影は落ちました

25、その気持ちがあれば十分に勝算がある

「次は、あなたですね、サイラス様」
「私ですか？」
「サイラス様・・・姉を、セレーナに好意をもっておいでですね？」
「・・・なぜそれを」
「随分と前から知っておりましてよ？」
「オーロラ嬢には敵わないな・・・」
「私は、姉には幸せになってもらいたいのです」
「私には諦めろと言いたいのだな？こんな醜聞まみれの公爵家には嫁にはやれんな・・・」
「いえ、その逆です」
「逆？」
「えぇ、私は姉に幸せになって貰いたいんです」
「はは・・・こんな公爵家に嫁にきてもらっても、幸せにはできませんよ」
「いいえ、幸せにして頂きますわ」
「どう言う事ですか？」
「私に協力して頂けませんこと？」
「協力？」
「私は姉に、何の憂いもなくサンライズ家に嫁いで頂きたいのです。その為に、不穏分子は全て取り除きたい。まずはルーカス様。嫁いだお姉様に手を出さないとも限りません。次に、エレノア様。ルーカス様を排除するにあたって、どんな行動に出るかわかりません。逆恨みで報復をする可能性もあるでしょう。そしてご当主。このまま悪事をバラされれば、公爵家は良くて降格、もしくは親族外からの当主交代、最悪お取り潰しにあいますわ。それだけの証拠を掴んでいるのです」
「もう・・・どうしようもないじゃないか」
「いいえ、私の茶番に付き合って下さいませ」
「茶番？」
「えぇ、主役と配役は完璧ですわ。次の夜会で仕掛ける予定。一気に片付けますわ！」
「ははは、君は本当に16歳の少女なのか？疑いたくなるよ」
「あら、それは私が大人っぽいということかしら？褒め言葉として受け取っておきますわ」

オーロラは頬に手をあて微笑んだ。

「サイラス様、次の夜会、当家の三女ルーナがデビュタントを迎えます」
「そうか」
「ルーナが夜会で、お姉様に手をかけようとしています」
「ルーナ嬢が？」
「なんでも他の令息に襲わせて、純潔を奪ってしまおうとの算段らしいのです」
「そんな！なぜ実の姉にそんな事」
「ルーナはレオン殿下を狙っていますのよ。なので蹴落として、自分が婚約者の座に収まる事を確実にしたいのでしょう」
「そんな事の為に・・・」
「全くですわ。縁者を害そうとするなんて、血の繋がるものとは思えません。危険を承知でお願いしたいのです。姉を救って、サイラス様の手中に収めて頂きたいのです」
「助ける事は絶対だ。手中に収めれるかどうかはわからんが・・・」
「ふふっ、きっと良い方向に向かいます。それと、ルーナのことはお任せ下さい。いろいろとトワイライト家としても困っておりますの。どの家にも1人は迷惑な者がおりますわね」
「迷惑・・・確かにな」

サイラスはルーカスの事を頭に浮かべていた。

「トワイライト家はルーナを除籍します」
「除籍・・・ですか」
「えぇ、これは公爵家当主であるお父様がお決めになったことですわ」
「公爵が、実の娘を」
「なのでご心配なく。それと・・・レオン殿下から、お姉様に正式に縁談の申し込みが来てますの」
「殿下から！？」
「でも安心なさって。トワイライト家はその縁談を受けるつもりはありません」
「そう言ったって、王家からの縁談だぞ！？またとないいい話ではないか」
「あら、お姉様をレオン殿下にとられてもいいのです？」
「どこに勝てる要素があるというのだ・・・地位を持つ男には勝てないさ」
「諦めますの？」
「諦めたくはない！諦めたくは・・・」
「そのお気持ちがあれば十分ですわ。勝てます」
「えらく自信がある言い方だな？なぜそう言い切れる・・・」
「えぇ、確かな情報を握っていると言っているでしょう？」
「また情報か」
「私を誰だと思っておいで？私はセレーナ・トワイライトの妹ですのよ？」
「あぁ、そうだが？」
「ふふっ、お姉様は、セレーナ・トワイライトの想い人は、サイラス・サンライズ、あなたですわ」
「なっ・・・そうなのか・・・？」
「えぇ、レオン殿下には随分差がついていますのよ？どんなに言い寄られても、なびかないのです。きちんと本人にも気持ちを確認してますのよ？」
「・・・それで・・・俺は、何をすればいい・・・
「では、演目の配役と作戦会議ですわね！」



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次回

あなたはあなたの幸せを

幸せも自分で掴んでみせるのでしょう？