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公爵令息同士の友情
しおりを挟むマクシミリオンは、聞きなれない名が聞こえたことに、疑問を抱いた。
「コルテオとは誰だ?」
「あぁ、近衛騎士に変わり者の奴がいてな、騎士というより、研究肌なんだ。研究と言っても、科学や医学じゃない。通信機器や、記録装置を開発するのに尽力を注いでいる物好きがいるんだ」
「それが何の関係が・・・あっ」
「気付いたか?早馬を出すより、伝令が早い。この場で話しているのと変わらない速さで情報が伝わる。争いも、防衛も、情報が鍵を握る時が大いにある。間違った情報が流されれば、組織が壊滅する事だってある。だが、正しい情報が瞬時にもたらす効果は絶大だ。皆に馬鹿にされてきた男がやっと日の目を浴びるんだ。同期の騎士として誇らしいよ」
ウィルフレッドの顔は慈愛に満ちていた。仲間を思う目だ。マクシミリオンは、その顔から目が離せなかった。
「我が国は遅れをとるというのが、筋書きだっただろうが、そうはさせない。シアの暮らす国は、俺が守るし、これからだって守り続ける。それが騎士団長という立場でなくなったとしても、気持ちはかわらない。俺にできる最善を尽くすだけだ」
「あんた騎士団長を辞めるつもりなのか?」
「今はまだ留まるさ。シアが、格好いい騎士団長の俺に惚れたらしいからな」
「ふっ、あんたは、自分の意志よりも、レティシア嬢の一言に影響されるんだな」
「あぁ、そうだ。シアが嬉しいなら俺も嬉しい。シアが怒っているなら俺だって怒る。俺に怒っている時は、嫌われないように必死に謝る。シアが悲しいなら、その悲しみを分けてもらう。少しでも気持ちが楽になるようにな。そしてシアが望むなら、格好いい騎士団長でいる」
「まったく・・・女一人でここまで変わるんだな」
「それだけ価値のある女だからな」
ふっと、笑みをこぼすが、瞬時に真面目な表情にかわった。
「この度は、情報提供感謝する。自ら危険を犯し、情報をくれた。敵の奇襲を防ぐことに対策を打てる。マクシミリオン・・・君は戦友だ。すまないが、しばらくここで待っていてくれるか?今後の君の人生が少しでも明るいものになるように、どうにか陛下にも掛け合ってみる」
「・・・期待せずに待っているさ・・・戦友」
その言葉を聞いて、ウィルフレッドは牢の前から立ち去った。
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次回
【北の辺境伯クレイドルside】
騎士達には申し訳ないが、総動員だ!!
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