間？」

「あぁ……またこの時間に……黒明ぁ…」

余裕そうに聞いてくる黒明にもうすでに泣いているの白暗。
実は白暗より黒暗の方が厄介で、泣くだけの白暗にたいして黒明は完全に理性を失って、近くにいない片割れのもとへ行こうとするのだ。

「じゃあ、今日はこの部屋に白暗君！僕の部屋に黒明君にしよう！」

雪成は医者だが元々ここの患者なので病室を一つ持っている。
患者達にはとても不思議がられるが医者だからという事にしている。
現在もその病室で寝起きしており、たまに夜中にうなされている子に起こされるのが近頃の悩みだったりもする。

「じゃあ、行って来るな！白暗、一生の別れじゃ無いんだからそんなに泣くなよ」

「うん……」

白暗の涙を指で拭い病室をあとにした。

「……大丈夫？」

白暗と別れて三分。
僕の病室についたときそう声をかけた。
黒明は顔を青くし大丈夫だと答えた。

「じゃあ、僕は白暗君のところに行って来るからさぁ、迎えに来るよ。白暗君と」

そういうと、うんと声は出ていないが首が縦に動いた。

十分まであと六分。




自身の病室を出て急いで白暗の病室へ入った。
流石に泣きわめく白暗を放置するのは少々堪えるものがある。

「白暗君！大丈夫？」

白暗は布団に潜りカタカタと震えて泣いていた。

「くれあ……くれあぁぁ……」

「ほら、白暗君、黒明君を迎えにいこぉ？」

そう言って布団の上から頭(？)を撫でた。

そうするとガバッと布団をはぎ僕に抱きついてきた。

「いく……黒明のとこ……いくぅ……」

よしよしと背中を撫でて手を引き黒明のいる病室へ向かった。




病室の扉を開けると白い羽が舞っていた。
恐らく枕の羽だろう。

黒明は入ってきたと同時に白暗に抱きついた。
もう何年もあっていなかったように、一人だった時間を埋めるように。

これがおよそ十五分は続き、五分は二人とも寂しかったとか次も頑張ろうとか、ポジティブなことやネガティブな事をいっていた。
この後リハビリは3回続き、3人でお昼ご飯を迎えた。今日のお昼はサンドイッチ。
とても美味しかったと二人とも言っていた。


そして午後、雪成は影森の病室へ睡眠薬が切れる頃だと病室へと向かった。