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恋した君と愛する君

美しい花

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王宮の庭園には、たくさんの花が咲いていた。その中で、ひときわ美しく咲く花に目を奪われた。他にもたくさん花は咲いていたが、どうしてもその花が欲しかった。

王宮で開催されたお茶会から帰る馬車の中、少年は父親に強請った。あの花が欲しい。でも父である公爵は言った。あの花は容易くは手折れない。その花の名前はマーガレット。この国の第一王女だった。




「あなた、お名前は?」

「へっ?」


見上げると、そこには赤い髪にラピスラズリのような青の瞳で見ていた少女がいた。


「サ、サイラス・ブルーノです」

「サイラスっていうのね。よろしく、私はマーガレットよ」

「・・・マーガレット」

「サイラスは、瞳が真っ赤で綺麗ね」


王宮で開かれた、歳近い子ども達を集めたお茶会。王女の友達候補や将来の婚約者や側近を選定するための茶会。そこでサイラスはマーガレットに恋をした。


「父上、僕はマーガレット様と結婚したいです」

「マーガレット様か・・・」

「はい」

「だがな・・・難しいぞ?」

「どうしででしょうか?」

「マーガレット様は、この国の第一王女殿下だ」

「王女・・・」

「あぁ、貴族の中では私達公爵家が一番偉い。しかし、その上がいるのだ・・・王族だ」

「王族・・・」

「あぁ、殆どの貴族は多少強引な手を使えばどうとでもなる。しかし、王族だけはできない」

「そんな・・・」

「だが、可能性がないわけではない。他の令息達よりも立場は近い。うまくいけば手に入る」

「僕はどうすれば・・・」

「とにかく、王女殿下に気に入られろ。そして近付け。他の令息達と差をつけるんだ」

「はい、わかりました!」


幼いサイラスは初めての恋に、毎日毎日マーガレットを想っていた。声をかけられた時の笑顔が鮮明に思い出される。そして、その想いは時間とともに捻れていく。




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次回

その場所は僕の場所なのに




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