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【ウィルフレッドsaid】君が望んでしまったら

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「く、くくっ、本当に惜しいな・・・ヴィンセントがうまくやれば、レティシア嬢を義娘にできたのにな」




護衛につくつもりで陛下を探していたら、シアが王宮に来ている事に驚いた
しかも、陛下と話している
陛下は・・・どうしてもシアをヴィンセント殿下の妃にと望んでいらっしゃるのか・・・




「そのことですが、陛下・・・私にお任せくださいませんこと?」

「ん?何を任せるというのだ?」

「・・・未来の王妃様に当てがあるのです」



当てがあるって・・・何だ?
もしかしてっ!?
シア・・・シアじゃないよな?
やっぱり考え直したなんて言わないよな?




「・・・それは、ヴィンセントにいい相手がいるという事かな?」

「えぇ、そうです。身分も、人柄も申し分ないお相手がいますの。きっと殿下も気に入りますわ」



誰なんだ!
シアじゃないと言ってくれ!
私ではない他の令嬢だと言ってくれ!!




「ほぉ・・・楽しみだな・・・ちなみに?」

「まだ秘密です」




秘密ってなんだ!!




「ふっふっふ、そうか・・・楽しみにしておるよ」




い、嫌だ・・・嫌だ!!
気付けば駆け出して、シアに縋りついていた
陛下の御前だと言うのも忘れて




「・・・ウィル?」

「シア・・・シアじゃないよな?」

「何が?」

「未来の王妃様に当てがあるって・・・」

「私じゃないわ」

「・・・本当か?」



よかった
シアじゃない
他のご令嬢なんだな?
しあぁぁ・・・
格好悪いな・・・
陛下の前でぐずってる所を見せてしまった




「はははっ、本当に、ウィルフレッドが飼い慣らされておるな!」

「凛々しい騎士団長も私の前では甘えた子犬ですもの」




子犬か
何だっていい
シアの側にいられるなら何だっていい
シアが抱きしめてくれている
背中をトントンと優しく叩いて宥めてくれている
まるで幼い子ども扱いだな
それでも・・・安心する・・・





「・・・陛下、騎士団長から私を奪うとこうなります。使い物にならないのは困るでしょう?」

「全く、見事なものだな」




飼い慣らされるか・・・
そうだよな
シアのちょっとした言動で、俺はこうなってしまうほど、惚れているんだからな・・・




陛下が昔の話を語り出したな
先日の夜会のあと、父上と母上から少しだけ話を聞いたが・・・
母の姉、叔母上は・・・
父上の事が好きだったのか
姉妹で同じ男を好きになるなんて、父上も隅には置けないな





「そうか・・・少しは、クリスティアも私を好きでいてくれただろうか・・・」




シアがアルバート殿下が欲しい者を手に入れた
そして、今、相思相愛幸せそうであると言った
陛下は、叔母上に少しでも好かれていただろうかと思い出しているのだろうな




だが・・・俺は、人の幸せの為に、みすみす愛した女を差し出すような優しい男ではない
シアは誰であろうと渡さない
俺は・・・シアがいないとダメな男になってしまうんだから・・・





ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

これからの事って・・・結婚嫌になったとか言わないよな?


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