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第二に贈られた三女ルーナ
★☆最後に思い出が欲しい
しおりを挟む暫くすると、変化を求め出した騎士達が、ルーナの手足を拘束し、目隠しをして楽しむようになった。自由と視界さえ奪われたルーナは誰が来たのか、何人相手したのかもわからない状況に、なされるがままもう何も考えられなくなっていた。
そんな中、一人だけ他の騎士達と違う扱いをしてくる騎士がいる事に気付いた。目隠しをされたままで誰なのかはわからない。散々白濁を注ぎ込まれ弄ばれ、騎士達が去った後にその騎士は一人でやって来る。
騎士はルーナの身体を求めることはなかった。目隠しをしたままだが、ルーナを大事そうに抱きかかえ、湯あみをさせてくれる。食事の世話などもしてくれる。最後にルーナの体を優しく抱きしめて帰っていく。
数回それが続くと、ルーナは彼が気になり始めた。ルーナの見た目を気に入り激しく求める騎士はいても、優しく介抱されたのは初めてだ。彼を知りたい。ルーナの心に少しだけ灯りが灯ると、自然と声をかけていた。
「あの・・・どうして私に優しくしてくれるのですか?」
「・・・君は何か間違った事を犯したのかもしれない。だとしても・・・まだ15の歳若い君に・・・こんな罰は間違っていると思うんだ・・・こんな事しかしてあげられないけど・・・少しでも君の心が楽になればと思っているだけだ」
彼はそれからもルーナを介抱し続けた。
ある時は、他の騎士達が散々吐き出して行った白濁まみれのルーナを湯あみで優しく清めて。
柱に拘束されて身動きが取れない状態で犯され続けた時には、ぐったりしたルーナを見つけ拘束を解き清めると、寝台に運んで眠るまで側にいた。
張型を押し込まれたまま縄で縛られ、何時間も放置されたルーナを見つけた時には、声を上げて駆け寄り楽にしてくれるとしっかりと抱きしめてくれた。
ルーナはいつしか彼が支えになっていた。
しかし、それは突然の事だった。
「ルーナ・・・ごめん・・・」
「どうして謝るのです?」
「もう・・・君に会いに来ることができない・・・」
「そんな・・・どこかへ行ってしまわれるのですか?・・・騎士・・・辞めるのですか?」
「辺境へ・・・行くことになったんだ・・・すまない」
「・・・そう・・・なのですね・・・あの・・・最後に抱いて。あなたにされたい・・・こんな汚された傷物嫌だと思いますが・・・あなたとの一回を思い出にしたい・・」
「ルーナ・・・気持ちは嬉しい、でも、そんなことをしてしまったら、他の騎士達と同じになってしまう。僕はルーナをそんな相手にはしたくないんだ。だから・・・できない」
騎士はルーナを優しく抱きしめ頭を撫でると、ごめんねと一言言うと離れていった。ルーナは絶望し、動かない人形と化した。
これまでは騎士達の遠慮のない行為に、ただただ時間が過ぎることだけを考えていたが、その日以降は、彼の優しい手が、声が、自分の大きな支えになっていた事に、もう自分には何もないんだと涙が止まらなくなっていた。涙を流すルーナを見ても、騎士達の行為は変わらず遠慮などは見えなかった。
何の希望も見いだせない毎日。どのくらい経ったのかも何も感じなくなっていた。あの優しい騎士が訪れなくなって三か月が経った頃。何故か突然鎖が解かれ、服を着させられ部屋から出された。
かすかに聞こえた声に、入れ替わりの女が来たらしいと聞こえ、ちらりと姿が目に入った。
そこにいたのは、サンライズ公爵家の令嬢であったエレノアだった。彼女はあの夜会の後、他家に嫁がされるも、兄ルーカスが忘れられず、何度も抜け出し辺境へと足を運んでいたらしい。ルーカスも辺境騎士団という男ばかりの環境に、エレノアの体を嬉々として求め、何度も体を重ね合わせていた。何度目かの不貞の現場を押さえられ、婚家からの申し出で不貞の罪で辺境で捕らえられていたのだという。婚家からは離縁をされ、行く宛のないエレノアは第二に贈られる事の進言があり連れてこられたのだそうだ。
ルーナは仲が良かった訳ではないが元は同じ公爵令嬢。彼女の身を案じた。体だけは壊さぬよう、誰かが支えになってくれればと願った。
部屋からだされたルーナが案内されたのは、騎士団の詰所の入口。そこには家紋のない馬車が一台止まっていた。中には誰かが乗っているようだ。案内の騎士に促され馬車に乗る。
そこに乗っていたのは、どこかへ送るための付き添いの騎士だろうか。鍛えられてはいるが、穏やかそうな男だった。見目のいい男ではなく、純朴そうで、歳は30歳程に見えた。
ルーナは男の向かいに座ると、馬車が動き出す。しばらく無言の時間が流れた。ふと視線を感じて顔を上げると、男がルーナを慈しむような笑顔で見ていた。
「ルーナ・・・」
男が名前を呼ぶ。ルーナは男の顔をじっと見つめていたが、その瞳からは涙が流れた。名前も知らない、声しかしらない彼。唯一優しく扱ってくれたその彼だった。
「なんで・・・」
「ルーナ・・・迎えに来た」
「迎え・・・に?」
「あぁ・・・騎士のままでは君を助け出すことができなかった。騎士を辞めて生活の基盤を整えていたんだ」
「どうして騎士を辞めたのです!?私のせい・・・ですね・・・」
「ルーナのせいじゃない。僕の意志だ・・・ルーナ、抱きしめてもいいかい?」
ルーナは何も言えず、こくりと頷いた。男は向かいに座るルーナを抱き上げると、自身の膝に乗せ優しく抱きしめた。ルーナは再び感じることのできた彼の温もりに、安堵して気付けば胸に身体を預けるように眠ってしまった。
丸一日移動に使い、途中休みながらではあったが、日付が変わる深夜に目的地に着いたようだった。そこには小さいながらも屋敷があった。
「ルーナ、着いたよ。僕の屋敷だ。今日はゆっくり休んで、明日話をしよう」
彼は屋敷にルーナを迎え入れると、年配の執事と、母親くらいの年齢のメイドが慌てた様子で玄関へと出てきた。
「旦那様、お帰りなさいませ」
執事が丁寧に挨拶をする横で、メイドは物言いたげに男を見ている。ふとメイドの視線がルーナに移ると、途端に心配するような表情に変わった。
「まぁまぁ、お嬢様、お疲れになったでしょう?よくお越しくださいました・・・旦那様!この距離を一日で無理に連れてくるなんて、考えがなさ過ぎますわ!騎士として鍛えていたあなた様と違って、女性は体力がないのですよ!」
「ごめんよ、サラ・・・早く彼女にゆっくりして欲しくて・・・」
「もう!・・・名残惜しいでしょうが、お嬢様、今日は湯あみしてすぐお休みになりましょうね?お食事は食べられましたか?」
「はい・・・途中で頂きました」
「まぁ、可愛らしいお声!こんなに可愛らしいお嬢様は旦那様には勿体のうございますわね!さぁさ、湯あみしましょうね、このサラにお世話させてくださいませ」
メイドのサラに背中を押され促される。ルーナは立ち止まり振り返ると男を見る。
「あ、あの・・・おやすみ・・・なさい」
「・・・あ、あぁ・・・おやすみ」
ルーナはサラと二階の部屋へと消えていった。
「旦那様?」
「・・・あ・・・あぁ・・・」
「どうなさいました?」
「いや・・・僕の屋敷にルーナがいる・・・夢・・・みたいだ・・・」
「ふふっ、天使が舞い降りたとでもおっしゃりたいんですか?」
「そう、それだ!天使だ・・・まさしくそれだ・・・」
「それはようございましたね」
サラに連れられ部屋に入ったルーナは、湯あみをすませると、疲れもあったのかすぐに眠気に襲われた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
そ、そんなつもりはなかったんだ!!
レオン様・・・
新作お知らせ!
『騎士団長様からのラブレターーそのままの君が好きー』
当主である父に無理矢理参加させられたある夜会。辺境伯家の次女レティシアは、ダンスの誘いの多さに、断るのにも疲れ、辟易して王城の中を進んでいた。人気のない暗がりの中、うめくような声がする。一人の騎士が座り込んでいた。レティシアは彼を介抱する。
応急処置!わかった?
この出会いの行方は・・・?
近々投稿開始します、お楽しみに♪(´ε` )
応援ありがとうございます!
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