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おじ様は必死

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それから北の辺境伯であるクレイドルは王家に連絡を入れた。通信機があり、王都まで数日かかっていた距離が、すぐに連絡がとれる。これもコルテオの研究結果の賜物である。


「なんだと!?エルサが結婚!?誰だっ、私の可愛いエルサを横取りした不届き者は!!」

「陛下・・・横取りも何も、エルサは陛下の妻でも婚約者でもありません。ましてや娘でもないのですよ?」

「だ、だがっ!」

「それに相手は申し分のない清廉潔白な男です。何の問題もありません」

「問題あるっ!」

「はい?・・・どのような?」

「エルサが・・・辺境に留まる理由になるではないか!」

「いやいや・・・」


クレイドルは、姪可愛さにわがままを言う国王に対して苦笑いしていた。


何と返そうか考えていると、後ろから声がかけられた。


「陛下、ご無沙汰しております」

「ん・・・?この声はコルテオか」

「はい、覚えて貰えていたこと嬉しく思います」

「コルテオ、今はクレイドルと大事な話をしている。後にしてくれ」

「そういうわけにはいかなくて・・・」


随分な剣幕な様子の国王の声に、コルテオは困る。だが・・・。


「陛下」


話に割ってコルテオの腕をいまだに離さないエルサだ。


「おぉ、エルサか!久しいの。ところで、どういう事だ?入婿?婚約者だと
?私は聞いておらんぞ」


先程の威厳はどこへやら、段々と声が弱々しくなっていった。


「だから、今話しているではありませんか」

「いや、しかしな・・・それに、陛下ではないだろう?」

「いえ、陛下です」

「うっ・・・私は許さんぞ!エルサにはまだ早い!婚約者は私が見繕うと言っただろう」

「陛下のお許しなどいりません」

「なっ!?・・・エルサ・・・おじ様の事嫌いか?」

「えぇ、私の言うことを否定され聞いても貰えない陛下の話など何故聞かねばならないのです」

「・・・えるさぁ・・・」


コルテオは目の前のやり取りを見て、国王に向かってこのような態度をとれる者がいるのだということを始めて知った。エルサと喧嘩などしようものなら、国王を敵に回すのだと。美しくも可憐で可愛らしく、しっかりもののエルサ。そして頼りになるのに、自分の目の前では弱い姿を見せる。それだけ気を許しているのだとわかる。


「エルサ、おじ様は悲しいぞ・・・」

「そうですか。陛下が何を言おうとも、私は結婚します」

「・・・誰だ?私が納得する相手なのだろうな?」

「納得する方だから北の辺境に送られたのでしょう?」

「はぁ?・・・ま、まさか」

「陛下・・・あの・・・」

「嘘だろう!?コルテオ・・・」

「えっと・・・そういう事になりまして」

「お前とエルサでは10も離れているではないか!」

「陛下、そんなの些細なことですわ。それでは報告は済みましたので失礼しますわ」

「ま、待てっ!エルサ!エルサ!!」


通信機の前から離れていくエルサ。コルテオの腕を引っ張っているようで、二人の声が段々と小さくなっていった。通信機にかじりついていたらしい国王はしっかりと聞いていた。エルサが自身の部屋にいってのんびりしましょうと言っていた事。二人はもう深い仲なのだと項垂れていた。残されたクレイドルが苦笑いしていたのは言うまでもない。


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