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第二王子アークトゥルス
第二王子は必死に耐える
しおりを挟むレグルス付きの近衛騎士が、アークトゥルスの身体を支え、フード付きのローブを着せる。二台の馬車のうち、一台にはラビリアが、もう一台にはレグルスとアークトゥルスが乗る。
王宮に着くなり、ローブで隠されたまま近衛騎士に支えられ、裏口から城に入ると自室の寝台に運ばれた。
数分経って、ドアが開く音がする。
「アーク様」
「ラビィ・・・ダメだ・・・はぁ、はぁ・・・入ってきては・・・ダメだ」
「アーク様、私を抱いてくださいませ」
「な、何を、言っている!・・・はぁ、はぁ・・・婚前交渉は・・・ダメだ」
「後も先もありません」
「ダメだ・・・お願いだ・・・離れてくれ・・・」
バタン!
「アークトゥルス!」
「兄上」
「この事は、俺とクレマン副騎士団長しか知らない。納得いかないかもしれないが、放置はできん」
「いや、しかし!」
「ひとつ貸しだ。この部屋には、お前達が出てくるまで誰も寄せないように計らっておく。あぁ・・・そうだ。アークトゥルス、あまりがっつくんじゃないぞ?初めては痛いらしいからな。では、後は頼んだよ、ラビリア嬢」
「承知しました」
「あ、兄上!」
レグルスはアークトゥルスとラビリアの二人だけを残し、去っていった。
「なんて・・・事を・・・」
「アーク様、お覚悟なさいませ!」
「ラビィ・・・はぁ、はぁ・・・しかし・・・」
「これ以上は、アーク様のお体が心配です」
「しかし!・・・はぁ、はぁ・・・君との、初めては・・・結婚式後の・・・初夜で・・・はぁ、はぁ・・・・」
「お気持ちだけで嬉しゅうございます。アーク様、私からお願いがございます。結婚式後の初夜の際には、薔薇の花をくださいませ。覚えていますか?初めて薔薇と一緒に言ってくださった事。それで十分でございます。ですから、今はためらわずに抱いてくださいませ」
ラビリアは服を脱いでいく。衣擦れの音がして、床に服が落ちる。下着だけになったラビリアは寝台へと近付いていく。
「ラビィ・・・」
「我慢されないでくださいませ、アーク様」
「はぁ、はぁ・・・ラビィ・・・」
「私はまだ子どもですか?色気がないでしょうか?抱く気も起きませんか?」
急に視界がぐるっとまわった。気づくとラビリアの視界には、天井が見えたと同時に、目の前に額に汗をにじませたアークトゥルスの顔があった。寝台に押し倒されていたのだ。
「そんなわけ・・・はぁ、はぁ・・・ない・・・うっ・・・僕が・・・どれだけ・・・はぁ、はぁ、・・・我慢、して、きたかっ!」
「アーク様?」
「君の、柔ら、かい・・・髪に・・・触れるたび・・・はぁ、はぁ・・・君に、キスをっ、するたび・・・はぁ、はぁ・・・ずっと、我慢、して、たんだっ!」
アークトゥルスは必死に耐えていた。これまでも、そして、今も。
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次回
アーク様のお心のままに
ラビィ・・・ごめんな・・・
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