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騎士団長の婚活の噂
しおりを挟む初めて見かけた事からデビュタントぐらいの年齢だと考えた。15、16歳程の令嬢に的を絞り探す事にした。各家にどんなご令嬢がいるのか、伝手がある家は聞き込みをした。調べがつかない家は直接出向いて確認をして回っていた。
「よくお越しくださいました、アバンス騎士団長様!」
「伯爵、時間をとって貰ってすまない」
「いいえ、構いませんよ。しかし、手紙にもありましたが、うちの娘を確認したいとはどう言った事ですかな?もしやどこかで見初めて頂いたのでしょうか?」
「いや、そう言う事ではないのだ。先日の夜会で、急病人の応急処置をするのに手助けをしてくれた令嬢がいたのだが、礼を言いそびれてな・・・探しているのだ」
「それは、きっとうちの娘かもしれませんな!うちの娘は優しい子で、低位貴族の者にも手を差し伸べる子ですから、きっと間違いありません!」
「そうですか。ぜひお会いしたい」
「えぇ、呼びますとも!マリエル!マリエル!」
伯爵が娘を呼んだが、出てきたのは茶色の髪の少女だった。
「お父様、呼ばれまして?・・・アバンス騎士団長様!?」
令嬢は、頬を赤らめて熱のこもった瞳でウィルフレッドを見る。
「伯爵、私が探している令嬢とは違う。ご協力ありがとう。用は済んだので失礼するよ」
「まぁ、まぁ、そう言わず・・・娘と茶でもどうですかな?」
「いえ、急ぐので失礼する」
こんなやり取りを数多くしている。夜会から半年経ったが、お目当ての令嬢は見つからないまま。そのうち王都では、ある噂が広がり始めた。
『近衛の騎士団長、ウィルフレッド・アバンスが結婚を視野に入れ、各家の令嬢を見て回っている』
「団長、噂になってますよ?団長が結婚相手を探して令嬢を見定めてるって」
「あぁ・・・知ってる」
「本当なんですか?」
「そんなわけないだろう・・・人探しをしているだけだ」
「人探し?どんなご令嬢を探しているんです?」
「あぁ・・・銀の髪に紫の瞳のご令嬢だ」
「えっ?それだけですか?」
ウィルフレッドは令嬢一人見つけるのに、こんなにも時間がかかるとは思ってもみなかった。名前ぐらい聞いておけばとただただ後悔するばかりだった。
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次回
【ウィルフレッドside】
銀の髪とは珍しいのだな・・・なのに見つからない・・・何故だ?
君は一体何者なんだ・・・会いたい・・・
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