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【レティシアside】公爵家の人々

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今日はアバンス公爵家へお父様と一緒に訪問している
執事の方に出迎えられ、玄関に足を踏み入れた途端、何かが飛び込んで

え!?何!?




「お会いしたかったです!お義姉様!僕、ルシアンです」




なんて可愛いの!?
お義姉様?もしかしてウィルの弟かしら?
それにしても天使みたいな可愛さね





「きゃー!可愛い!!」




そうそう、可愛い・・・!?
気付けばまた誰かに抱きつかれていたわ
これは・・・お義母様!?





「ちょっと、何してるんですか!俺のシアなんですよ!離れてください、ルシアンも離れろっ!羨ましい事するな、俺もまだなのに!」




羨ましいって?
結局ウィルも抱きついてくるのね
でも・・・公爵家の方々は親しみやすい方が多いみたいだわ
公爵様はどんな方なのでしょう?
それにしてもウィルの羨ましいって何かしら?




「ウィル、何が羨ましいの?」

「えっ・・・えっと・・・その、む、胸に・・・」

「こんな小さな子ども相手に嫉妬しないで」




全く・・・
何考えてるのかしら
そんなむくれてもダメよ?
って、そんな顔もするのね・・・
ウィルって本当に表情豊かね
知らなかったわ





「お兄様酷い!」

「そうよ、私だってレティシアちゃん愛でたいのに!」

「ダメです!シアは俺の!俺だけのものです!」




この言い合いいつまでするのかしら?
お父様も苦笑いしてるわ




「おいおい、玄関で何やってるんだ・・・」




あ、公爵様・・・
初めてお目にかかるのがこんな状況だなんて
明らかに失態だわ
はぁ・・・厳しい方だったらどうしよう





「ウィル、おろしてくれない?」

「嫌だ」




嫌だって・・・
公爵様の前でも膝に乗せるの?
そてはマズイんじゃないかしら?




「辺境伯、息子が・・・なんかすみません」

「いいえ、ここまで娘を慕ってくれているのは嬉しいものですよ」




とりあえず機嫌を損ねたりはしてないみたい
よかったわ




「それにしてもレティシアちゃん、可愛いわぁ!娘が欲しかったのがやっと叶ったわ!」

「僕も綺麗なお義姉様ができて嬉しいです!」

「妻も次男もこの通りです。本当にウィルフレッドと一緒になってくれるご令嬢がいるなんて、嬉しい限りです」




なんだか大歓迎されてるわ・・・





「アバンス団長ほどの方なら引く手数多でしょうに」

「いえ、息子は本当に結婚をしたがらなかったんです。縁談の釣書を見もせずに片っ端から断っていくものですから・・・親としては難儀な問題でした。それなのに、こんなに素敵なお嬢さんを連れてくるなんて・・・」





公爵様がこんな風におっしゃるなんて、ウィルって本当に結婚するつもりなかったのね・・・

書類も済んだし・・・

本当に婚約者になったのね




「お義姉様、あとで一緒にお茶しましょう!庭に綺麗な花が咲いているんです、僕が案内します!」

「あら、ルシアン様ありがとうございます。楽しみですわ」





可愛い、本当に弟ができたみたい





「ちょっと待て!ルシアン、それは俺の役目だ、とるんじゃない!」

「兄上、少しぐらいいいじゃないですか!僕だって、お義姉様が欲しかったんですから」

「シアはダメだ!お姉様も俺がしてやる」

「ウィル、さすがにそれは無理よ・・・」





ウィル・・・
それはないわ




「レティシアちゃん、娘ができるなんて嬉しいわ。一緒に街にお買い物に行きましょうね!カフェでお茶もいいわね。そうだわ!私のお友達のお茶会に一緒に参加しましょう!嫁自慢ができるわ!」





お義母様に歓迎されてるのはいいわね
なんだか本当の娘だと思って貰えてるみたいだわ





「母上、勝手にシアの予定を決めないでください。シアの時間は俺で埋め尽くされていますからそんな時間はありません」




ウィル、私の予定は私が決めるわ
勝手にウィルで埋めないでくれるかしら?





「ウィル、一日中屋敷にいても仕方ないわ。ウィルが騎士団にいっている間ならいいでしょう?」

「ダメだ!シアが街に出てみろ?男達が群がってくる。それに夫人達のお茶会に参加でもすれば、シアを気に入って自分の息子をと薦めてきかねん。敵は男ばかりとは限らない」

「考えすぎよ・・・」




ウィル少し考えすぎじゃないかしら・・・




「ウィルフレッド、お前がそんなに嫉妬する男だったとは知らなかったな。それに人前でそんなことができる奴だったとはな・・・」

「これはシアに対してだけです」





公爵様もきっと呆れてるわ・・・
次期公爵の跡取りがこれでは





「そんなにいいものなのか?」

「えぇ、最高ですよ」

「ほぉ・・・」

「今は腕の中にいてもらいたいので、この体勢が一番安心するんです」

「ウィルフレッド」

「何です?」

「私もレティシア嬢をお膝に乗せてみたいな」




え・・・?




「なっ、何言ってるんですか!」





確かに
驚いたわ・・・





「ダメに決まっているでしょう!シアに触れていいのは俺だけです。父上でもダメです!・・・もうダメだ!ここはシアを狙っている奴しかいない」




ん?
触れていいのはウィルだけってどういう事なのかしら?
私そんな事言った覚えもないわ
それにしてもウィルの嫉妬が激しいわ・・・
それを咎めもせず、私の取り合いみたいになっているんだけど・・・
誰がこんな事予想できたかしら・・・





「シア、このまま屋敷に住んでくれないか?」




それは流石に・・・




「そうです、お義姉様、兄上と結婚するんでしょう?もう住んでください!」





え?





「そうよ、レティシアちゃん、もうここはあなたのおうちよ?」




ん?





「レティシア嬢、君がよければこのままどうかな?」




あれ?

どうしましょう・・・





「レティシア、ここまで言われて帰るのも気が引ける・・・いいんじゃないか?」




お父様!?




「お義父上!ありがとうございます!」





ちょっと待って!なんでウィルが返事してるのよ!?

もう公爵家の皆様全員で囲み込まれている気がしてきたわ・・・

本当に予想外・・・

でも、賑やかな家族で毎日が楽しみね





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次回

屋敷にいるなら差し入れなんてする必要ないもの




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