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78、リボンの効果
しおりを挟むノアールが不安になった時に巻かれていた、互いの腕に絡む紐や布も、今ではリボンになっていた。妊娠中には、ノアールが他の女性に取られてしまうのではないかというオーロラの不安の為に巻くようになった。
二人の仲睦まじい様子と、愛し愛される関係に憧れたご令嬢達の間で、噂はすぐに広まっていく。ずっと一緒だよという愛情表現として、互いの色を組み合わせたリボンを巻くのが大流行した。寝る時にだけではなく、思い合う男女では、デートの最中にあなたとずっと一緒にいたいと、リボンを互いの腕や指などに巻きつけるという愛の告白が流行り、家族の祝い事では、幾つになっても大事な家族、結婚を控えた子供に向けて、どこに行っても、どうなっても、私達には家族の絆があるなどと愛情表現としても使われるようになった。
噂好きのご令嬢達は経済効果をももたらしていた。初めてその愛情表現が行われた場所として、ノアールの生家があるイースブール男爵領が愛の聖地と呼ばれ出した。イースブールの地でリボンを巻いて愛を伝え合うと幸せになれるという話が広がり始める。
オーロラが勝機と考えていた、自然を活かしたイールブール領の観光産業。狙ったわけではないのだが、ホテルやレストランなど若者に人気のスポットも増えていった。
イースブール産の物をプレゼントすると愛が叶うなどの話も自然と広がり、繊維業、革職人、宝飾加工品など、領内には腕のいい職人が集まってきた。
経済効果から税収もあがり、国に貢献したとして、イールブール家は伯爵位を賜り格上げとなった。繊維業の発展などから、農地などが必要になり、国が保有しいていたイースブールに隣接する地をオーロラが買い付け、城に文官として仕えていたノアールの兄、イールブールの次男が、男爵として領地を納めることとなった。
二人の不安を優しく包んだものが、はからずとも領地を活気づけていた。
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次回
しつこい男は嫌われるそうです
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