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使用人の噂話

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そんなこんなで毎日マクシミリオンがエルサを追いかけ回してはソルディオが追い払う。いまだに婚約者のいないエルサに、使用人達、そしてクレイドルもどちらかと進展があるのではと期待しているのも事実である。そしてそれを知っている故に要らぬ横やりにはならぬようにと、コルテオはエルサから距離を取るようになると同時に、使用人達の噂話はどんどん増していく。





「二人のうちなら私はマクシミリオン様ね」

「そうそう高位貴族らしい立ち振舞いがあるわよね」

「それにアタックも熱烈だわ」

「でもソルディオ様も捨てがたいわよ?」

「そうよね、ずっと側におられたし」

「ソルディオ様のエルサ様に向ける視線はとっても優しいのよ」

「わかるわ!にじみ出てるものね」

「ねぇ、あの人は?」

「あぁ・・・」

「顔はまぁまぁよね」

「でもあんな引きこもりでは、エルサ様はお気にとめないんじゃない?」

「ずっと籠ってらっしゃるけど、何の研究なのかしら?」

「いかがわしいものでも作ってるじゃないの?」

「でも元は近衛騎士だっていうじゃない?」

「近衛騎士でも必要とされていれば王都に留められるわよ」

「そうよね。実力がなかったとかで厄介払いにあったのかもしれないわね」

「う・・・ん、ないわね」

「そうね」






廊下の掃除をしていたメイド達のおしゃべりが筒抜けで聞こえてくる。落胆する気持ちと、使用人達の言葉が妙にストンと胸に落ちてくる。ひどい言われようだが、それもまた事実であると自身が認めたせいであろう。感傷に浸っていると諌めるような声が聞こえてきた。


「あなた達、全部聞こえてるわよ!」

「お嬢様!」

「いつかうちのメイドはこんなにおしゃべりになったのかしら?」

「も、申し訳っ」

「謝るべきは私なの?違うでしょう?謝る気概があるなら今後は慎むべきね。人にはそれぞれ役割があるわ。あなた達の役割は使用人としての掃除!」

「は、はい!」

「いいわ、仕事に戻って」


カツカツと足音が遠退いていく。まさかかばってもらえるだなんて思っても見なかった。メイド達の言う通りだななどと自分でも自覚していたようなものだというのに。でも思い上がらないようにしなければとコルテオは思う。エルサはただ、使用人の愚行を注意したに過ぎない。辺境伯邸の品位が問われることなのだ。令嬢としてはただ当たり前の事をしたまでだろう。だがコルテオとしては顔の緩みが抑えられない。こんな表情見られては評価はマイナスだなど思いながら、研究室の中でよかったと心底胸を撫で下ろしていた。






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