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【ウィルフレッドside】その選択肢は俺の中にはなかった

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本当によかった・・・
シアはちゃんといた
流石に子どもみたいに泣き喚いたりしたら呆れられたかもしれないな
だがシアと離れたくない




「シア、もう帰るのか?」

「えぇ、そのつもりだけど?」




ダメだ
シアを一人で帰すなんてできない
道すがら誰かに攫われでもしたら大変だ




「・・・ダメ」

「えっ?」




ダメなものはダメだ
気付けば全ての荷物を片付けてシアを抱えて歩き出していた





「ウィル、どこ行くの!?」




シアの質問が来たときにはもう目的地に着いてしまった




「・・・ついた」




執務室のソファで待ってて貰うか
ここなら執務中も視界に入るし安心だ





「ここで待っててくれ」

「ここで?」

「終わるまで待っててくれ」

「ウィルが帰るまでって事?」

「そう、一緒に帰る」

「ウィル、一人で帰れるわよ?」

「ダメだ」

「どうして?」

「さっきみたいに男に囲まれたシアを見たら生きた心地がしない。見えている所でならどうとでもなるが、俺の知らない所で他の男に・・・うっ・・・考えただけで・・・うぐっ・・・嫌だ!」





無理だ
考えただけでまた涙が出そうになる
流石のシアも呆れたかもしれないな・・・






「わかった、待ってるわ。ここで待っていればいいのね?」





・・・いいのか?やっぱり俺のシアは優しい




「あぁ」

「本当に?」

「?」




なんだ?それ以外にどうすればよかったんだ?何が正解だったんだろうか・・・

えっ!ま、待って!




「シア!どこに行くんだ!待って、一緒に帰え・・・えっ?」




シアがこっちに・・・
なんだ?
うぉっ!?
・・・どういう事なんだ?
なんで俺の膝に座るんだ?





「ここがいいかな」

「・・・」




これって・・・

しかし・・・
その選択肢はなかった・・・

意表を突かれた俺は完全に停止してしまった

身動きも思考さえも

執務の間ずっと俺に捕まっててくれると言うのか?

シアがいるだけで執務室が幸せな空間になったと思っていたのに・・・その上があったなんて・・・思いもしなかったな





「あら、嫌だった?」

「嫌じゃない!嫌なはずない!」




嫌なはずないだろう!なんだかシアに甘えられているみたいで嬉しい・・・





「ふふっ、仕事しないの?」

「す、する・・・する・・・けど・・・シア・・・」

「何?」





どうせなら触れていたい・・・




「左手が・・・寂しいな・・・」

「別に何もダメなんて言ってないわ」

「シア!大好きっ!」





大好きだ!大好きだ、シア!
シアがいる・・・
俺の腕の中にシアがいる

もう、俺の表情は緩みっぱなしだな・・・






ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

シア・・・俺以外の男に優しくするな・・・

俺以外の男に笑顔を向けないでくれ・・・

男に近付くな・・・危ないじゃないか・・・











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