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40、目を覚ましたオーロラは
しおりを挟む「ノアール様!オーロラ様が目を覚まされました!!」
メイドが駆け込んできたのは、オーロラが眠りについて四日目の夕方だった。ノアールは急いでオーロラの部屋に向かった。
「オーロラ!」
ノアールは、オーロラの部屋に勢いよく駆け込むと、姿を見つけ、名前を呼んだ。
「?」
しかし、オーロラの反応がおかしい。
「オーロラ・・・」
「はい・・・あの・・・どちらさまでしょうか?」
「えっ・・・」
「お見舞いに来ていただけたんですか?ありがとうございます。私丸三日以上眠っていたみたいで、先程目が覚めたのです。目が覚めたら、メイドが大騒ぎして、家族が一気に集まったかと思えば、ぎゅうぎゅう抱きしめてくるんですもの。ビックリしましたわ。それで・・・えっと・・・お父様のお客様でしょうか?」
「・・・俺が・・・俺がわから・・・ないのか?」
「申し訳ありません、私、あまり屋敷から出たことがなく、あまりお貴族様のお顔を存じ上げませんの。本当に失礼な事ですわ。家名を伺っても?」
「・・・イースブール・・・男爵家だ」
「そうでしたか。イースブール男爵様、失礼をしてしまって申し訳ありませんでしたわ」
オーロラは寝台に座ったまま軽くお辞儀をする。
「サラ、男爵様をお父様の所へお連れして差し上げて?お父様は本邸にいるはずよ。あっ、それとも御用はお済みだったかしら?」
オーロラはノアールを全く知らないという反応を見せている。しかし、部屋に待機している、最近入ったばかりのメイドの名も呼んでいる。完全な記憶喪失ではない。自分だけが忘れられていた。
「あ、あぁ、要件は済んでいるから安心して下さい。まだ目が覚めたばかりでしょうから、ゆっくり休まれてください」
「お気遣い、ありがとう存じます」
オーロラはにこっと微笑んだ。
ノアールは自室に戻ると、夜会の日の事を思い返していた。
「・・・なんでこんな事に・・・俺だけがわからない?俺だけを・・・忘れた?なんで・・・この屋敷で新参者だからか?いや、違う。最近入ったメイドの名前も呼んでいた。さっき、アンナに確認したら、夜会の事は所々抜けているようだが、覚えてはいるそうだ。ルーナ嬢を牢に入れた事も覚えていたそうだ。サンライズ家の断罪の事も。おかしかったのは、セシル殿下に襲われた事に関してだ。助けてもらったのはレオン殿下だと言ったらしい。上着を貸してくれて、動けなかった自分を抱えて運んでくれたと・・・それは・・・俺だ・・・俺のハズだ。間違いなく俺だった。あの時、レオン殿下は確かに一緒に離宮の部屋に助けに入った。でも、レオン殿下の上着をいらないと、俺のを貸せと言ったのはオーロラだ。謁見の間に運んだのも、謁見中も、屋敷に帰る馬車の中もずっと・・・抱きかかえていたのは俺だ・・・一緒に寝台で眠っただろう?何故だ・・・何故、オーロラは俺だけを・・・忘れたんだ・・・」
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次回
【オーロラside】
さぁ、どうするの?ノアール・・・
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