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【ウィルフレッドside】俺の色

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あぁ、早くシアに会いたい
風邪が治って騎士団に出るようになったが、朝屋敷を出るときは今だに離れ難い


「おい、レイバン、俺はもう帰る。後は頼んだぞ」

「はいはい、婚約者殿に会いたくてうずうずしているのが手に取るようにわかりますよ」

「帰りたいというより、騎士団長を辞めたい」

「全く・・・陛下が許可なさいませんよ」

「ちっ・・・お前がやればいいだろうに」

「何度言われてもダメなものはダメなんです。ほらほら、時間ばかりが経ちますよ」

「あぁ」




本当に騎士団長なんか辞めたい
何故シアと離れてまで騎士団長なんてやらないといけないんだ・・・
屋敷に着いたが、シアはどこだ?


「シア!」


部屋にはいないか・・・
どこにいる?俺の部屋か?


「いないな・・・」


あとはどこだろうか?ルシアンの部屋?


「ルシアン」

「兄上、どうなされたのです?」

「シアは・・・来てないみたいだな」

「あぁ、お義姉様なら母上と一緒ですよ。マダムマノアが来ているとかで」

「そうか、助かった」


マダムマノア・・・
ドレス職人のデザイナーだったな
以前に仕立てられたドレスは見事だった
俺の色を纏ったシアはなんとも言い難いものがあった
また俺の色を纏ってくれないだろうか
なぜだかシアは普段、青いものを身に纏わない
避けているのか?
この応接室から母上の声がするな
ここか



バタン!



「まぁ、女性だけの部屋に、ノックもなしに入ってくるなんて、お行儀が悪いわよ、ウィルフレッド」

「・・・」




なんで今なんだ・・・
シアが俺の色を身に纏っている・・・
ダメだ・・・
俺の部屋にこのまま連れ帰ろう




「ウィル?」



首を傾げてくる仕草も可愛いな
俺の色を身に纏っているから、なおさら可愛く見えてしまう
これはもうお持ち帰り決定だ




「マダムマノア、このドレスは買い取る。このまま連れていくぞ?」



ダメだと言われても無理だ
止めても聞けないな



「まぁ、まぁ・・・わかりましたわ」

「ウィルフレッドったら、自分の色を纏ったレティシアちゃんに喜んでいるのね」




その通りだ
どんな格好をしていてもシアは可愛いし、綺麗だ
だが、俺の色を纏っているシアは・・・特別にクルものがある



母上やマダムマノアが何か言っているが、構っている暇なんてない
俺はシアを構いたいんだ
時間はいくらあってもいい
何なら時が止まってくれればと思ってしまうほどだな



「ウィル、勝手に出てきてよかったの?」

「あぁ、かまわない。マダムマノアは母上の馴染みのデザイナーだ。あれくらいで気分を悪くしたりはしないだろう」



俺は今きっと表情が緩みきっている
何たって、俺の色を纏っているシアが目の前にいるんだからな





ーーーーーーーーーーーーー

次回

毎日シアには俺の色を纏ってほしい



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