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人の執着はどれほどか

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「ふふっ、王女殿下にウィルがとられるんじゃないかって、私が不安になっているのではと思ったようですが、私がそっけない態度をとって、ウィルを焦らせましてね。その状態で王女殿下と会ってもらったのです。既に焦ってそわそわしていたでしょうに、お義父様が、可愛い義娘ができたのに、まだお膝に乗せて愛でていないなんて言うものですから、ウィルがお義父様に向かって抗議したらしいのです。お義父様ったら、楽しくなってしまったのか、いたずら心が出てしまったのでしょう。追い討ちをかけるように、私の部屋にルシアンがお茶をしに行くと言っていたなんて言うものですから、二人きりなどだめだと、王女殿下を放って部屋を出てきたらしいのです」

「当たり前だろう。シアより大事なものはないんだ」


その時の事を思い出したのか、ウィルフレッドは、また肩や首に頭をグリグリと押し付けて甘え出した。


「王女殿下を放置できるなんて、王族か団長ぐらいですよ。本来ならば、不敬だなんだと言われかねませんからね」

「そこなのです」

「そこ、とは?」

「ウィルが途中退出した後、お義父様が、王女殿下に向かって、あなたの付け入る隙はないという意味を込めて追い討ちをかけたらしいのですわ。おかけで王女殿下は随分とご立腹なはずです。仕掛けはしております。あとは、どう出てくるか・・・」

「そんなにはっきりと拒否をしているにも関わらず、まだ何かしようとしてくるでしょうか?」

「人の執着というものには驚かされることがありますのよ?ねぇ、ウィル?」

「・・・うっ・・・」


首や肩に擦り寄っていたウィルフレッドが、レティシアの言葉にビクッと反応し固まった。


「私がどれだけ突き放しても、好きだと言い続けてきたいい例がここにおりますわ。そう簡単には引き下がる気がしませんもの」

「確かにそうかもしれませんね。納得しました」

「諦めてくれたのなら、それはそれ。諦めがつかず何かしてくるのなら、手を打たねばなりませんね」

「待ってみるという事でしょうか?」


レティシアは、ウィルフレッドの両頬に手を添えると、顔を上げさせる。


「逆にこちらから仕向けてみる?」

「仕向ける?」

「そう、例えば・・・意図的に一人になってみるとかね。引っかかってくれれば糾弾してみればいい。その上で、ウィルが辛辣な言葉でもかければ取り乱して本音でも話すのではないかしら」

「しかし、シアを危険な目に合わせるのは・・・気が進まん」

「あら、私の騎士様はいつだって私を助けてくれると信じているのだけれど?」

「それはもちろんだ。何よりもシアが優先だからな」

「ウィル、信じてるわ」

「・・・シア・・・」

「では、甘い雰囲気になる前に、計画を立てませんとね?」


レイバンは甘い雰囲気で二人の世界に入りそうになり苦笑いしていた。





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次回

心配というより、ただ離れたくないだけよね?





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