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怒りの矛先

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レイバンは、国王の寝室へ、新人騎士だという男達3人を連れてやってきた。上手く騙せるかと試したが、国王レオナルドは、騎士だという男達が騎士ではないという事に気付く。そしてレイバンは昔語りをはじめた。


「私は当時、戦地となったイズヴァンドで、領主の息子でした。この者達も、親や兄弟が戦の犠牲になり、孤児となった者達です」

「彼等もそうなのか」

「えぇ、領主の息子である私は・・・立場上責任もありましたし、恨むべき相手は明確でした。ですが、彼等はどうでしょう。突然、親や兄弟を亡くしたのです。戦地となり荒れ果てた土地で、幼かった彼等はたった一人で生きることを余儀なくされた。私も戦火は逃れられたものの、この地に戦を呼び込んだとして、民達からは、行き場のない怒りと罵声をあびせられました。たった7歳の子どもだった私に何ができるのでしょう。そして、両親が何をしてしまったというのでしょう。知らないうちに戦が始まり、自領が戦地にされた。知らないうちに逃げきれないほどすぐ近くまで危険が迫って巻き込まれた。両親達は罰を受けるような、何か悪い事をしましたか?国に迷惑をかけるような事をしましたか?いくら考えても、答えはまるででないのです」


レイバンの口元は微笑みを浮かべているようにも見えたが、細めた目は少しも笑ってはいなかった。


「そうそう、彼等は私の同郷の人間ではありますが、仲間というわけではありません。同じ経験をし、同じ思いを持った、言わば同志です。陛下・・・あなたには、国王の座から降りてもらいます」


レイバンは、腰に下げていた鞘から刀を抜くと、右手で強く握りしめ、国王レオナルドに刃先を向けた。レオナルドに刃先を向けたまま、ゆっくりと歩き出した。一歩、また一歩と国王に近寄っている。


「これで終わりです。長かった・・・20年・・・随分と我慢しましたよ。いつしか仇を・・・」


バタバタバタ


バンっ!!


「父上!!」





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次回

私が近衛になったのは、あなた方に近付く為ですよ



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