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蠢く闇
黒い蝶は空を舞う―VI―
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「……い……おい!!起きろよ!!」
誰かの……聞き覚えのある声がする。
少しづつ覚醒する意識と感覚。
柔らかな……ベッドに寝ているような感覚と共にゆっくり目を覚ました。
痛む頭をとっさに押え、見覚えのない天井に勢いよく体を起こした。
服を脱がされたりなどといったことにはなっていなかった。
「やっと起きたか」
やはり聞き覚えのある、あり過ぎる声に視線をそちらに向けると、変わり果てた姿の恋歌の姿がそこにはあった。
鎖で足を繋がれ、どうやらあまり動く事ができないようだ。
そんな恋歌はたった4日で人間そうも変わるかという程にやつれ、目の下には大きな隈ができている。
それよりも余程目を引いたのは、いくつも体に咲いた赤い痣。
濡れ固まった髪に、衣服を纏わぬその姿から何が行われていたのかは想像にかたくない。
「恋歌君……君はどうして……」
「……ま、嫉妬した自分が悪いってね……。……今更だけど、ごめんなさい……お前は悪いことしてないのに……」
「いや、別にいいよ。……なんて、簡単に許すことはできない……だけど、恋歌君のこと、これから知って、許せるようになりたいな」
「……相変わらずだね、雪君。けれど本心じゃないんじゃない?」
確かに本心では無い。
本当は許すことだって出来るが、そうしてしまえば、偽善者だと罵られるかもしれない、と危惧したために、このように言ったのだ。
それを気づいてか、今中に入ってきた男は腹の底から笑うようにいやらしい笑みを貼り付けている。
「……こんなことして、許されると思ってんの?狙いは僕のはず。恋歌君は解放しなよ」
彩葉は鼻で笑う。
「何を馬鹿な。タダで帰したらまた君を失ってしまうかもしれない。だから屈服するまでここにいてもらう」
異を唱えたのは当の本人、ではなく雪成だった。
「っ……そんな!!」
「不満か?なら君が俺の事を早く好きになってよ。そうしたら警察が来ても両思いで片が着く」
そう言いながら彩葉はゆっくり僕に近づき、首に赤い皮のチョーカーをつけた。
喉元から伸びる銀色の鎖はベッドに繋がれ、逃げられないということを悟った。
「時間はたっぷりある。楽しもうね。俺の天使……」
四、五人の男達が部屋に入ってくると、少し離れたところにいる恋歌を取り囲んだ。
恋歌は絶望に染まったような瞳をし、こちらに助けを求めてくる。
広い部屋だ。
隣りには彩葉もいる。
助けることが不可能な状況だ。
もはや助ける気も起きない時点で共犯だと言わんばかりに抱きしめられ、頭を撫でられた。
やはり僕はこの悪魔には逆らえないのだろう。
これまでも、そして、これからも……。
誰かの……聞き覚えのある声がする。
少しづつ覚醒する意識と感覚。
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痛む頭をとっさに押え、見覚えのない天井に勢いよく体を起こした。
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「やっと起きたか」
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鎖で足を繋がれ、どうやらあまり動く事ができないようだ。
そんな恋歌はたった4日で人間そうも変わるかという程にやつれ、目の下には大きな隈ができている。
それよりも余程目を引いたのは、いくつも体に咲いた赤い痣。
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「いや、別にいいよ。……なんて、簡単に許すことはできない……だけど、恋歌君のこと、これから知って、許せるようになりたいな」
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確かに本心では無い。
本当は許すことだって出来るが、そうしてしまえば、偽善者だと罵られるかもしれない、と危惧したために、このように言ったのだ。
それを気づいてか、今中に入ってきた男は腹の底から笑うようにいやらしい笑みを貼り付けている。
「……こんなことして、許されると思ってんの?狙いは僕のはず。恋歌君は解放しなよ」
彩葉は鼻で笑う。
「何を馬鹿な。タダで帰したらまた君を失ってしまうかもしれない。だから屈服するまでここにいてもらう」
異を唱えたのは当の本人、ではなく雪成だった。
「っ……そんな!!」
「不満か?なら君が俺の事を早く好きになってよ。そうしたら警察が来ても両思いで片が着く」
そう言いながら彩葉はゆっくり僕に近づき、首に赤い皮のチョーカーをつけた。
喉元から伸びる銀色の鎖はベッドに繋がれ、逃げられないということを悟った。
「時間はたっぷりある。楽しもうね。俺の天使……」
四、五人の男達が部屋に入ってくると、少し離れたところにいる恋歌を取り囲んだ。
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広い部屋だ。
隣りには彩葉もいる。
助けることが不可能な状況だ。
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やはり僕はこの悪魔には逆らえないのだろう。
これまでも、そして、これからも……。
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