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第一王子の興味
しおりを挟む案内が終わり、お茶でもとマリーリアが誘うも、ヴィンセントは移動で疲れているからと断りを入れた。
「ウィルフレッド、何を見ていた?」
「えっ?何を・・・庭をでしょうか?」
「庭・・・な・・・」
「王都の屋敷と違って、整えられていない自然が残っているのだなと思いまして」
「ふっ、で?さっきのご令嬢はどこの誰だ?」
「令嬢・・・ですか?」
「隠すな。さっき見ていただろう?庭にいた彼女を。さしずめ妹といったところか。辺境伯も長女の嫁ぎ先に頭を抱えているのだろうか・・・片方しか紹介しないのもおかしいよな?そうは思わんか?」
「はぁ・・・私には当主の考えはわかりません」
「なぁ、ウィルフレッド、私は彼女と話がしてみたい」
「・・・そうですか」
「直接話してみないとわからないだろう?」
「わかりました。当主に話をつけておきます」
「当主にではなく、直接呼んで来い。なぜ姉の方にだけ会わせたのか・・・気になるな。案外いい娘かもしれん、あの姉のようなどこにでもいるような媚びへつらうような女より随分楽しそうだ」
ヴィンセントは自然味溢れる庭で、地面に寝転び天を仰いでいたレティシアに興味を持ったようだ。ウィルフレッドにとって、半年以上探してやっとの事で見つけたレティシアを、ただの一目で興味を持ったヴィンセントに横取りされるような気持ちになり複雑な心境だった。できれば関わらせたくなかったし、自身が彼女を求めていた。探していたのに見つからない半年間という時間で、ウィルフレッドはレティシアに恋心を募らせていた。媚薬を盛られ正気ではなかったとはいえ、瞬時に判断をし行動に移すも、決して醜聞にならないようにと、細心の注意を払って行われた行為。ウィルフレッドには、ただすっきりしたと終わらせられるられる程、忘れる事はできない一夜だった。医療で言うところの応急処置。それだけでは終わらせたくない。このままなかった事にはできないと、気持ちが大きくなっていくばかりだったのだ。
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次回
【ウィルフレッドside】
俺が先に彼女に出会ったというのに・・・
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