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21、同じ内容でも捉え方は違う
しおりを挟むサロンでお茶をするオーロラとノアール。
「ねぇ、ノアールのご両親は健在かしら?」
「父は男爵領で領主をしてますよ。そう長くないうちに、兄に家督を譲るでしょう、母は幼い頃に亡くなったので、ほとんど覚えてはいませんね」
「そうなの。イースブール男爵領はどんな所なの?」
「まぁ、一言で言ってしまうと何もない田舎ですね」
「田舎ねぇ・・・例えば、湖とか森林とか山とか、景色が綺麗って表現はどうかしら?」
「あぁ、それはあると思いますよ。空気も綺麗ですしね。ただ王都からそう遠くはないんですが、不便な場所で他の領からも行き来がしにくく発展できずにきた場所なんですよ」
「そうなのね」
オーロラはこれは商機かもしれないと思案している。
「ノアールって、三男って言ってたわよね?」
「えぇ、兄が二人いますよ」
「長男さんが男爵家を継ぐとして、次男さんはどこかにお勤めなの?」
「はい、城の文官として働いておりますよ」
「ほぉ、文官ね・・・」
オーロラの中でまた違うパズルのピースが組みたっていく。
「お兄様お二人は結婚されているの?」
「上の兄は結婚してますよ。下の兄は婚約者はおりますが結婚はまだですね」
【オーロラside】
イースブール男爵領は、貴族の保養地なんかにいいかもしれないわね。別荘なども良さそうだけど、たまにしか使わない別荘よりも、雇用も生むし観光客の方がお金は落としてくれるわね。目立つ特産物はあまりないみたいだけれど、自然が培ったおいしい食材は目玉よね!おいしい食事に、綺麗な景色。そこに雰囲気を演出できたなら、新婚旅行に人気の観光スポットなんかにできたらいいわね!まずはお姉様とサイラス様との新婚旅行を演出ね!ゆくゆくは私もノアールと・・・きゃぁぁ!!
【ノアールside】
オーロラ様やたらと質問してくるな、しかも俺の家がらみばっかりだ・・・何を企んでるんだ?しかし、兄達をオーロラ様に会わせたくないな。俺と違って見た目がいいんだよな・・・亡くなった母上に似ているらしくて、銀髪に青い瞳。俺だけ父上の色で、黒髪赤目なんだよな。オーロラ様は、俺のこの黒髪と赤い目が素敵だと言ってくれた、でも兄上達に容姿は劣るからな・・・ん?まてよ・・・父上と同じ色?はっ!まさか!?父上を見てみたいとか言うのか?父上にとられるのか!?それはいやだ!父上だからとかじゃなくて、どの男にとられるのもいやだ!!
オーロラとノアールの父親では一体何歳差なんだ・・・祖父と言ってもいい程度には離れている。嫉妬という感情を覚え、ノアールは斜め上の発想をしだした。
同じ内容の会話でも二人の捉え方が全く違う。
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次回
いつのまに!?
久々のチャンスだわ!
応援ありがとうございます!
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